村上由美

ASD当事者で言語聴覚士(ST)。連れ合い( 村上真雄 )も発達障害当事者。専門は発達…

村上由美

ASD当事者で言語聴覚士(ST)。連れ合い( 村上真雄 )も発達障害当事者。専門は発達障害と一般向け発声発語指導。今は仕事の他に母親の介護にも追われています。趣味は読書・着物・ペン習字・万年筆・手帳。 SNS投稿だと流れてしまうことをこちらにはまとめていく予定です。

マガジン

  • 超近距離介護はじめました

    最近母(N子さん)が自宅から車で40分前後離れた実家を離れ、徒歩圏内にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ入居しました。 そんな日々のこと、介護について感じたことなどを綴っていきます。

  • 自著を振り返る

  • 発達相談の現場から

    保健センターでの発達相談業務に20年近く関わっています。そこで感じたことを掘り下げてみたいと思います。 (守秘義務があるため個人情報などが特定されないよう適宜修正配慮しています)

  • 家族療法超入門

  • 更年期始まりました

    更年期が始まって体の変化が出てきたことをまとめています。2021年10月からホルモン補充療法を始めたので、その経過もこちらに書いていく予定です。

最近の記事

介護に活用しているアプリ

発売直後の反響 お陰様で今月無事新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』が発売となりました! 嬉しいことに好意的な感想が多く、「必要なはずなのに、今まで発達障害の人が親の介護や老いについて触れている本ってなかったよね!」「できれば自分が親の介護をしている時に欲しかった」とこの本を出した狙いを汲んでいただいて著者としてはありがたい限りです。 本書の中でも色々アプリを紹介していますが、本に書ききれなかったことも補足的に少しずつ書けていけ

    • 新刊『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』のお知らせ

      ご無沙汰しています。ずっとnoteを放置していましたが、実は昨年4月頃から新しい本の企画が立ち上がったためそちらにかかりきりになっていました。 今度の本は『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』です。タイトルを見て気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回も翔泳社さんの「ちょっとしたことでうまくいく」シリーズでの出版となりました。 以前からnoteにも少しずつ親の介護関連記事を時々書いていましたが、気がつけば父が亡くなって今年で4年

      • ケアと書類の深い関係

        お祝い代わりの任意後見契約母N子さんとは彼女が80歳になったのを機に本人の希望でいざという時に備えて移行型の任意後見契約の公正証書を作成した。 任意後見契約には3種類あるが、移行型というのは本人の判断能力が保たれているうちは委任契約の形で状況に応じたサポートを行えるため、一番使い勝手がいいとされている。 きっかけは「80歳のお祝い、何がいい?」と私が尋ねたことだ。 この回答が「普通のお祝いはいらない。でも、代わりと言っては何だけど後々もめないよう、いざという時に誰が介護の手

        • 今年もよろしくお願いいたします

          近況報告9月以降コロナ禍での規制が徐々に緩和したことに伴い、オンライン研修なども徐々に復活。発達相談もニーズがどんどん増えたこともあり、急遽相談日を設けられ、それもあって記事更新ができずにいました。 今年は書きかけの家族療法の話や最近の発達相談で感じていることを綴っていけたら、と思っています。 最近の生活は仕事と母の介護が中心で、それに趣味のペン習字と着物、そしてアプリで聞くNHKの英語講座が加わる感じです。 TwitterやInstagramで趣味の話題はぼちぼち更新してい

        介護に活用しているアプリ

        マガジン

        • 自著を振り返る
          9本
        • 超近距離介護はじめました
          24本
        • 発達相談の現場から
          33本
        • 家族療法超入門
          7本
        • 更年期始まりました
          12本
        • 「好き」と付き合う
          2本

        記事

          語用論と哲学の話

          暗黙のルールは差異で浮かび上がる私たちは何気なくことばを話している。きっと大多数の人にとって当たり前すぎてことばを話せない状況など想像もつかないだろう。 しかし、同じニュースに対してもSNSなどの反応を見れば反応は千差万別で、中にはこちらの想像を遥かに超えた書き込みを見かけることもある。 読解力の問題と片付ける人もいるかもしれないが、それだけでは済まないのでは?と最近考えている。もちろん基本的な文章を読み解く力は重要だが、更に一歩踏み込んで考える必要性を感じている。 そ

          語用論と哲学の話

          大豆ミートの進化

          私の夫は肉が嫌いだ。幼い頃は魚も食べられなかったそうだが、私が出会った頃は獣と鳥の肉が断固拒否、魚は臭いがきつい食材は箸をつけないという状況だった。 本人は「僕は肉だけが食べられないから、そんなに偏食じゃない」と言い張っていたが、「日本では肉を使うレシピはかなりの割合だろうから、それを食べられないなら相当な偏食じゃない?」と返したらそれ以降あまり反論しなくなった。 生まれ育った家は父が大の魚好きで食卓にも魚ばかり出ていたような家だからか、当初からあまり抵抗を感じなかったが

          大豆ミートの進化

          ライフサイクルについて

          家族療法について学ぶに当たり、避けて通れないのがライフサイクルという考え方だ。そこで今回はライフサイクルについて私なりの解釈や考えを記したいと思う。 人生の節目に潜む課題ライフサイクルと言われるとピンとこないかもしれないが、日本語で意訳すれば人生の節目とそこで取り組むべき課題と考えればいい。 ライフサイクルについては多くの心理学者たちが述べているが、最も有名なものはエリクソンが提唱したものだろう。 彼の名前やライフサイクル理論について知らなくても、アイデンティティ(自己

