上杉 勇司 (早稲田大学国際学術院教授) <紛争解決学・平和構築論>

早稲田大学国際教養学部・大学院国際コミュニケーション研究科■沖縄平和協力センター副理事…

上杉 勇司 (早稲田大学国際学術院教授) <紛争解決学・平和構築論>

早稲田大学国際教養学部・大学院国際コミュニケーション研究科■沖縄平和協力センター副理事長■広島平和構築人材育成センター理事■沼津東高■国際基督教大学(学士)■George Mason University(修士)■University of Kent(博士)■無双直伝英信流篤志会

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記事一覧

『紛争地の歩き方─現場で考える和解への道 (ちくま新書)』の書評(1)

成蹊大学の平和学特講Bの学生から寄せられた書評です。前回は全ての書評を一挙に公開しましたが、長くなってしまったので、今回は一つ一つ紹介していきます。書評の後に著…

書評『どうすれば争いを止められるのか』

成蹊大学にて平和学特別講義Bを受講した学生に書評をお願いしました。書評とともに私の返答を記します。上杉勇司『どうすれば争いを止められるのか 17歳からの紛争解決学…

第3回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第三回 争いの「正義」とは何か 今回の授業では、教科書で紹介された次の5点を起点に、学生たちに自由に議論してもらった。(1)紛争の当事者はなぜ正義を必要とするの…

《第1回》 紛争地の歩き方─現場で考える和解への道(ちくま新書、2023年)

【シリーズ概要】本シリーズでは、拙著『紛争地の歩き方─現場で考える和解への道』(ちくま新書、2023年)から一部を抜粋して読者にお届けする。(写真:アフガニスタンに…

第2回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第二回 争いは暴力で解決できるのか 今回の授業では、教科書を批判的に読んでみた。教科書で提示された主張に対する批判ではなく、筆者が議論の前提としている考えを批判…

学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第一回目:番外編ChatGPTに前回の記事を読ませたところ、次のような返事がありました。結構、私が強調したかったことが書かれています。役に立つと思いましたので、Bingの…

チームビルディング

群れをチームに変える魔法  人間は群れる生き物。群れのなかで目標を共有し、互いが長所で短所を補いあうことができれば強い。クラス、クラブ、部活、スポーツ、仕事で、…

第1回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

学生との対話とはこんにちは。上杉勇司と申します。私は早稲田大学国際教養学部で教鞭をとっています。この学部は英語ではSchool of International Liberal Studies 、略し…

『紛争地の歩き方─現場で考える和解への道 (ちくま新書)』の書評(1)

『紛争地の歩き方─現場で考える和解への道 (ちくま新書)』の書評(1)

成蹊大学の平和学特講Bの学生から寄せられた書評です。前回は全ての書評を一挙に公開しましたが、長くなってしまったので、今回は一つ一つ紹介していきます。書評の後に著者(上杉)の返答を付してあります。

本書では、研究や実務で訪れた9つの紛争地に肉薄した筆者が、単純な紛争地の紹介にとどまらず、紛争の背景や構造についても深く切り込む姿が印象的でした。

読み進むにつれ、全ての紛争の要因は結局のところ経済利

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書評『どうすれば争いを止められるのか』

書評『どうすれば争いを止められるのか』

成蹊大学にて平和学特別講義Bを受講した学生に書評をお願いしました。書評とともに私の返答を記します。上杉勇司『どうすれば争いを止められるのか 17歳からの紛争解決学』(WAVE出版、2023年)https://amzn.asia/d/73eVJ1l

紛争と正義:暴力と平和の葛藤 本の要約をすると、まず紛争とは「個人や集団が両立不可能な目標を、武力を使ってまで達成しようとしている状態」を指す。この場

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第3回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第3回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第三回 争いの「正義」とは何か 今回の授業では、教科書で紹介された次の5点を起点に、学生たちに自由に議論してもらった。(1)紛争の当事者はなぜ正義を必要とするの?(2)正義は法律で定められているの?(3)なぜ宗教が関わる紛争はこじれるの?(4)テロをなくすための暴力は許される?(5)「報復」は本当に有効なの?

学生 国際連合の機能と課題

 私たちのグループでは、大きくまとめてなぜ世界的な問題を

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《第1回》 紛争地の歩き方─現場で考える和解への道(ちくま新書、2023年)

《第1回》 紛争地の歩き方─現場で考える和解への道(ちくま新書、2023年)

【シリーズ概要】本シリーズでは、拙著『紛争地の歩き方─現場で考える和解への道』(ちくま新書、2023年)から一部を抜粋して読者にお届けする。(写真:アフガニスタンにて、知らぬまに地雷原に入ってしまった。地雷除去要因が真っ青な顔で駆け寄り注意してくれた。)

はじめにー見て、感じ、考える旅本書から何が得られるか

世界の紛争地を歩くことで見えてきた和解の本質を学ぶことができる

コロナ禍が過ぎ去った

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第2回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第2回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第二回 争いは暴力で解決できるのか 今回の授業では、教科書を批判的に読んでみた。教科書で提示された主張に対する批判ではなく、筆者が議論の前提としている考えを批判してもらった。前提であるので、必ずしも教科書内に言語化されていない。議論の前提を推測し、その前提に対して「ツッコミ」を入れるようお願いした。

学生A 紛争と暴力についての議論:大衆心理とリーダーの心理が紛争を長引かせる

・紛争は終わらな

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学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第一回目:番外編ChatGPTに前回の記事を読ませたところ、次のような返事がありました。結構、私が強調したかったことが書かれています。役に立つと思いましたので、Bingのチャットの結果と合わせて共有します。

ChatGPT

 記事は、「学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇」というタイトルで、早稲田大学国際教養学部の基礎演習の授業で行われた平和に関する対話集の内容が掲載されて

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チームビルディング

チームビルディング

群れをチームに変える魔法

 人間は群れる生き物。群れのなかで目標を共有し、互いが長所で短所を補いあうことができれば強い。クラス、クラブ、部活、スポーツ、仕事で、そのことは実感できるはずだ。課題は、ただの群れ(グループ)を目的を共有したチームに変えること。私は大学の授業で、外務省に委託を受けた平和構築・開発のための人材育成事業で、そしてNGOの活動を通じて、瞬時に「群れ」を「チーム」に変える魔法を

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第1回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第1回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

学生との対話とはこんにちは。上杉勇司と申します。私は早稲田大学国際教養学部で教鞭をとっています。この学部は英語ではSchool of International Liberal Studies 、略してSILSと呼びます。ここでは、私がSILSで担当している基礎演習(First Year Seminar A)で、私が受講生たちと交わした対話を書き留めていきます。毎週、受講生たちは、授業中の議論のな

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