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〈実録〉奪還父さんブライアン ―片親疎外・子供拉致と戦う話

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帰宅すると家の中がやけにがらんとしている。妻と子供たちの姿が見当たらない。家財道具が無くなっている。 警察に捜索願を出しに行くと「ご家族は無事ですが、あなたには行方を伝えられませ…
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#モラハラ

「あなたが子育てを失敗したから、不幸になった」目の前で、元妻は私の母を罵倒した。

「あなたが子育てを失敗したから、不幸になった」目の前で、元妻は私の母を罵倒した。

■42
 自分が主張していることの矛盾や、傷ついている人の気持ちに気付かないでいられるというのは、もはや特殊能力だ。
 拉致妻は特殊能力者で凶悪な犯罪に手を染めているのだが、それにあらがう取り組みは、みっともない夫婦喧嘩にしか見えない。
 頑張って戦っていても、立ち向かうことに誇りを持てる相手ではないから、こちらは異様に疲れてしまう。
 状況は極めて不利にできている。世間は、女性は全員か弱いものだ

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あなたは可哀想だ。もっと幸せになる権利がある。今日もラチベンが、不満妻の手引きをする。

あなたは可哀想だ。もっと幸せになる権利がある。今日もラチベンが、不満妻の手引きをする。

■41
 新しく恋人ができた。彼は夫とちがって、わたしを愛してくれる。子供に暴力をふるうことはあるけれど、しかたがない。だって、この子は前の夫に似ているから。多少荒っぽくても、しっかり教育してくれる方がいい。
 そう、逆に子供のことを思うからこそ、厳しくできるんだ。だいたい前の夫が子供を甘やかしすぎたから、こうなったのだ。
 わたしは前の夫に騙されたんだ。
 あの人は口だけで、わたしを幸せにしてく

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嫁は、葬式で嗤った。自殺に追い込まれた従兄弟の遺書には、謝罪の言葉だけがあった。

嫁は、葬式で嗤った。自殺に追い込まれた従兄弟の遺書には、謝罪の言葉だけがあった。

■40
 私が小学二年生のころだった。
はじめて結婚式というものに参列したのが、その従兄弟の祝言だった。きれいなお嫁さん、気のいい田舎の人たち、親族の面々。
幸せの光景は、三十年の時を経て変貌していた。
 従兄弟は嫁からだけでなく、嫁に洗脳された実の娘からもいじめを受けていた。

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司法の土俵から降りても、悪魔の手法は死んでいない。

司法の土俵から降りても、悪魔の手法は死んでいない。

■35
 言葉を選びながら言う。
「大丈夫。彼女は俺の『立場』も『状況』も理解してくれてる。お金を送っていることについても、額面まで伝えてある。おまえへの送金は確保するから安心してくれ。あと彼女がなんと言おうと、俺は子供らには会いに行く。もし彼女が子供との面会に反対したら、別れる覚悟や」
「……わかった。じゃあね」電話は一方的に切られた。

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私と娘がバースデーケーキを選んでいる隙に、元妻は私のスマホを盗み見していた。

私と娘がバースデーケーキを選んでいる隙に、元妻は私のスマホを盗み見していた。

■34
話は、こうだ。
息子にゲームで遊ばせるため、私はスマホを車内に置いたままケーキ屋へ行った。
そのさい私のスマホに、メッセージが入った。ポップアップ通知に女性の名前を見とがめた元妻は、息子からスマホを取り上げた。

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電話の声は、硬く、尖っている。元妻の駆け引きが、また始まった。

電話の声は、硬く、尖っている。元妻の駆け引きが、また始まった。

■33
 子供たちと交流できた二年半は、かけがえのない時間だった。
毎回、元妻には振りまわされたが、それを差し引いても素晴らしい時間だった。
娘は小学二年生から、五年生になった。不得意だった科目に一所懸命とりくむ姿を真横で見られ、私も鼓舞された。会うたびに背が伸びていて、成長の速度に目を細めた。
乳幼児だった息子には自我が芽生え、親子の会話、そして男同士の話ができるようになった。半日だけ一緒に電車

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元妻の私への扱いは、どんどん粗くなっていった。哀しいかな「予想通り」である。

■32
「経過をみながら復縁を考えたい」と言ったのは、完全にその場逃れの方便というわけではなかった。
にわかに甲斐甲斐しくなった元妻を前にするうちに、「もしかしたら良い関係がつくれるのではないか」との淡い期待も芽生えていたことも事実だ。だが、それは長くは続かなかった。

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子供との再会は果たしたが、今も私は元妻の掌で踊らされている道化師に過ぎない。

子供との再会は果たしたが、今も私は元妻の掌で踊らされている道化師に過ぎない。

■31
 息子との再会を果たした日のことが、頭をよぎった。元妻の実家の玄関での攻防、そのやりとりがフラッシュバックする。
 「子供たちのことより、おまえと話がしたい」。そう言う私に「何の話をするの?」と返す元妻。
「おまえに謝りたいんや」
「もう謝ってもらったよ。ほかに話が無いなら、お引き取りください」
 あのときの「ほかの話」というのは、「このこと」だったのだ。一気につながった。

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「どんな仕事をしているの?」元妻がそれを聞くのは、仕事を辞めさせようとするときだ。

「どんな仕事をしているの?」元妻がそれを聞くのは、仕事を辞めさせようとするときだ。

■30
 「そっか……。じゃあ、まずいっしょに暮らすのは、現段階では難しいな」とつぶやいた。「現段階では」に、ほんの少し力をこめた。
 元妻は冷静に、私の仕事について「尋問」してきた。また辞めさせようというのだろう。
 前述したが、いっしょに暮らしていたころ、私は彼女の「アドバイス」によって、何度も仕事を辞めさせられた。「その仕事は向いていない」「あの社長はろくな人間じゃないから、関わらないほうが

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