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超短編小説

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超短編小説を集めました。
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記事一覧

【超短編小説】「表と裏」

【超短編小説】「表と裏」

 なになになに、知ってますよ、わかってる、出てこないで。
 と、裏の自分に言ってる、夜。

 今日、国語の授業でなんで手を挙げちゃったんだろう。とか、ルミちゃんと別れたとき、「バイバイ」のトーン低かったかな。とかいう考えが、キノコの倍速成長のように、むくむくと、湧き上がってくる。

 そういう、裏の自分を、どれだけ罵倒しても、絶対、倒れないのが不思議だ。

 そんな強いメンタルあるなら表に出てこい

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【超短編小説】「春のあけぼの」

【超短編小説】「春のあけぼの」

 花の匂い。メルヘンな空。はじめましての仲間たち。春って、わくわくする。
なんていう人とは仲良くできない。

 春は、憂鬱。なにが、なんて考えるのにも、胸がつっかえて、吐き気がする。春なんて、春なんて。ほら、なんにもでてこない。

 春はあけぼの。なんていった人とはとうてい気が合わないだろうけれど、まあでも、春はあけぼの、とするなら、あけぼのだったら、こんな気持ちになっていても、誰にも咎められな

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【超短編小説】「ひとりぼっちのナイトショー」

【超短編小説】「ひとりぼっちのナイトショー」

 バスルームから見えるパチンコ屋はキレイ。磨りガラス越しに見える、黄色、青、白のライトは、水中から見る花火みたいにボンヤリと、眩しい。
 あ……赤も交じった。さあて。

 片手にシャワーヘッドをもって、泡の数だけリズムを刻む。ワンツースリー。

 私は歌う。午前0時。ひとりぼっちのナイトショー。

【超短編小説】「へえへえわかってます」

【超短編小説】「へえへえわかってます」

 当たり前、ってなに。世間的に、常識的に、ってなに。その枠から外れている人を爪弾きにするくせに、それに従っている人もまた、平凡でつまらないと、非難する、その世間って、なに。
 わかってますよ。こんなこと、考えない人が、素敵な人間様だってことくらい。私だって、わかってます。
 わかってるからこそまた、悩むんです。

【超短編小説】「夜はまだ酔いながら」

【超短編小説】「夜はまだ酔いながら」

 お酒を呑んだ帰り道。ざらついていた心が、今はのほほんと潤って、ブランコ漕いでる。
けれど、家が近づいてくると、一歩、また一歩、歩くたびアルコールが、肌の表面から泡になって、空気の中へ抜けていく。重いカタマリになって、背中にのしかかる。
ああいやだ、覚めてしまう。
まだ、夜なのに……。

【超短編小説】「ジャスミンの抱擁」

【超短編小説】「ジャスミンの抱擁」

 互いの口から洩れ出る、ジャスミンティーの優美な香り。旅先のホテルで感じた、あなたの温もり。友だちのままでいるための抱擁は、ふわりと軽い、眠気をさそう。
 あの時、終わりにするはずだった。はずなのに、今また、ジャスミンティーを飲みながら、あなたのことを想ってる。

【超短編小説】「嬉しい、悲しい」

【超短編小説】「嬉しい、悲しい」

 さっきまで、ずんと悲しかったのに、なんだか今は、ぽかぽか心が温かい。なぜかしら? 考えてみても、わからない。心って、単純。
 覚えていられないほど、ささやかなことで、落ち込んだり、嬉しくなったり、するんだから。繊細なのか、ぼんやりしてるのか、わからない。

【超短編小説】「今日はゴミの日」

【超短編小説】「今日はゴミの日」

 ふわふわと寝ぼけ眼で外に出る。冬の朝はまだ暗い。庭の片隅に、一匹の黒猫が座っていた。縮こまってて寒そう。猫を驚かさないように、そっと近寄って、手を伸ばす。「ひやっ」と、それはつるりと冷たくて、プンと、生ごみの匂いがした。

黒いゴミ袋と猫はよく間違える……。話しかけてアッと気づいた瞬間の虚しさよ。