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#高速バス
バックパッカーズゲストハウス③「高速バス」
仕事柄、稼ぎに浮き沈みはあるが、出費は常に多かった龍の懐事情に合わせて、送ってくるのが飛行機代かバス代か、その時によって違った。バスで東京を離れるときはいつも、
「もし、この街にもっと長いこと滞在したらどうなるのかな」と思いながら車窓を眺めた。
東京、愛媛間をバスで移動するのはつらい。肉体的なことだけではない。私は酔うので、バスでも電車でも本を読めない。精神的に、何時間もただ座って、目を閉じ
バックパッカーズ・ゲストハウス⑪「理由」
前回までのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2
なぜその日にしたのか覚えてないが、二月二十一日のバスに乗った。当時、山本一力の「背負い富士」、阿佐田哲也の「次郎長放浪記」と、立て続けに清水の次郎長物の小説を読んでいた私は、静岡に寄り道してから、東京に行くつもりだった。大阪まで一旦バスで出て、そこから静岡を目指そうと思っていたが、前日
バックパッカーズ・ゲストハウス⑫「静岡で飲むションベン」
前回までのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2
十時間掛けて翌日の早朝に名古屋へ着いた。朝マックを食べたあと、ネットカフェで携帯を充電し、シャワーを浴びた。パソコンで静岡までの行き方を調べて、一番安かったので電車で行くことにした。急行なら正午には着きそうだった。名古屋の滞在はそれだけで終わった。
愛媛―名古屋のバスの中で龍とメー
バックパッカーズ・ゲストハウス(70)最終話「おやすみ東京」
前回のあらすじ:早朝にゲストハウスを出た。秋葉原に四ヶ月住んだもののメイドとのロマンスはなかったが、好青年の恭平から「いってらっしゃいませ、ご主人様」というメールは来た。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2】
新宿では龍と待ち合わせていた。事前にこの日発つことを伝えた時に、彼は、「最後に見送りに行く」と言った。
西口