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プロポーズよりもプレポーズ 

はじめに

 普段から連絡を取り合っている高校時代の友人の一人から、突然「朝起きたらめっちゃ喉痛い」とLINEがきていました。不運にも近くの病院が休みで検査こそできていないみたいなのですが、コロナに感染した可能性が高いようです。彼と最後にあったのは1月の前半なので、彼から私への感染の疑いはありませんが、親しい友人が感染したという事実に動揺を隠せませんでした。ちなみに、その友人は、大学生とは思えないほど自分に人生の将来について常に考え続けています。就職先でなく、住居、子育て、老後、葬式の執り行い方などについてもすでに自分なりの考えを持っています。そんな彼に私は感心するばかりですが、彼はいま最大の壁に直面しています。それは、結婚に関する問題です。最近の記事では、アルバイト先での話題に偏ってしまっていたので、今日の記事は少し趣向を変えていきたいと思います。

結婚を急ぐ友人

 彼は、どうやら、25歳までに結婚したいそうです。現在、彼は父、母との3人暮らしですが、どうやら介護の関係で、両親がそれぞれ自分の実家に帰ってしまう予定のようです。そのため、数年後には今の家に取り残されてしまいます。一人で住むには広すぎるため、現在のところは今の自宅を売却する方向性で話が進んでいるようですが、そうするよりも、良いパートナーを見つけて現在の家に住み続ける方が費用対効果がいいと考えているようです。また、彼曰く、早めに結婚しないと一生結婚できずに社会に取り残されるといった不安があるようで、そうした懸念も彼を結婚へと急がせる要因の一つのようです。

私の願い

 しかしながら、致命的なことに、彼には彼女がいません。確かに、その友人は、少しわがままで我が強いと感じることもありますが、将来のことをしっかりと考えて生きていますし、私の誕生日(大晦日)にわざわざ食事をおごってくれるような優しいやつです。最近では恋愛にまつわる神社をお祈りして回っているほどのようです。せめて大学を卒業するまでの間に、彼の良さを分かってくれるような人が現れることを願っています。

友人からの相談

 「聞く相手を間違えているよ」と思う私にお構いなしに、彼は恋愛に関わる相談をしてきます。「出会いがないんだけどどうしたらよい?」「どうやったら恋って始まるの」「どうしてお前は恋愛に無頓着なの」などと返答に困る質問ばかりで、私は毎回、彼に的確な回答を返せないことを申し訳なく思うのです。

愛の力

 私は、人生の中で本気で恋をしたことは一度しかありません。私が生まれ変わるきっかけをくれた少女です。今となっては恋愛の対象ではなく、第2の母親のような存在に変わり、尊敬と感謝の気持ちに溢れているといった感じです。私は中学時代にその子に告白して失恋したのち、高校で「覚醒」して帰ってくると約束します。そして私はその宣言通り、「覚醒」することに成功しました。偏差値こそ低い高校でしたが、私は主席で卒業することができました。体育の授業でも少しでもいい成績をとるためにジム通いをして体重を25キロ近く落としました。「人は誰かを愛することで、ここまで強くなれるものなのだ」と身に染みて実感することのできた高校生活でした。私は現在塾講師として働いていますが、勉強の面白さを知り、塾講師になりたいと志したのもこの時期でした。

プロポーズよりもプレポーズ

 私としては、恋愛が成就することよりも、成就するために努力する過程こそ、恋愛の本質なのではないかと考えています。愛するあの子のために、勉強し、体を鍛え、身なりを整える、このように、目標に向かって必死に努力する姿はとても美しいと思います。以前アウトレットに買い物に行ったとき、ブランドショップの前で、中学生らしき男の子2人組が、「これは派手すぎるかな」「こっちの方が女子受けいいかな」と言って、服を吟味していました。その時私は、心の中で思わず「頑張れ」と応援してしまいました。プロポーズをして恋が成就することに越したことはありませんが、私はむしろ、こうした成長と努力の過程を謳歌することも重要であると考えます。つまり、プロポーズすることよりも、告白するpre(前)段階である「プレポーズ」に着目することで恋愛の捉え方は大きく変わってくると思います。

プッシュ戦略とプル戦略

 恋愛においては、自分の意見をしっかりと持ち、堂々と相手に自分の思いを伝えることが重要であるような印象があります。確かにその通りだと思います。しかしながら、必ずしもそうある必要がないとも感じます。マーケティングの世界では、作った製品を売り込むという「プッシュ戦略」の時代は終わり、魅力的な製品を作り顧客を惹き寄せる「プル戦略」が主流になっています。恋愛においても、彼女(彼氏)をつくることに躍起になり必死に自分を売り込むのではなく、誰かに認めてもらうために努力・成長する過程(プレポーズ)を大事にし、魅力的な異性を惹き付けるという作戦もありなのではないでしょうか。

おわりに

 先述の通り、友人からはよく「なんでお前は恋愛に無頓着なんだ?」と質問されますが、私は決して恋愛に無頓着なわけではありません。私はプロポーズよりも「プレポーズ」を大事にしているだけなのです。「恋愛のために生きる」のではなく、「生きる過程に恋愛がある」といった感覚です。そして、私にとって「生きる」とは「成長と努力」ということです。自分の夢に突き進んでいくその道すがらに、いつか自分を愛してくれる人間がいると確信しています。私はきっとその人をパートナーに選ぶと思います。

 


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