【番外編(#14) ライブハウス!】「けいおん!」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😁 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
<1>
本話は、第13話に続いて「けいおん!」の番外編。
唯ら5人の「成長」が描かれています。
<2>
本話の主人公は、澪です。
まずは、澪の動向をざっくり整理してみましょう。
・1:当初、澪はライブに消極的だった
・2:本番が迫る中、澪の緊張が高まる
・3:慣れぬライブハウス、自分たちよりも明らかに巧そうな出演者を前に、澪はさらに緊張する
・4:しかし他の出演者と交流し、彼らの話を聞くことで、澪は大いに刺激を受ける。そして「こんな話ができたのも唯やムギ……皆んなのおかげかも。皆んな、いつもちょっとずつ新しいドアを開いてくれる」と密かに感謝する【第2幕後半】
・5:澪ら5人はリハーサルで大失敗。だが、他の出演者が激励してくれる
・6:ライブ本番、素晴らしい演奏を披露する
・7:ライブ終了後、澪は唯らに感謝の言葉を述べた「今年はたくさん楽しいことがあったよ……皆んなのおかげで。ありがとう」
ポイントは、上述の「4」です。
澪といえば極度の恥ずかしがり屋で、自信を持てぬタイプ。律の後ろに隠れていることが多い。
そんな澪が!
そんないつも消極的な澪が……「成長」を前向きに捉えるようになっている!
特筆すべき変化ですよね。
ポイント②
<1>
第13話の記事で申し上げた通り、第13話では「軽音部の仲間と過ごす素晴らしい青春の日々に、終わりが迫っていること」が示唆されています。
これ、本話も同様です。
本話では、唯らは学校外で初めて演奏を披露し、さらに学校外の同世代のバンドから刺激を受けます。
つまり、「軽音部 = 高校の部活動」という枠を飛び越え始めているのです。
・第13話:陰性(1人きり/メランコリック、センチメンタル)
・本話:陽性(仲間と一緒/ジョイフル、未来志向)
……という違いはあるものの、「軽音部の終わり/別れの時が迫っていることを示唆する物語」という点では両者は共通しているのです。
<2>
ところで、「けいおん!」のOP映像が「『音楽準備室』から『学校外』へ向かう」という構成になっていることをご存知でしょうか?
OP映像の中から「唯らが演奏するシーン」を抜粋し、並べてみると……
・1:音楽準備室で演奏
・2:教室(らしき場所)で演奏
・3:図書室(らしき場所)で演奏
・4:中庭で演奏
・5:中庭(正門の傍 = もうすぐ学校外)で演奏
まさに、「『けいおん!』 = 唯ら5人が音楽準備室に集い、そして音楽準備室から学校外へ向かって羽ばたこうとするまでを描いた物語」というわけです。
<3>
第13話は「陰性(1人きり/メランコリック、センチメンタル)」、対する本話は「陽性(仲間と一緒/ジョイフル、未来志向)」であると申し上げましたが……じつは本話にも、「陰性」的な部分があります。
ご注目いただきたいのは、さわ子先生です。
さわ子先生は、ライブハウスで高校時代の軽音部仲間(川上)と偶然再会を果たします。
2人の会話を見てみましょう。
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※以下の会話中の「キャサリン」は、さわ子先生のニックネーム、「ジャニス」は川上のニックネームです。
さわ子先生が、ライブハウスに入る。
川上がさわ子先生を見つけて、息を呑む「あっ……キャサリン!」
さわ子先生が嬉しそうに「ん?……ジャニス!あんた、なんで!?」
川上「ここのマネージャーやってんの!」
川上は、高校時代の衣装をまとったさわ子先生を見て「あんた、ちっとも変わらないわねー!」
しかしさわ子先生は「かっ、変わったわよ」
さわ子先生は、ステージで演奏する唯らを見て「だって、私、あの子たちの先生してるんだから」
川上が微笑む「そっか」
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そう、2人はもう高校時代の2人ではありません。
青春の日々を軽音部で共に過ごした2人。しかし時が経ち、いまはそれぞれ別の道を歩んでいる。
つまり本話には、
・【1】他の出演者が象徴する「未来」:唯ら5人がバンドを続け、上達し、やがて学校外へ羽ばたいていく未来
・【2】さわ子先生と川上が象徴する「未来」:唯ら5人がバンドを解散し、それぞれの道を歩んでいく未来
……の2つが示唆されていると言えるでしょう。
無論どちらかが善で、どちらかが悪というわけではありません。
しかしまぁ、「けいおん!」ファンにとっては、やはり後者は寂しく感じられますよね。というわけで、これが本話の「陰性」的な部分です。
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