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2021年1月の記事一覧

大リーグ選手会が「世界最強の労組」である3つの理由

去る202年12月28日(月)、日刊ゲンダイの2020年12月29日号25面に連載「メジャーリーグ通信」の第83回「大リーグ選手会が「世界最強の労働組合」である3つの理由」が掲載されました[1]。

今回は、経営陣にとって手ごわい存在である大リーグ選手会の「力強さ」の理由を「実行力」「団結力」「資金力」の3つの視点から検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧くだ

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「マー君の楽天復帰」で田中将大選手が踏み出した新しい道への第一歩

昨日、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスは、大リーグのニューヨーク・ヤンキースからフリー・エージェントとなっていた田中将大選手との間で入団に基本合意したことを公表しました[1]。契約期間は2年で、推定年俸は9億円と出来高払いとなります[2]。

大リーグで主力として活躍していた投手が日本球界に復帰するのは、2014年12月に広島東洋カープと契約した黒田博樹選手以来7年ぶりとなります。

現在の大

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IOCに求められる「東京オリンピックを予定通り開催する必要性」の説明

現地時間の1月27日(水)、国際オリンピック委員会(IOC)は理事会を開き、トーマス・バッハ会長は今夏に延期された東京オリンピックを予定通り開催するとともに、新型コロナウイルス感染症への対策をまとめた手引書を今年2月初旬に公開すると発表しました[1]。

また、理事会後の記者会見において、バッハ会長は「われわれは大会が開かれるか否かについては疑問を持っていません。どのようにして開催するかを検討して

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「コロナ対策の陳謝」ではなく速やかな行動が求められる菅義偉首相

今日、菅義偉首相は衆議院予算員会で答弁し、新型コロナウイルス感染症への対応によって医療体制が逼迫する現状について、「責任者として大変申し訳ない」と陳謝しました[1]。

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部長である菅首相が医療体制の整備を急ぐ方針を示したことは、医療機関で必要な治療を受けられずに死去した感染者がいるという現状に鑑み、適切な対応であると言えるでしょう。

その一方で、人口当たりの病

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「ザ・タイムズによる五輪中止報道」の持つ意味は何か

英国の高級紙ザ・タイムズは、連立与党幹部の話として、日本政府が非公式に東京オリンピックの中止が必要と結論付けるとともに、2032年大会の招致を目指すと報じました[1]。

これに対し、日本政府は報道の内容を否定するとともに、開催都市である東京都及び大会組織委員会も予定通りの開催を強調しています[2]。

国際オリンピック委員会(IOC)、 東京都 、日本オリンピック委員会の三者で締結した開催都市契

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ジョー・バイデン大統領の就任演説の持つ意味は何か

昨日、米国大統領にジョー・バイデン氏が就任しました。

就任式での演説では、自らが大統領となったことを「今日はアメリカの日であり、民主政治の日であり、歴史と希望の日であります」と述べるとともに、「民主政治の中で最も捉えどころのないもは団結であります」、「われわれの国民を団結させ、われわれの国を団結させます」、「団結は前に進む道なのです」と、国民と社会の団結の重要性を繰り返し強調しました[1]。

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What Is a Last Lesson of US President Donald Trump?

Today, the 20th January 2021, US President Donald Trump is leaving office after four years in office.

The Trump Administration has been criticised for causing the division of American society.

In pa

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菅義偉首相は施政方針演説で披露した「梶山静六の教え」を実践できるか

昨日、通常国会が召集され、菅義偉首相が衆参両院において施政方針演説を行いました[1]。

演説の冒頭で「国民の命と健康を守り抜く。まずは「安心」を取り戻すため、世界で猛威をふるい、我が国でも深刻な状況にある新型コロナウィルス感染症を一日も早く収束させます。」としたことは、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く現状に鑑みれば、適切な対応であったと言えるでしょう。

その一方で、「新型コロナウイルス感染

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阪神・淡路大震災から26年目に改めて考える「記憶の風化」と「想像する力」

本日、1995年1月17日(火)に阪神・淡路大震災が発生してから、満26年が経ちました。

本欄が繰り返し指摘するように、いかなる鮮明で克明な印象も時間の経過に伴って記憶として堆積するからには風化は避けられず、記憶は風化するという事実から出発することが、阪神・淡路大震災を後世に伝えるための出発点となります[1]。

また、この時われわれに求められるのは、風化する記憶の中から事柄を再構成し、あるいは

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「新型コロナウイルス問題」に対して東京オリ・パラ組織委員会はどう対処すべきか

現在、東京オリンピック及びパラリンピックの開催を巡り、積極的な意見と消極的な見解とが交錯しています。

その様な中で存在感を発揮できないでいるのが大会組織委員会です。

大会組織委員会がどのような取り組みを行うべきかについては、『体育科教育』の連載「スポーツの今を知るために」の中で検討しています[1]。

2020年4月の時点での記事ながら、現在の状況にも通じる内容となっているように思われるため、

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頭の体操として考える「トランプ支持派の連邦議会議事堂への乱入」とトランプ大統領の目的

昨日、米国では連邦上下両院合同会議が行われ、昨年11月に行われた大統領選挙の結果の認定作業が行われた際、ドナルド・トランプ大統領の支持派が連邦議会議事堂に侵入しました[1]。

院外の勢力が物理的な力を加えて議員たちの行動に制約を加えようとしたことは議会政治に対する挑戦です。それだけに、今回のような実力の行使が不首尾に終わったことは、米国の議会政治のためにも大いに喜ばしいことと言えるでしょう。

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「1都3県への緊急事態宣言発令」は当局者にどのような態度を求めるか

本日、18時から菅義偉首相が記者会見を行い、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を対象に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて緊急事態宣言を発令する旨を表明しました。期間は1月8日(金)から2月7日(日)までとなります[1]。

1都3県で新規感染者数が増加していること、医療機関の受け入れの状況が逼迫していることなどを考えれば、感染の拡大の防止のために緊急事態宣言が発令されることはやむを得ない措

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「1都3県への緊急事態宣言発令」の後に当局者がなすべきことは何か

明日、政府は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するため、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を対象に緊急事態宣言を発令する予定です[1]。

今年に入ってからの1都3県の状況に鑑みれば、各地の住民や事業者の活動に一定の制約を設ける緊急事態宣言の発令は、さらなる感染の拡大を抑制するために不可欠な措置と言えるでしょう。

その一方で、一時は沈静化の傾向を示していたそれぞれの地域が緊急事態宣言の発令を

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第71回NHK紅白歌合戦が示した限界と可能性

2020年12月31日(木)に放送された第71回NHK紅白歌合戦は、関東地区における総合テレビの平均視聴率が、第1部で34.2%、第2部が40.2%でした[1]。

今回は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という状況を受けて、無観客で開催されました。また、従来から用いられている別の会場との実況中継に加え、局内の複数のスタジオを併用して出演者が歌唱したり、歌唱する様子を仮想的に投影するといった工夫

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