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超近距離介護はじめました

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最近母(N子さん)が自宅から車で40分前後離れた実家を離れ、徒歩圏内にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ入居しました。 そんな日々のこと、介護について感じたことなどを綴っ…
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介護に活用しているアプリ

介護に活用しているアプリ

発売直後の反響

お陰様で今月無事新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』が発売となりました!
嬉しいことに好意的な感想が多く、「必要なはずなのに、今まで発達障害の人が親の介護や老いについて触れている本ってなかったよね!」「できれば自分が親の介護をしている時に欲しかった」とこの本を出した狙いを汲んでいただいて著者としてはありがたい限りです。

本書の中でも色

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新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』のお知らせ

新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』のお知らせ

ご無沙汰しています。ずっとnoteを放置していましたが、実は昨年4月頃から新しい本の企画が立ち上がったためそちらにかかりきりになっていました。

今度の本は『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』です。タイトルを見て気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回も翔泳社さんの「ちょっとしたことでうまくいく」シリーズでの出版となりました。

以前からnoteにも少

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ケアと書類の深い関係

ケアと書類の深い関係

お祝い代わりの任意後見契約母N子さんとは彼女が80歳になったのを機に本人の希望でいざという時に備えて移行型の任意後見契約の公正証書を作成した。
任意後見契約には3種類あるが、移行型というのは本人の判断能力が保たれているうちは委任契約の形で状況に応じたサポートを行えるため、一番使い勝手がいいとされている。

きっかけは「80歳のお祝い、何がいい?」と私が尋ねたことだ。
この回答が「普通のお祝いはいら

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語用論と哲学の話

語用論と哲学の話

暗黙のルールは差異で浮かび上がる私たちは何気なくことばを話している。きっと大多数の人にとって当たり前すぎてことばを話せない状況など想像もつかないだろう。

しかし、同じニュースに対してもSNSなどの反応を見れば反応は千差万別で、中にはこちらの想像を遥かに超えた書き込みを見かけることもある。

読解力の問題と片付ける人もいるかもしれないが、それだけでは済まないのでは?と最近考えている。もちろん基本的

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大豆ミートの進化

大豆ミートの進化

私の夫は肉が嫌いだ。幼い頃は魚も食べられなかったそうだが、私が出会った頃は獣と鳥の肉が断固拒否、魚は臭いがきつい食材は箸をつけないという状況だった。

本人は「僕は肉だけが食べられないから、そんなに偏食じゃない」と言い張っていたが、「日本では肉を使うレシピはかなりの割合だろうから、それを食べられないなら相当な偏食じゃない?」と返したらそれ以降あまり反論しなくなった。

生まれ育った家は父が大の魚好

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ライフサイクルについて

ライフサイクルについて

家族療法について学ぶに当たり、避けて通れないのがライフサイクルという考え方だ。そこで今回はライフサイクルについて私なりの解釈や考えを記したいと思う。

人生の節目に潜む課題ライフサイクルと言われるとピンとこないかもしれないが、日本語で意訳すれば人生の節目とそこで取り組むべき課題と考えればいい。

ライフサイクルについては多くの心理学者たちが述べているが、最も有名なものはエリクソンが提唱したものだろ

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改めて家族について考える

改めて家族について考える

家族療法の話を進めている途中だが、ここで改めて家族とは何かを考えてみたい。

多くの人は家族と言われると両親と子ども(同居していれば祖父母も)をイメージすると思う。つまり

・同居している(利害関係を共にしている)

・血縁や婚姻関係・もしくはそれに準じた関係の人のつながり

というのがポイントになるようだ。

かなり曖昧ではあるが、この2つの条件のいずれかもしくは両方当てはまることが人が家族関係

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家系図を描いてみる

家系図を描いてみる

家族療法を学ぶ上で基本となる考え方は、家族を1つのユニットとして捉え、症状が出ている人をIP(Identified Patient :患者とみなされている人)と呼ぶ。つまり、症状が出ているのは家族の歪みをIPが体現しているのであり、IPの症状を改善させるには家族の関係が変わる必要があるし、家族には変わる力があるという認識なのだ。

私自身大学で家族療法の講義を受けた時もまず初めに自分のルーツを確認

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『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)レビュー

『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)レビュー

Twitterで見かけて興味を持ったのでリアル書店数店で探したが、見つからなかったためネット書店で購入して読み始めてみた。

正直感想としてはかねてより疑問に感じていたことが話題になっていて「ですよねー!」と共感しきりだったが、経済がジェンダーにこんなにも大きな影響を与えていることを改めて認識できたのは大きな収穫だった。

ただ、ジェンダーを見直せば簡単に解決とはいかない。私がとても納得したのは本

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個人と時間について考えるー家族療法の話の前に

個人と時間について考えるー家族療法の話の前に

昨年旧知の仲であるコーチングバンクの原口佳典氏から「以前村上ちゃんの自宅でやった家族療法講座がメチャメチャ分かりやすかった」と連絡をもらい、この話を元に家族療法についてnoteなどにまとめたら?という宿題をもらった。

考えてみたら発達相談はまさに家族療法のインテーク面談の要素を持っている。もちろん家族療法の技法をそのまま使っている訳ではないが、家族療法や交流分析で学んだことは大いに活用している。

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コロナ禍三度目の春に想う

コロナ禍三度目の春に想う

束の間の平穏デルタ株が落ち着いて2021年10月から11月はそれまでの緊迫した雰囲気から少しホッとした空気だったと言えよう。久しぶりに姉や旧友に会ったり、母を連れて上野の美術館へ出向き、やっぱりこういう時間も大切だと実感していた(母も前の家より上野へのアクセスがいいのが分かったのか「今度はフェルメール展へ行こうね!」と外出のモチベーションが上がった様子)。

しかし、12月頃からオミクロン株が世界

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母の体調 私の体調

母の体調 私の体調

スケジュール調整の課題持病がある-それだけで一気にしわ寄せが来るのが通院時間の確保だ。きっと同じような身の上でないとなかなかイメージがつかないかもしれない。

1箇所だけならまだいいのだが、それが複数の病院になると休診日や仕事のスケジュールを加味してパズルの如く当てはめていく必要がある。

最近はこれに加えて親の介護サービスや通院付添の予定もあるから、「えーと、この日ならN子さんは〇〇へ行っている

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ケア軽視社会への疑問

ケア軽視社会への疑問

近代化がもたらしたもの以前note記事で文明は合理性の追求の面があると書いた。便利で快適、すぐに、簡単に、分かりやすく、というフレーズは様々な場面(特に広告)で目にするだろう。

もちろんその恩恵を享受しているので全面否定するつもりはないが、人間というのは合理的ではない要素も多分に内包している。

個人的にそれを実感しているのが新型コロナの流行だ。世の中はリモートワークやオンライン授業と色々動いた

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はなしにならない話

はなしにならない話

冒頭からドドーン!と入れ歯の画像で何事?と思われたかもしれないが、亡き父の入れ歯を買い取ってもらった話の顛末を書こうと思う。

入れ歯は買い取ってもらえる(ことがある)
入れ歯買い取りの申し込みをしたとSNSに書いたら「入れ歯って買い取ってもらえるの?」と友人たちに驚かれた。

もちろん断られることもあるが、入れ歯には金やパラジウムなどの貴金属が使われていることが多く、金属が土台の物は買い取っても

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