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脳がどのように機能するか?そして、脳の凸凹(機能偏在)とは、どんなことか? ちょっとだけ学んでください!

 これから、アセスメントの話をしていくにあたって、脳の機能を少しだけ学んでください。先生や保護者用に簡略したものです。私が作ったもので正確ではありませんが、先生や保護者が学ぶにはこれで十分です。

 薄い水色は脳全体です。濃い水色は前頭葉にあるワーキングメモリーと言われているものです。実行機能はそれらをすべてコントロールするところです。実行機能の中にワーキングメモリが入っているモデルもありますが、ここでは分離しているモデルを採用しています。

   (注)これらは、まだ仮説段階です。

先生、保護者用 脳機能図

一応、見れば分かると思いますが、簡単に説明しておきます。

「聞く」を使うコース・・・人と話す例で
  
話している人に注意集中する
    ⇩
  相手の話したことを耳から取り入れて覚える(聴覚的短期記憶)
    ⇩
  ワーキングメモリーで聞いた情報を覚えておきながら、理解しまとめて
  何と答えるかを考える(言語的ワーキングメモリー)
    ⇩
  口を使って返事する(コミュニケーション)

「見る」を使うコース・・・漢字を書く例で
  漢字(見たいもの)に注意集中する
    ⇩
  漢字をしっかり見て覚える(視覚的短期記憶)
    ⇩
  ワーキングメモリーで見た情報を覚えておきながら、どうなっているか  
  分解し、そしてもう一度まとめあげて漢字を理解する
                   (視空間的ワーキングメモリー)
    ⇩
  手指を使ってエンピツを握り、漢字を書く

 「知識」を得るコース・・・シジミチョウを覚える例で
  
シジミチョウを見つける
    ⇩
  お母さんが言った「シジミチョウだよ」と言う情報を聞く(聴覚情報)
  目の前の蝶々をしっかり見る(視覚情報)
    ⇩
  ワーキングメモリーで「シジミチョウ」と言う言葉と目の前の蝶々の
  イメージをくっつける(聴覚情報と視覚情報の統合)
    ➕
  長期記憶から、それに以前のモンシロチョウを見た経験などを思い出す
    
(統合した情報と過去の経験との統合)
    ⇩
  『シジミチョウ』が「蝶々の仲間、茶色で小さい」という知識が出来上
     がり、それを覚える(長期記憶)。それが、次に学ぶときの経験にな
   る 

 「知識」を得るコースの補足を書いておきます。

 情報と経験が結びついたときに、初めて『知識』となるのです。だから、学ぶためには経験が必要です。小学校に入学する以前にたくさんの経験をした子どもの方が知識をたくさん学べるということです。
 経験は、旅行やキャンプ、誕生会のようなイベントだけではありません。日常の家での遊び、公園へ散歩、アスレチックなどの遊具遊び、友達とのまままごと、洗濯や食事の手伝い、お使い、お風呂、着替え、すべてのことが経験です。さまざまことを経験しておくと、それらが先生が与えてくれる情報と結びついて、知識となるのです。


 平均タイプの脳の機能図が、次の図です。

平均タイプの脳機能図

 注意集中から「聞く」コース、「見る」コース、「知識」を得るコース、実行機能などすべてが平均点の70点です。つまり、バランスの良い脳(脳機能が平均)です。

 凸凹タイプの脳機能が、下図です。

凸凹タイプの脳機能図

 「見る」コースは100点で優れていますが、「聞く」コースは30点で苦手です。そのため、注意集中と「知識」を得るコースが30点になっています。
「聞く」ときに、注意集中が切れるからです。「知識」にまとめるときに、聞く情報が不足になるからです。その上、実行機能も30点で、聴覚認知と抑制のコントロールが弱い状態です。 
 これでは、漢字は見て形を覚えるのは得意ですが、耳で聞いて意味が理解できません。つまり、漢字は書けるが、どう使っていいか分かりません。
 人と会ったときに、うまくコミュニケーションができません。長い話は気が散り、抑制も弱いので授業中でも窓の外を見て遊んでしまうでしょう。
 アンバランスな脳です。つまり、脳機能が凸凹です。

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 では、これからアセスメントの話を始めます。先生や保護者は、どんなアセスメントができればいいのでしょうか?自分たちが支援できる程度のアセスメントとは、どんなものでしょうか?
 脳機能図の説明から、もう分かったでしょう。次の①から④の4つのアセスメントすればいいのです。

 「見る」コースの凸凹を「見たことをまとめるのが苦手」
 「聞く」コースの凸凹を「聞いたことをまとめるのが苦手」
   注意集中だけの凸凹を「注意集中に課題がある」
   実行機能の凸凹を「思考の柔軟性が弱い」
と名付けています。

 ⑤は、数が少ないケースです。⑥は境界線児(ボーダー)のことです。両方とも支援学級相当ですので、今回のアセスメントでは省略します。書いて欲しいというコメントでもあれば書くかもしれません。

 これで、発達の基礎的な話が、終わりました。次回から、実際の「アセスメントとその支援の方法」について具体的に書いていきます。


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