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みじか〜い出会い・三つの思い出

[ 1 ] キューバ 
ハバナで通りを歩いていると、中年の女性が私の顔をじっと見つめている。そして、左手で右の腕を上から下へさする動作をしている。

何か伝えたいのだということまではわかったのだが、それが何なのか私が知るのはホテルに戻って地元のガイドさんに聞いてからだった。

この女性は石鹸がほしかったのだった。ああ石鹸。。。持って歩いていればよかった。

[ 2] チェコ 
息子はチェコのガールフレンド、エヴァが帰国すると彼女を追ってチェコの小さな町に住み移った。

翌年、下の息子も連れて訪ねに行ったときのこと。エヴァの育った村で弟と両親、それにおばあさんに紹介された。

小柄で日本のおばあさんのよう。こちらの手を自分の両手でつつみわたしの目を見ながらチェコ語で何か言っている。エヴァが訳してくれた。

「先の戦争ではつらい思いをしました。もう戦争はどこでも絶対にやってほしくない、そう思うんです。同じお気持ちでしょう?」

1968年チェコがまだチェコスロバキアだった時の民主化運動「プラハの春」それを弾圧する目的でロシアが軍事介入した歴史を身をもって体験した女性の言葉。

 [ 3] ロシア 
昭和40年。ナホトカの港で横浜へ向かう船を待っていた。

13歳ぐらいの少女とわたしは通じる言葉があるはずもないのに、けっこう二人の「会話」を楽しんでいた。

少しして、少女の指輪を指して「きれいねえ」と言うと、少女はすぐその指輪を抜いて、私にもらってほしいとジェスチャーをする。

そんな気持ちはない、もちろんもらうことはできない。。。どんなに言ってもどうしても少女は聞いてくれない。

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今その大切な指輪は私のたんすで母の指輪のとなりに眠っている。

その日少女と家族のあいだでどんな会話があったのだろう。

あれから50数年、指輪の主はどんな人生をおくっているのだろう。



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つか子と「あの人」 
エピローグ:つか子と「あの人」   
つか子と「あの人」:プロローグ1〜6 


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                     『みじか〜い出会い・三つの思い出』
            『夫の質問:タンスの底』  『外せないお面』 


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