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王様の異常な愛情 〜または私はいかにして心配するのを止めてチョコレートを愛するようになったか〜
降る雪がすべての音を吸い込んでしまったある寒い日の午後、プラネタリウムの特別展示室のベンチに座ってオルダス・ハクスリーの『すばらしき新世界』を読んでいると、遠国幽香が向かい側にあるミュージアムカフェでコーヒーを飲んでいるのが見えた。
僕は栞代わりのパンフレットを本に手挟むと、プラネタリウムの上映が始まるまで王様の様子をそれとなく観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外でVtuberに
続々々々々・どんぐり王国のお姫さま
あらすじ
青い稲がそよ風に揺れる夏の午後、帰省中の実家の近所のパン屋のベンチでジュール・ミシュレの『魔女』を読んでいると、木野瀬らくがトングを手にパンとにらめっこしているのが見えた。
僕は本の途中にパン屋のスタンプカードを手挟むと、推しの様子をしばらく観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないが、それに付け加えて、今はトマトとキュウリのサンドイッチを食べて
午後九時四十三分の小さなおっさん
デジタル時計の液晶パネルは午後九時四十三分を表示していた。中途半端な時間帯だ。寝るには少し早いが何かをするには少し遅い。僕は今夜もいつ始まるかわからない推しの配信を待ちながらシェイクスピアの『真夏の夜の夢』を読んでいた。推しはいつ配信するか予定をぜんぜん立てない気まぐれなお姫さまなのだ。
市立図書館のシールが貼られたシェイクスピア全集のページを一枚、また一枚とめくって何気なく時計を確認すると
フォトジェニックな二人
中等部の三年間で三百通余りのラブレターをもらった。市内の中学校の女子生徒の半数近くから十人十色の愛の告白をされた。
女子中学生の間で僕にラブレターを書くのが謎の流行を見せていたのだ。
「友達同士で先輩からのお返事を見せ合って回し読みするんです。先輩は、字も綺麗だし、お話の内容も面白いから。みんな、本気で先輩とお付き合いできるなんて思ってないんですよ。なんていうか、宝くじを買うみたいな感覚な
続々々々・どんぐり王国のお姫さま
邪気祓いもあらかた済んだ節分の夕暮れ、表参道の美容院のベンチでエミール・ゾラの『ナナ』を読んでいると、木野瀬らくがゴディバの小さな紙袋を提げて店のドアベルを鳴らすのが見えた。
僕は半額クーポンの半券を本に手挟むと、担当の手が空くまで推しの様子をのんびり観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないが、とにもかくにも、美容院の待ち時間というのは手持ち無沙汰なものな
続々々・どんぐり王国のお姫さま
あらすじ
吐く息が白く凍るほど寒いある冬の朝、下北沢の小さな喫茶店のベンチでジョージ・オーウェルの『動物農場』を読んでいると、木野瀬らくが窓際のカウンター席で朝食を注文するのが見えた。
僕は店の本棚から拝借した本に栞紐を手挟むと、もちろん推しの様子を観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないが、とはいえ、いずれストーカーに間違われるのではないかと気が気では
真・雀姫1008 今夜はクールに48000
「トップは新人さんでーす!」
ぼくが首尾よく仕上がったメンタンピンツモドラ1に満足していると、対面の千羽さんが「お見事なのじゃ!」と満面の笑みを浮かべた。
「トップが取れて偉いのじゃ! 格好いいのじゃ!」
ぼくは面と向かってほめられて「いやあ」と照れ隠しに頭をかいた。禁煙パイポを咥えた鮫島マスターがぼくらのやり取りを見てニコニコと機嫌良く笑った。
歌舞伎町の雀荘「健康麻雀ジェントルメ
『どんぐり王国のお姫さま』のあらすじ
「わたしは他のVと違って普通の女の子だから」
どんぐり大好きVtuber「木野瀬らく」はそう公言してやまないが、
街で偶然見かけた推しを興味本位で追いかけるうち、
リスナーの「僕」はどこか不思議な「どんぐり王国」に迷い込む。
普通の女の子なんて嘘だ。
木野瀬らくはどんぐり王国のお姫さまなのだ!
トトロ編
バロン編
Portal編
ポルコ編
カオナシ編
キキ編
Twit
続々・どんぐり王国のお姫さま
あらすじ
仕事納めの金曜の夕方、六本木のアートギャラリーでオープニングレセプションがあるというので待合ロビーのベンチでハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』を読んでいると、木野瀬らくが招待状を手にパーティ会場の受付に歩いてくるのが見えた。
僕は読みさしの本の途中にペーパークリップを手挟むと、いつも通り推しの様子を観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないが
続・どんぐり王国のお姫さま
あらすじ
聖誕祭の特別な夜、京王線新宿駅のホームのベンチでポール・ギャリコの『猫語の教科書』を読んでいると、木野瀬らくが新宿ルミネの手提げ袋を揺らしながら駅の階段を降りてくるのが見えた。
僕は紀伊國屋書店のブックカバーの端をページの途中に手挟むと、推しの様子を電車の到着まで観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないが、それはそれとして、推しの普段の生活には
どんぐり王国のお姫さま
あらすじ
小春日和の日曜の午後、近所の公園のベンチに座ってダンセイニの『魔法の国の旅人』を読んでいると、木野瀬らくがデジタル一眼レフのカメラを手にキンモクセイの並木道を歩いてくるのが見えた。
僕は図書館で借りたばかりの本に栞を手挟み、推しの様子を少しの間だけ観察することにした。僕はリスナーの鑑なので配信外で推しに話しかけたりはしないのだ。らくさんは僕の存在に気づくことなく秋の透明な空から降