マガジンのカバー画像

令和四年度自画自賛怪談集

21
運営しているクリエイター

#眠れない夜に

座敷童(?)

仕事の関係で地方への移住が決まった。
近くにアパートがなかったので古い平家を借りた。

移り住んでからしばらくすると、
奇妙な現象が多発した。
机の上に置いていたものがズレたり、
電気が勝手についたりする。
不気味だったが、悪意は感じなかったので放っておくことにした。

兄夫婦が旅行も兼ねて子供を連れて遊びに来ることになったので、スーパーで買い物をした。
酒とつまみ、子供用にお菓子を買って、
まと

もっとみる

何でも屋への依頼

Wさんは何でも屋をしている。
何でも屋と言っても珍しい仕事はなく、
引越しや掃除がほとんどだという。

ある日、仕事の依頼が入った。
アパートの一室を片付けて欲しいという依頼だった。

<作業内容>
1.家具や雑貨など中にあるものは全て捨てて良い
2.当日、依頼者は来れない。
3.鍵だけを先に事務所に送る。
4.作業終了後には妹が確認に来る。
5.通帳と捨てて良いかわからないものは妹へ渡して欲しい

もっとみる

ついていきます。

最近になり、家の中でおかしなことが増えた。
家族全員でリビングにいる時に2階から足音がしたり、
誰もいないはずの部屋から女の笑い声がしたりする。
家を建てて20年近く住んでいるが、
曰く付きの土地ではないし、
家の中で誰かが死んだりもしていない。

どうしたものかと家族で悩んでいたら、
妻の知り合いに霊感がある人がいるという。
藁にもすがる思いでその方(Aさん)に頼んでみた。

私は仕事で立ち会え

もっとみる

事故物件日当10万円

「めちゃくちゃ高時給のバイトを見つけたんだけど、一緒にやってみない?」
講義終わりに大学の友人から誘われた。
丁度金欠気味だったので、詳細を聞いてみることにした。

「どんくらいの仕事量で、どんくらい貰えるの?」
「アパートの1部屋を掃除して、一日泊まって日当10万円。」
「え?」
あからさまに怪しすぎる内容に、怪しすぎる日当。
普通なら断るような内容だが、好奇心が勝った。
僕は友人とバイトをする

もっとみる

勝手に入る

ある雑誌で漫画を連載していたYさんの話。
なんとか原稿を提出した次の日、
提出した原稿のやり直しを頼まれた。

どこを直せば良いか担当に聞いてみると、
あるページの通行人の顔だという。

言われたページを見てみてドキッとした。
主人公達とすれ違った通行人の顔が、
思い切り読者目線で、
斜めに引き伸ばされたような顔をしている。
これじゃあ話が頭に入ってこない。
…こんな気持ち悪い顔描いたかなぁ。

もっとみる

お笑いグランプリの怪

死んだ姉は生前、あるコンビ芸人Sのファンだった。
その芸人さんはまだあまり有名ではなかったが、
姉はわざわざライブを見に他県へ何度も遠征するくらい、熱狂的なファンだった。

そんなお笑いコンビが、
ついにあるお笑いグランプリへの決勝まで残り、
地上波で漫才をすることになった。
「姉ちゃんが生きてたらめちゃくちゃ喜んでただろうね」
そんな話をしながら母とテレビを見ていた。

そのコンビは優勝こそはで

もっとみる

3-5-7

私の知り合いのEさんから聞いた話。 

Eさんの上司のAさんはかなりの競馬好きだった。
AさんほどではないがEさんも競馬が好きだったので、
職場でよく競馬の話をしたし、
大きなレースがあると二人で競馬場に観戦に行ったりもした。

そんなAさんが事故で亡くなった。
急な別れでかなりショックを受けたEさんは、
何日も会社を休んでこのまま辞めようかとも思った。
そんなある日、夢見た。

会社でAさんがニ

もっとみる

このブログで掲載している怪談の1%はノンフィクションです。

4月ごろからこのブログを書き始めて早3ヶ月が経った。
現時点で公開している記事が48個。
マニアックな皆様の応援のおかげで続けられている。
この場を借りて感謝を伝えたい。

1から私が考えたフィクションが7割。
私が実際に遭遇した話が1割。
残りの2割は取材のような真似をして集めたものになる。
今日はその取材の際に遭遇した怪談について話す。

誰かに習ったわけでも仕事にしているわけでもなく、
完全

もっとみる

心理的瑕疵なし。2

だいぶ前に「心理瑕疵なし。」という話を書いたが、
その際に怪談を提供してくれた友人から、
「お前が好きそうな話がある」と連絡を受けた。

友人の働いている不動産屋にクレームが入った。
そのクレームの主は最近アパートの一室に入居した客だった。
「幽霊が出て住めたものじゃない。」
その部屋は死人が出た訳でもないし、
前の入居者が5年間住んでいた部屋だ。

結局クレームを入れた客は違うアパートに引っ越し

もっとみる

タクシーのよくある怪談

「お化けとか乗せたことあります?」
タクシーの運転手からしたら、
死ぬほど聞かれた質問で申し訳ないが、
私もタクシーに乗るときに必ず聞く。

個人タクシーに乗ったときに教えてもらった話

その日は土砂降りで、人もまばらだった。
今日は客待ちをしても意味がないな。
街に着いてすぐに撤退を決めた。
自宅まで運転していると、
女が手をあげている。

真っ赤な傘に真っ赤なレインコートの目立つ女だった。

もっとみる

え、何それ?

学生時代、免許を取ったばかりで浮かれてた僕は、
友人達を誘って肝試しに行った。

場所は旅館の廃墟で地元では有名な心霊スポットだ。
雰囲気はあったが、特別何か起こる訳ではなく、
肝試しというより廃墟探検になった。

友人達と話しながら歩いてると、
後ろからすごい音がした。
振り向くと真後ろの窓ガラスが割れている。
もう少し歩くのが遅かったら破片が刺さる所だった。

流石にビビって廃墟を飛び出した。

もっとみる

いつも横の君と

大学に入り半年が経った頃、周りの友人達に彼女ができ始めた。彼女が一度もできたことのない僕は劣等感を感じていた。

「お前も早く女くらい作れよ。」
飲み会の際の友人の一言がきっかけだった。
「実は昨日から彼女が出来たんだ。」
酒のせいか自分だけ彼女がいない焦りのせいか、しょうもない嘘をついた。急いで嘘だと打ち明けようとしたが、タイミングを逃してしまった。

その日から僕は嘘をつき続けることになった。

もっとみる

殴れるし殴られもする

昔ヤンチャをしていたDさんの話。

ある日、女の子を何人か連れて肝試しに行くことになった。
場所は近所の墓場だったが、
夜中にくると結構雰囲気があった。

Dさん自身は心霊関係があまり得意ではなかったので、女の子達と一緒に後ろの方を歩いていた。

「うわぁああああ!」
前を歩いていた友人達が血相を変えて逃げ出してきた。
何が起きたのか前方を見てみると、
着物を着た髪の長い女がゆっくりこちらに向かっ

もっとみる