          ライフサイクルについて

          改めて家族について考える

          家族療法の話を進めている途中だが、ここで改めて家族とは何かを考えてみたい。 多くの人は家族と言われると両親と子ども(同居していれば祖父母も)をイメージすると思う。つまり ・同居している(利害関係を共にしている) ・血縁や婚姻関係・もしくはそれに準じた関係の人のつながり というのがポイントになるようだ。 かなり曖昧ではあるが、この2つの条件のいずれかもしくは両方当てはまることが人が家族関係について意識する要素だと言えよう。 恐らく家族ができた一番の理由は子どもを育て

          改めて家族について考える

          家系図を描いてみる

          家族療法を学ぶ上で基本となる考え方は、家族を1つのユニットとして捉え、症状が出ている人をIP(Identified Patient :患者とみなされている人)と呼ぶ。つまり、症状が出ているのは家族の歪みをIPが体現しているのであり、IPの症状を改善させるには家族の関係が変わる必要があるし、家族には変わる力があるという認識なのだ。 私自身大学で家族療法の講義を受けた時もまず初めに自分のルーツを確認するために家系図を描いた。当時はまだ20歳前後だったが、描いてみると自分の背景の

          家系図を描いてみる

          『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)レビュー

          Twitterで見かけて興味を持ったのでリアル書店数店で探したが、見つからなかったためネット書店で購入して読み始めてみた。 正直感想としてはかねてより疑問に感じていたことが話題になっていて「ですよねー!」と共感しきりだったが、経済がジェンダーにこんなにも大きな影響を与えていることを改めて認識できたのは大きな収穫だった。 ただ、ジェンダーを見直せば簡単に解決とはいかない。私がとても納得したのは本書に繰り返し批判的に述べられている 女性を加えてかき混ぜる という表現だ。つ

          『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)レビュー

          個人と時間について考えるー家族療法の話の前に

          昨年旧知の仲であるコーチングバンクの原口佳典氏から「以前村上ちゃんの自宅でやった家族療法講座がメチャメチャ分かりやすかった」と連絡をもらい、この話を元に家族療法についてnoteなどにまとめたら?という宿題をもらった。 考えてみたら発達相談はまさに家族療法のインテーク面談の要素を持っている。もちろん家族療法の技法をそのまま使っている訳ではないが、家族療法や交流分析で学んだことは大いに活用している。 社会の変化に伴って家族の形も変わりつつある今、改めて個人や家族について考える

          個人と時間について考えるー家族療法の話の前に

          ことばの発達が気になる子どもの相談室 明石書店

          まえがきにも書いたが、この本は以前共著の原稿を書いた同じ明石書店の本『仕事がしたい! 発達障害がある人の就労相談』という本の担当編集者から「村上さん、ことばの相談本を書いてみませんか?」と声をかけてもらったのがきっかけで出た。 書こうと決めた理由ことばの相談については既にいくつも名著が出ているし、今ではネットにもこの手の情報が溢れている。正直私でいいのだろうか?という迷いもあった。 それでも書いてみようと思った理由はやはり自分の経験を通した複眼的な視点を活かせた内容を書け

          ことばの発達が気になる子どもの相談室 明石書店

          2年ぶりのヘアドネーション

          昨日久々にヘアドネーション目的で美容院へ行ってきた。仕事柄髪をまとめておきたいのと、発達障害だと人の顔の区別がつかないから髪型や声で判別している人は案外多いので、あまり顔の周囲が変化しないよう結べる長さにしている。 きっかけは「もったいない」と思ったこと小学校3年生頃からほぼロングヘアにしていた。長髪にしていると「髪を縛るのが面倒じゃない?」「夏は暑くない?」と聞かれるが、我が家は母から髪の毛を伸ばすなら必ず自分で結ぶことを条件にされていたのでそれこそ手慣れている。それに夏

          2年ぶりのヘアドネーション

          コロナ禍三度目の春に想う

          束の間の平穏デルタ株が落ち着いて2021年10月から11月はそれまでの緊迫した雰囲気から少しホッとした空気だったと言えよう。久しぶりに姉や旧友に会ったり、母を連れて上野の美術館へ出向き、やっぱりこういう時間も大切だと実感していた(母も前の家より上野へのアクセスがいいのが分かったのか「今度はフェルメール展へ行こうね!」と外出のモチベーションが上がった様子)。 しかし、12月頃からオミクロン株が世界を席巻し、日本も再び警戒モード全開な状況へ。医療従事者なので12/23にブースタ

          コロナ禍三度目の春に想う

          母の体調 私の体調

          スケジュール調整の課題持病がある-それだけで一気にしわ寄せが来るのが通院時間の確保だ。きっと同じような身の上でないとなかなかイメージがつかないかもしれない。 1箇所だけならまだいいのだが、それが複数の病院になると休診日や仕事のスケジュールを加味してパズルの如く当てはめていく必要がある。 最近はこれに加えて親の介護サービスや通院付添の予定もあるから、「えーと、この日ならN子さんは〇〇へ行っているはずだから…」とまずスマホのカレンダーアプリで予定を確認するようになった。 比

          母の体調 私の体調

          ホルモン補充療法開始後の変化

          ちょうどホルモン補充療法を始めて2ヶ月が経過した。最初は半信半疑だったが、徐々に体が変化しているのを実感しているので記録しておきたいと思う。 血圧の変化最初に変化を感じたのは血圧だった。ホルモン補充療法を始める前にも主治医が漢方薬の血圧を上げる成分を減らしていた。自分でも食事に気をつけ、血圧に効果のあるグリップ運動なども導入していたが、3回計ってようやく一番低い値がギリギリ正常範囲という感じで効果はゼロではないけど今ひとつだった。 ところがホルモン補充療法を始めると1週間

          ホルモン補充療法開始後の変化