2023年10月の記事一覧
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】⑤
【血に染まった町】
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自動小銃を撃ちながら、レストランに向かい歩いてくる男は、宗教の言葉を叫んでいた。友哉にはそれの意味も分かった。「我々の神は偉大だ。世界を創造したのは我々の神だ。資本主義社会は間違えている」と言っていた。
歩道にいた人たちが壊れたロボットのように倒れていく。
そして路面が赤く染まった。
「やだー!」
ゆう子がホテルの部屋で悲鳴を上げている。
「奥原、落ち着け!絶対に窓から
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】②
【わたしを信じて】
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「娘さんと楽しそうにしていたあの頃のあなたに戻してあげたい気持ちもあるの。でも、わたしの場合はいろんなことがばれて、わたしがあなたに嫌われると思う。女らしいことができないからさ。しかも、わたしみたいな女は優秀な男性には嫌われて当たり前なんです」
「俺は優秀じゃない。君が有名な美人女優で一般の男に嫌われる理由があるなら、その男が平凡ということだ。自分に自信がない。君のよう
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第二話】①
【わたしがあなたを守ります】
(10月17日。誤字など修正しました)
◆
空港に到着後、ワルシャワのホテルにチェックインする。
部屋に入ると友哉はすぐに、「SF映画に出てくる転送ってやつが本当にできるなら、その練習をさせてくれないか」と、シャワーを浴びに行こうとした彼女を制した。
「シャワーに向かう女を止める男の人…」
ゆう子がうんざりした顔で言った。
「女のシャワーは長い。嫌いじゃないが、
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑧
【病気を治す神秘の光『Marie』】
「友哉さんが、テロリストと戦っても誰か分からないようにする作戦も練ってあります。AZには高度な技術からくだらないマニュアルまでなんでも入っています」
「くだらないマニュアルって」
ゆう子は少しはにかんだ。
「友哉さんの女性の服装の好み、下着の好み、セックスのプレイの好み。…データに入ってます。分かるそうです。下着の好み……薄い色のを持ってきましたよ」
「洋服
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑦
【未来が見えるデバイスAZ】
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「AZの画面に触れるとスイッチが入ります」
シートベルトを外すと、ゆう子はすぐにテーブルの上にAZを出した。風船が膨らむように、それは、ゆう子の手元に現れた。
画面に触れると表面がグリーンに光る。
すぐ近くにキャビンアテンダントがいたが、キャビンアテンダントは気にしてない。
――見えない?
「あの、すみません。電子機器を使っていいんですか」
友哉が若いキャビン
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑥
【衝撃】
◆
搭乗口から機内に向う途中、
「さっきのAZというデバイス。出たり消えたりは君のリングの力じゃないの?」
友哉は彼女に聞いてみた。
「とてもシンプルでキレイな指輪、ありがとうございます。センス抜群ですね。わたしの指輪の力は、友哉さんとの通信だけですよ。このAZは、なんか分からないけど勝手に出てくるんです」
「勝手に?」
「見たいなあ、とか出てきてほしいなあ、とか思ったら手元に出てく
小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】⑤
【謎のデバイスAZ】
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「しかも純文学っぽいのにSF的な哲学が出てくる。そこは興味があった」
「……」
「過去と今の君は違うって若い妻に言うの。それも感情的な恋愛論ではなくて、物理学的な話。文学の先生なのに物理学って。真逆」
ゆう子がおかしそうに笑った。
「そうか…」
「先生?」
急に言葉を無くしている友哉をゆう子が覗きこむ。
「俺の過去をトキとかいう興信所の奴みたいな男から聞いた。それだけ