【番外編(#13) 冬の日!】「けいおん!」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😁 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
本話は、「けいおん!」の番外編。
番外編らしく、律ら4人の「1人で過ごす時間 = 軽音部の仲間と一緒にいない時間」が描かれています。
軽音部で過ごす時間が「オン」だとすれば、本話で描かれるのは「オフ」。
ポイント②
<1>
まずは、本話のストーリーを大雑把に整理してみましょう。
・1:とある冬の日曜日。律ら4人はそれぞれ、1人で、未知なることに立ち向かう
・2:当初、4人はまずまず楽しい時間を過ごしていた
・3:ところが「ミッドポイント」以降、4人は苦境に陥る
・4:だが、唯からのメールをきっかけに全員が改善に向かう
さらに思いっきり要約すると……「冬の寒い日。律ら4人の心も寒々しくなる → しかし、唯からのメールをきっかけに皆の心が温まる」となります。
<2>
続いて、律ら4人が陥った「苦境」の内容をざっくり整理してみましょう。
・律の「苦境」:「あれは、ラブレターなのだろうか?」「私はどうしたらいいのだろうか?」と悩む
・澪の「苦境」:海に来たものの、歌詞が書けない。寒くてそれどころではない
・紬の「苦境」:バイトで失敗。涙を流す
・梓の「苦境」:猫がふいに嘔吐。どうすればいいのかわからず取り乱す
<3>
ところで改めて振り返ってみると、第1話以降、唯は様々な人に支えられてきました。
律、澪、紬、梓、さらには憂や和、さわ子先生……。
特に第12話が顕著です。風邪を引く。ギターを忘れる。そして演奏に遅れる。皆が、そんな唯を支えてくれた。
それに対して本話では、唯が皆を支えます。
つまりこれ、「本編では周りに助けられることの多かった唯が、皆を支える側に回るエピソード」なのです。
「けいおん!」の主要キャラの間には、「時には自分が誰かを支える。そして別の時には誰かに支えてもらう」という双方向の関係が築かれているわけですね。
ポイント③
<1>
「第3幕」に興味深いセリフがあります。
「紬が密かにバイトに挑戦していた」「澪は海で作詞しようとしていた」などと知った唯が言った。
「皆んな、すごいよ。私をおいて大人にならないでよー!」。
そう、「大人」!
本話では、律ら4人は「大人の階段」を上ろうとしているのです。
<2>
まずは、律。彼女は「恋愛」という大人の世界に足を踏み入れました。
同様に、澪は「孤独」、紬は「労働」。
そして、梓は「世話をする(先輩らから面倒を見てもらうのではなく、自分が誰かの世話をする)」という世界に踏み入った。
<3>
このように、4人は「大人の階段」を上りかけました。
しかし、上手くいかなかった。紬はまだしも、他の3人は「上ろうとしたが失敗した」と言っていいでしょう。
まぁ、皆さんもご経験があるかと思いますが、青春っては失敗の連続ですからね。
とはいえ、律ら4人が「大人の階段」に足をかけたのは間違いありません。
つまりですね、彼女らはまだ子どもです。大人にはなっていない。
しかし、大人になりかけている。
そう、軽音部の仲間と過ごす素晴らしい青春の日々に、終わりが迫っているのです。
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第12話の記事で申し上げた通り、第12話では、唯らの「成長」が描かれました。
そして「成長」とは、「『現在』の終わり/『現在』との別れ」と同義。
第12話に続く本話で「終わり/別れが迫っている」と示唆されるのは、自然なことでしょう。
なお、「素晴らしい青春の日々にも終わりがある」「別れの時が迫っている」というのは、第2期(「けいおん!!」)の重要なテーマ。
第2期で、深く掘り下げられることになります(特に、第2期第4話以降)。
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