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小説|この世のありとあらゆる

生体認識完了。シリコン製アーム感度調節、調節完了。コード読み込み中。

私は今、白いベッドの上に裸で寝転んでいる。体中には電極がこれでもかと貼り付けられ、細かい一挙一動も全てコンピュータへと記録される。
今こうして考えていることも、おそらく記録されているだろう。
多少の恐怖心を感じる。まだ誰も受けたことのない試験なので、それは仕方のないことだ。

コード読み込み完了。試験開始まで五秒前。

なんの事はない。私はこれからAIの被験者になるのだ。
性専用AIによる試験の、第一被験者である。

四秒前。

何も不思議なことは無い。いつの時代も、性産業が技術の進歩を促進してきたのだ。決して表に出ることはない。しかし、ほぼ全ての技術が性産業ために開発された。その副産物が、一般社会で役に立っていると思ってほしい。
私が体験するのは、この世のありとあらゆる性的テクニックを学んだAIが最適化をし、快感レベルを最高まで高めたものだ。
おそらく、いや、絶対に人間では再現不可能であろう。楽しみだというのが正直であるが、被験者として、そのひとつひとつを覚えておく必要がある。何も考えずに、快感に身をゆだねることができないのは少し残念だ。

三、二、一。試験開始。

では、私の体験談を楽しみにしてくれ。 

次の瞬間、私は体中にある性の秘孔を一斉につつかれて、───あえなく果てた。

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