【#10 また合宿!】「けいおん!」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😁 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
<1>
本話の主人公は、梓。
合宿を通じて、それまで見えていなかった「先輩ら(= 唯ら)の意外な一面」に気づき、梓が軽音部に愛着を持つようになるという話です。
第8話から始まった「梓のエピソード(梓が軽音部に入る → 軽音部に馴染む)」が、本話で決着します。
<2>
まずは、梓が、唯らのどのような「一面」に気づいたのか、ざっくり整理しておきましょう。
・唯の「意外な一面」:普段はだらけてばかりだが、じつは人知れず努力している
・律の「意外な一面」:普段はいい加減で大雑把だが、傍に澪がいるとそれがいい持ち味になる(律のおかげで、澪の緊張がほぐれる etc.)
・澪の「意外な一面」:普段はしっかり者だが、じつは極度の怖がり
・紬の「意外な一面」:普段はおっとりお嬢様だが、じつは子どもっぽいところもあってかわいらしい
ポイント②
<1>
ところで……前話(第9話)に対しては、批判的な声が少なくありません。
曰く、「唯らは練習しなさすぎる!やる気満々で入部した梓が、あまりにもかわいそうだ!」。
なるほど。一理あります。
唯らは普段、紅茶を飲んで、ケーキを食べて、ダラダラおしゃべりしているだけですからね。鑑賞者が「たまにはマジメに練習しろ!梓がかわいそうだ!」と感じるのも無理ありません。
……が、しかし。ここで疑問です。
果たして唯らは、本当に練習をしていないのでしょうか?
<2>
確かに第9話には、唯らが練習する様子は描かれていません。
しかしですね、じつは第2話以降、「唯が自宅でギターを練習するシーン」がたびたび描かれているんですよ。
そして本話(第10話)では、唯が人知れずギターの練習をしていることが明かされた。
となれば……こう考えるのが自然でしょう。
すなわち、「練習は自宅ですべし!学校では皆で思いっきり遊ぼうぜ!」というのが、唯ら軽音部のやり方。
唯のみならず、律らも自宅で練習しているに違いない。
<3>
しかし第9話時点では、梓はそれに気づいていません。
彼女は、唯らが本当にまったく練習していないと勘違いしている。だから「この先輩方はダメだ!」と、軽音部を見限ろうとしたのです。
多くの鑑賞者も同様でしょう。
唯らが自宅で練習していることに気づいていない。ゆえに「だらけてばかりで梓がかわいそうだ!」と勘違いし、第9話に対してヘイトを抱いてしまったのです。
ポイント③
本話は、憂と梓の会話から始まります(「第1幕」)。
そして「第2幕」で軽音部の合宿の様子が描かれ、「第3幕」になると再び憂と梓の会話が展開される……という構成です。
ここでは、「第1幕の梓」と「第3幕の梓」の相違に注目してみましょう。
<第1幕の梓>
・【1】軽音部に関して:愚痴をこぼす(特に、唯と律に対する愚痴)
・【2】唯に関して:憂が、唯について好意的なことを言う(「お姉ちゃんって、温かくて気持ちいいよね♥」)。しかし、梓には理解できない
<第3幕の梓>
・【1】軽音部に関して:相変わらず愚痴をこぼす(合宿中も遊んでばかり)。しかし同時に、「先輩方の意外な一面に気づいた。合宿に行ってよかった」と発言
・【2】唯に関して:憂が、唯についてまたもや好意的なことを言う(「お姉ちゃん、温かいでしょ?」)。梓は照れくさそうに同意
ご覧の通り、梓の変化が一目瞭然です。
これ、「物語の序盤と終盤に類似したシーンを配置することで、キャラの『変化(成長)』を明確にするテクニック」と言えるでしょう。
ポイント④
本話のタイトルは「また合宿!」。
そう、「けいおん!」2度目の合宿です。
「1度目の合宿(唯らが1年生の時の合宿)」は、第4話に登場。「澪の変化」が描かれました。
それに対して「本話 = 2度目の合宿(唯らは2年生、梓は1年生)」では、「梓の変化」が描かれています。
なお、第4話と本話では「物語の展開」も共通しています。
・1:主人公(澪、梓)は、悩みや不安を抱えている
・2:皆で「合宿 = 非日常的な場所」に出かける
・3:やがて、お馴染みのメンバーの「意外な一面」が見えてくる
・4:主人公の悩みや不安が解消される
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