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「青海三丁目地先 リサーチクラブ」のお知らせ
2024年春、演劇カンパニー・ヌトミックと建築家ユニット・2.5 architectsは、東京の埋立地をテーマとした演劇公演/展示作品を発表します。
舞台は、かつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたゴミの最終処分場であり、東京湾のど真ん中に浮かぶ3km四方の巨大な人工島。
東京にありながらも私たちの日常から隔たったこの広大な埋立地は、一体どのような場所なのでしょうか?
この土地を探り、また様々な視
青海三丁目 地先の肖像「観測」
2021.02.02 | 葛
知人に誘われて、私たちは中銀カプセルタワーの一室を借りることにした。この部屋はデザイナーによって手が入れられた後の部屋で、オリジナルの壁面収納やベッドなどはないが、思ったよりも広さを感じられる、見晴らしの良い部屋である。
ここを臨時のオフィスとして、「青海三丁目 地先の肖像」プロジェクトのことを考えたり、人を招いて見学してもらったりできると思って借りたが、実際のと
青海三丁目 地先の肖像「2022年、動き続ける」
2022.10.04 | 葛
2021年の年末に、初めて知り合ったアーティストたちと夕方から夜にかけての埋立地を巡った。東京ビエンナーレの後、久しぶりに訪れた中央防波堤の夕暮れは美しく、風は思ったよりも優しかった。
それから数ヶ月経った5月下旬、彼らの計画は藤倉麻子さんが主催する物流型展覧会「手前の崖のバンプール」として実現し、私も観覧してきた。Aokidさんが水上タクシーの上で港湾と海の動き
青海三丁目 地先の肖像「再び開かれる、か」
2021.09.29 | 森藤
五輪が終わったあとの埋立地に立つ。
夜風は少し温度が下がり、次の季節への変化を感じさせた。
五輪直後だったがすでに景色は変化していた。
いつものようにテレポート側からトンネルを潜って島にはいってきたのだが最初の交差点を左折する際に見通しがよいことに気づく。
内側埋立地と外側埋立地の間に横たわる海水路(ボートとカヌーの大会会場)に面してそびえたっていた白壁が、消失
青海三丁目 地先の肖像「それぞれの記憶」
2021.07.06 | 森藤
「オランダを思い出す」
平たい土地と、コンテナと、広い道路が広がる外側埋立地で、その人は言った。
その風景がどことなく似ているのだと言う。
まだ都市的マテリアル、ランドマーク、そういったものが少ないこの場所で、コンテナヤードと平たい土地がもうすでに意識の中でどこかに接続する風景であることにはっとした。
私はオランダには訪れたことはないが、埋立地として発展し、大き
青海三丁目 地先の肖像「待ち焦がれた大地」
2021.06.16 | 葛
緊急事態宣言の期間が延長されてしまった。
事前に環境局から、緊急事態宣言下では、バスツアーはできない可能性が高いとの連絡があったので、もうツアーができなくなる前提で代替案を準備していたところ、急遽「今回は緊急事態宣言下でもできる」との電話が入る。
我々は大慌てで再びバスツアーの準備をし直した。
紆余曲折を経て、ついに、やっと、ずっと入ることのできなかった、中央
青海三丁目 地先の肖像「広大な庭」
2021.05.30 | 葛
土曜日の昼下がりだったと思う。私たちは、庭師と舞台美術家と品川で落ち合ってから、青海三丁目地先へと向かった。
つい最近も埋立地に行ったばかりだったけれど、強風と雨に翻弄されたあの日とは違って晴れた気持ちの良い日だった。
2人のゲストを迎えての、プライベートな小さなツアー。まず中央防波堤外側埋立地へと向かう。
土日に来るのは初めてだったけれど、コンテナ車など物流
青海三丁目 地先の肖像「語られること」
2021.08.21 | 森藤
8月5日から2k540という山手線高架下のスペースで今回の展示が東京ビエンナーレのうちの1つの展示として始まった。
際して書きたいことはいろいろあるのだが、展示場での思いがけない話を記す。
展示会場に在廊すると、様々な方に巡り会える。
埋立地(夢の島)や沿岸部へ個人的体験をされた方が少なからずおり、その様子を聞くのが興味深い。
例えば、服飾の仕事をしていたとい
青海三丁目 地先の肖像「分身を送り出す」
2020.08.20 | 森藤
夏に打ち合わせを終えた後、カフェで飲み物を頼むと、ビニールで包まれたお手拭きがついてきた。
封を開けたそれをしばし弄る。
箸の紙袋や紙ナプキン、そういったものを店で食事中についつい折ったり、ねじったり、小さく切り裂いたりしてしまう。私の癖の一つだ。
その日は細長いビニールを中程で縛って、先を切り裂いて、人型が出来上がっていた。
この子はこれからゴミ箱に入った後、私
青海三丁目 地先の肖像「木はいつか、森となる」
2020.08.01 | 森藤
夏の初め、出身高校から学校で生徒へ向けて講演をしないか、と声をかけていただいた。
講演自体はキャリアの紹介を基軸にしたものではあったが、取り組んでいて身近なゴミ問題と絡めて青海三丁目地先を紹介することにした。
この頃は、中高生の居場所を作るNPO法人ともワークショップを企画していて、10代にも実感ができる参加の仕方や伝え方を考えていた時期でもあった。
その場所に
青海三丁目 地先の肖像「土壌を煮詰める」
2021.05.21 | 森藤
梅雨宣言は出ていないもの、憂鬱な空模様が増えた5月の下旬、私たちは再度青海の地先へ降り立っていた。
風は強く、視界の中を髪が跳ね回る。
今回は私の中では目的地があり、数週間待ちに待った上陸だった。
前回の4月の訪問の際、長く広い一本道の脇にふと見つけた桑の木に会いにきたのである。
ちょうど、実が色づく頃だ、と。
その場所に近づくにつれ、ポツポツと降り出した雨は