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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2022年9月の記事一覧

<閑話休題>ゲーテ『ファウスト』の名セリフから

<閑話休題>ゲーテ『ファウスト』の名セリフから

 ゲーテ『ファウスト』は、小説ではなくてれっきした舞台を必要とする戯曲だが、そのセリフは抒情詩のような高雅な香りと、講談のような社会風刺に満ちた人生訓に満ちている。

 先日、終活の一環として、学生時代に読んで感動した手塚富雄訳(中公文庫)の『ファウスト』を、実家から自宅に持ってきたところ、ページの端を折っている箇所がたくさんあることを見つけた。それは、当時(21歳頃)の僕が感動した名セリフがある

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<海外TVドラマ評>『スーパーナチュラル、シーズン15』及びシーズン全体を通しての感想

<海外TVドラマ評>『スーパーナチュラル、シーズン15』及びシーズン全体を通しての感想

 本当は2020年に終了するはずだった最後のシーズン15は、新型コロナウイルス感染拡大により撮影が続行できず、2021年シーズンに持ち越すこととなった。また、通常ひとつのシーズンは22話で構成され、また最後のシーズンとしても特徴あるエピソードを織り込むべきでありながら、いつもあるいわゆる「遊び」としての、主人公をパロディーの世界(例えば、西部劇、ホラー映画、ハイスクールものを茶化したもの)に迷いこ

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<芸術一般>第5回オマージュ瀧口修造展(1985年7月23日、銀座佐谷画廊)

<芸術一般>第5回オマージュ瀧口修造展(1985年7月23日、銀座佐谷画廊)

(これは佐谷画廊の瀧口修造展を見たときの感想です。当時、就職して3年が経ち、学生時代にはまっていたシュールレアリズムなどの芸術論の世界に、つかの間戻れたことの感想です。これを、定年退職した今、「美しくない」箇所を加筆・修正するとともに、ニーチェのピッタリな言葉が見つかったので、巻頭に掲示します。)

「人生を遊戯のごとく見えさせ、われわれをありきたりの宿命から遠ざけてくれる芸術」
  F.W.ニー

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<閑話休題>円環的時間を語るための、ひとつのイメージ(一種の文学的断章)

<閑話休題>円環的時間を語るための、ひとつのイメージ(一種の文学的断章)

 (スティーヴン・ホーキングの語る虚時間とは、虚数によって表される時間であり、虚数は英語ではimaginary time であり、その説明は、Time measured using imaginary numbers. ⦅虚数によって測られる時間⦆となる。だから虚時間とは、正確には、想像数<または想数>によって、測られる想像時間<または想時間>、カタカナを使えば、イメージ時間となるのだ。つまり、イ

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