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とーと
2024年3月27日 10:22
(2501文字)高校生1年生から2年生にかけて、週に3日くらい千代田区神保町にあったカウンターだけのカレー屋でバイトをしていた。牛丼チェーン店などでよくある、店員が動くスペースをコの字で囲んだようなカウンター。客席は12〜15くらいだったと思う。埼玉からわざわざ東京までバイトに通っていたのは、神保町の隣にある御茶ノ水の中古レコード店に寄るためだった。手渡しだったバイト料が入るとディスクユニ
2024年1月23日 23:16
(1921文字)何年か前に、ハワイから帰国した妹と母と話していた時のこと。「そういえばYさんどうしてるだろうね」急に妹がそう言った。Yというのはボクが初めて付き合った女性で、高校生の頃から21歳までの目まぐるしく環境が変わる時期を一緒に過ごした。なぜ急にそんなことを言い出したのかと尋ねると、そこからさらに6〜7年くらい前に、帰国して母と駅前を歩いていた時に偶然会ったという。将来は結婚
2023年6月15日 19:42
中学3年生の時の担任は、音楽のS先生だった。よく通る太い声の40代くらいの男の先生で、スポーツ刈りに少し色のついたメガネという風貌は、ドラマの刑事か犯人かという印象だった。S先生はその印象の通り怖い先生で、実際にはやらなかったものの、「爪の下に安全ピンを刺すぞ」などと脅し文句をいくつか持っていた。今そんなことを言ったら問題にされるのではないだろうか。高校受験が迫った1月だったと思う
2023年4月27日 23:27
彼はゴーグルと呼ばれていた。なぜそう呼ばれていたのかは覚えていない。ボクの通っていた中学校には知的障害児の複式学級があり、ゴーグルはその教室の生徒だった。人懐っこく、休み時間の廊下でボクたちの顔を見ると、手を振りながら駆け寄ってきた。その度に「ゴーグルが来たぞ〜」などと言って笑いながら逃げてからかったりしていた。ボクたちのクラスは、遠足などのイベントがあると、複式学級の生徒が一緒に行動
2022年5月18日 10:09
高校生2年の夏休み、ボクはトラックの助手という短期アルバイトをしていた。助手と言っても、荷下ろしの手伝い。名産地から西瓜を満載してきたトラックの助手席に乗り込み、築地や所沢などにある青果市場で下す。西瓜は割れやすいので手作業になる。大きな西瓜がふたつ入った重い箱を、ひたすらトラックから下し、指定されたパレットの上に積んでいく。シートが取り払われ、11トントラックの荷台に現れる西瓜の箱の山
2022年4月22日 18:07
ボクが中学生の頃は、まだ女子のセーラー服のスカートは長かった。Kは二歳上の三年生。ボクは一年生だった。Kはくるぶしが被るくらいの長さのスカートをはいていた。いつもそのスカートのポケットに手を突っ込み、ぺったんこの学生鞄を抱えていた。お世辞にも美人とは言えず、体型もずんぐりしていたように思う。彼女とはどこで知り合ったのかは全く覚えていない。しかしなぜか、歳も性別も違うボクたちは、学校か