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【#7 クリスマス!】「けいおん!」を三幕構成で分析する

▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😁 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!


分析対象


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三幕構成


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ポイント


<1>

本話の主人公は、唯と憂

2人の「仲よし姉妹っぷり」が描かれています。


<2>

そもそも第1話の冒頭以来、「唯 = おっちょこちょい、怠け者/憂 = しっかり者」であり、唯はいつも憂を頼っているように見えます


ゆえに、

・唯は、一方的に甘えすぎでは?

・憂は、たまには突き放したり、怒ったりしてもいいのでは?

……と感じなくもないのですが、本話では「じつは、2人の関係はそんな浅薄なものではないのだ」ということが明かされます


<3>

第1に、「唯が一方的に甘えている」というのは誤りです

作中、唯が憂に「ホワイトクリスマスをプレゼントする」「マフラーをプレゼントする」といったエピソードが登場します。

つまり、唯はちゃんと憂の気持ちを汲み取り、適宜行動しているのです。


<4>

第2に、唯の気持ちは、憂にしっかりと届いています

幼い頃、唯からホワイトクリスマスをプレゼントしてもらったことを、憂はいまもちゃんと覚えている。


<5>

そして第3にご注目いただきたいのは、「憂にホワイトクリスマスをプレゼントしたこと」を唯が失念しているという点です。

憂は覚えている。

ところが、唯は忘れているのです。


これ、すごく興味深いことだと思うんですよ。

というのも、一般的には「人は、他人から受けた恩はすぐに忘れる。その一方で、他人に施した恩はずっと覚えている」とされます。


しかし、唯と憂は違う。

真逆です。

上述の通り、憂は「唯から受けた恩」をずっと覚えている。一方、唯は「憂に施した恩」をすっかり忘れている。


憂のキャラソン「Lovely Sister Love」には、こんな歌詞があります。

あの日くれたホワイトクリスマス/とってもね、嬉しかった/あんなサプライズ/どんなふうにお返ししよう
私にもできる何かを/探してる


私たち鑑賞者には、「お返し」どころか、憂はいつも唯に与えてばかりに見える。

ところが……違うんですよねぇ!憂本人は、そうは感じていないのです。


そして、おそらくは逆もまた然りでしょう。唯は「憂から受けた恩」をずっと覚えているはずだし、憂は「唯に施した恩」なんて気にもしていないに違いない。

これこそが、唯と憂の関係です。


<余談>

なお……唯と憂のみならず、軽音部の4人や、和、さわ子先生らの間にもこれに近い関係が築かれているように感じられます。


「『けいおん!』を見ていると心が温まる」「なごむ」「落ち着く」なんて感想をよく耳にしますが……こうした「互いを想い合う関係 = 『刻石流水(かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め)』的な関係」が、作品全体の「優しさ」の源になっていると推測されます。


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(担当:三葉)

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