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プーさんは、何もしない


これは、2018年に公開された「プーとおとなになった、ぼく」(原題: Christopher Robin)で、プーさんが残した名言である。


大人になったクリストファーロビンは、妻と幼い娘をもち、大手の会社でビジネスマンとして休みなく働くようになった。

そのため、クリストファーが子供時代に、プーさんやそのほかの森の動物たちと過ごした「100エーカーの森」へは戻れなくなっていた。

プーさんは、クリストファーが、再び森へ帰ってくることを何十年と日々待ち望み、そしてようやくロンドンで彼を探し当てる。

しかし、そこには子供の時のように無邪気で遊ぶクリストファーの姿はなかった。

むしろ、「何かをしなけば、何も生まれない」と、勤め先の上司に言われ、日々身を擦り減らし働き、プーさんに冷たい態度をとるクリストファーだった。さらに、彼は、週末も家族と出かけることすらできず、家族との関係がぎくしゃくしていた。

クリストファーは、プーさんを森へ戻すため、再びロンドンの北西「サセックス」の別荘(妻と娘が週末に過ごしている場所)へと、秘かに向かう。

森に到着しプーさんとクリストファーは、他の仲間たちと再会すると、次第に子供の頃のように何もかも忘れて遊び始める。


ある時、プーさんは言った。

「何もしないことは、最高の何かにつながるんだ。」


だが、クリストファーは答える。

「何かをしなけば、何も生まれないよ。」


そうしているうちに、うっかり寝過ごしてしまい、翌日の会社の重要会議に遅れそうになる。さらに、会議ではブリーフケースに入れたはずの重要書類がないことに気づく(森に忘れた)。

プーさんたちは、森の中で偶然出会ったクリストファーの娘と、書類を届けるために、ロンドンへと向かう。

娘は、会社まであと一歩のところで書類をなくしてしまい、悲しくなり立ちすくむ。

父のクリストファーが、彼女を見つけ駆け寄り、彼女を抱きしめる。そして、一番大切なものは仕事よりも家族であると気づく。

仕事を辞めてもいいと思っていたが、彼女がもっていた唯一の一枚のプレゼン原稿を見てあることをひらめく。

すぐさま会議へ戻りプレゼンをし、出席者を圧倒させる。

そして、最後にこう言った。


「何もしないことは、最高の何かにつながる。」


現代の働き過ぎている状態というのは、仕事へのモチベーションやアイデア創出の妨げになっている。そして、愛する大切な仲間や家族との時間をも奪ってしまう。だからこそ、皆休みが必要なんだ、とクリストファーは主張する。


プーさんは、何もしない。

プーさんは、自分の脳みそが小さいと言う。


だけれども、クリストファーよりも、一番重要なことを知っていた。

それは、

「何もしないことは、最高の何かにつながる。」

ということ。







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