今更だけど、ドリカムの「大阪LOVER」って名曲過ぎない?
リリースから、もう19年も経ってんのかよ。
というわけで、今日取り上げるのはDREAMS COME TRUEの「大阪LOVER」。
関西出身の僕にとっては、学生時代から馴染みのある思い出深い曲です。
歌詞のレビューに入る前にですけど、この曲はアレンジが本当素晴らしいなと。
特に、サビの後の打ち込み音。これがあることで一気に関西感が出てますよね。中村正人氏の素晴らしいセンスが炸裂しています。
さあ、続いては歌詞を見ていきましょう。
こういう生活感溢れる歌詞、僕大好きなんですよ。笑
新幹線で東京から遠距離恋愛している大阪の彼氏の家に向かう彼女。
迎えに来てくれた彼氏はスウェットパンツで、帰りにどこかに寄っていこうという気が感じられない。
それを残念がる彼女を描写することで、二人の関係性が最近始まったものではないことを暗示しているのが高等テクニックです。
まあ、実際24時ちょい前だとどこか寄っていくってキツくない?とは思うけども。
女の子は期待したい生き物なんですね、きっと。
煮え切らない男と、詰め寄る女子。
そんな関係性が歯がなく、どこか心地よい歌詞です。
この、「そやなぁ」で答えを曖昧にするのはマジでTHE関西人です。笑
サビのメロディは、流れるようにスムーズに耳に入ってくるのにすごくキャッチー。
「近そうでまだ遠い大阪」という歌詞はキャッチーかつ、肝心な所が詰まっていかない主人公と彼氏の関係性のダブルミーニングにもなっていますね。
歌詞に、吉田美和の大らかで力強いけど少し掠れた切なさのあるボーカルが絶妙にマッチしてます。
僕は遠距離恋愛をしたことがないんですけど、この歌詞の気持ちは何となく分かります。
言いたいことを言わないのもよくないけど、そもそも会える数が少ないから揉めたくないってことですよね。
ここもよく分かるなぁ。
というか、『この空気』っていう歌詞は何気にすごいですよ。
なんというか、話し言葉だからこそ生活感のある表現なんですけど。それをそのまま歌詞にぶちこんでくるのはあんまりないもんね。
歌詞を字面で読むと、1番の同じくだりより「!」マークがめっちゃ増えてるところがポイント。笑
主人公の苛立ちが時間と共に増加していることが伝わってきます。
ここのくだりで、主人公が彼氏と同棲や結婚を望んでいることが明かされます。
楽曲の中盤に入ってからこの話を仕込んでくるのがテクニカルですよね。
歌詞の世界観がグッと広がるというか、具体的になるというか。
「近そうでまだ遠い大阪」というフレーズが彼氏との物理的な距離感だけではなく、詰まっていかない二人の距離感でもあることがより強く表現されています。
2番は一貫して関西弁を封印した標準語で歌われているのもポイント。揺れ動く主人公の心情を方言で表現していますね。
ここの歌詞、すごいかわいいですよね。
結局、どこに住むかじゃなくて誰と住むかってことなんですよ。
この作品はUSJのアトラクション用に書き下ろされたものなので大阪を舞台にしていますけど、どこの地方であろうと根源的には同じこと。
東京タワーもスカイツリーも、好きな人と一緒に見る通天閣やMIRAI TOWERや福岡タワーには叶わん訳です。
この曲はそういう根っこの部分を歌っているからこそ、ただのご当地ソングの域を超えて愛されているんですね。
結局自分から告白してしまう主人公の精一杯さや、それを笑ってしまう彼氏の感じも愛らしい。
最後のサビは、主人公から恋人への気持ちがストレートに歌われています。
ついでに、プロポーズの催促までしてますね。笑
よくよく考えると、こういうシチュエーションって結構周りでは聞くのにあんまりJ-POPの歌にはない気がしていて。いわば、やきもきソングみたいな。
多分こういう曲を愛らしく、ロマンチックに仕上げるのってすごく難しいんだと思うんです。
だから、J-POPの歌詞ってやたら壊れそうになったり失って初めて大切さに気付いたり震えたがったりするじゃないですか。
その点、この「大阪LOVER」はありがちで何気ないシチュエーションをかわいらしく、上質なポップスに落とし込んでいることが素晴らしいんだと思います。
皆さんも、ぜひ改めて聞いて欲しい。
そして、女子はカラオケで歌って欲しい。
アラサー男子は多分大抵が喜びます。