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中野中
2022年9月23日 12:33
2022年11月7日 10:14
足の爪先から、今まさにそれは登り始めている。あっという間に足首を超えて、ふくらはぎ、膝へとまいろうかというところである。ところがそれは勢いが一気に衰えた。ふくらはぎを超えるか超えないかほどの位置でとどまると、それは下へ下へと急降下していく。今はもう、足首を超えてつま先へと収束してしまったようだ。私のしびれはもう大丈夫かもしれない。───ところがどっこい、立ち上がると見事に膝から折れ
2022年7月28日 12:37
スマホが鳴った。画面を見ると、母さん、という文字が浮かんでいる。まったく仕事中は電話をしてくるなといつも言っているのに。おれは、やれやれといった表情を3割増しで表すと、もったいぶって電話に出た。「もしもし?」「ああ、わたしだよ。母さんだよ」「知ってるよ。で、何?」「それが大変なんだよ」第一声から、明らかに慌てている様子が伝わってくる。しかし、今は仕事中だ。おれは声を強めてこう言
2022年1月21日 12:18
「このマンションに引っ越したいのですが」吉田が選んだのは、しばらくワイドショーを賑わせている物件で、世界一の超高層マンションとして有名になっていた。特に最上階までの10フロアにいたっては一般人が住めるような家賃ではなく、仮に入居が決まったら扱いは有名人にも引けを取らなかった。入居が決まるたびに、その人物の人となりがニュースに取り上げられ、最上階の住人はテレビに引っ張りだこになっている。
2022年1月14日 08:00
生体認識完了。シリコン製アーム感度調節、調節完了。コード読み込み中。私は今、白いベッドの上に裸で寝転んでいる。体中には電極がこれでもかと貼り付けられ、細かい一挙一動も全てコンピュータへと記録される。今こうして考えていることも、おそらく記録されているだろう。多少の恐怖心を感じる。まだ誰も受けたことのない試験なので、それは仕方のないことだ。コード読み込み完了。試験開始まで五秒前。なんの
2022年1月27日 19:00
2階の部屋にいると、突然ベランダに大きく黒いものが落ちてきてもおかしくなかった。それはカラスで、頭がふたつあり羽は4つあってもおかしくなかった。おれは驚いて尻もちをついてもおかしくはなかったし、その拍子に手に持っていたビールを床に落としてもおかしくはなかった。空は晴れていて、春先のような風がふいていてもおかしくはない。目の前のベランダにある、このカラスのような化け物だけが違和感を放っていて
2022年2月3日 19:24
最近忙しい。いや、最近というかずっと忙しいような気もする。でも忙しいのは間違いないかも。だって休む暇が無い。もうずっと動きっぱなしで、とにかく大変です。なんかもう寝てる暇もない。そんな感じがずっとしてる。寝てる暇がない、というのは大抵比喩的に使われるのだけれども、僕の場合は本当に寝てる暇がない。だってもう寝たら大変だもの。もう本当に大変なことになる。だから寝る暇がない。たまに少しだ