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#読書日記
中村文則『遮光』、読書メモ
以下、『遮光』読書会(https://note.com/yozora/n/ne60c2af7326c )時のメモです。
冒頭のサルトル、エロストラートと銃
が、カミュも
太陽が眩しいから殺した、というカミュの異邦人が想起される。ペストのような細かな心理描写。講演で意識してないとは言うものの、その講演でもカミュを扱っており、彼とフランス文学の親近性が窺える。
見られている感覚
悲しいからなくのか
読書記録010「TVピープル」村上春樹
基本的に『TVピープル』収録の6つの短編は、コミュニケーションの失敗や挫折を描いている。
村上春樹の作品の主要なものは、意志の疎通がとれないながらも、物語が進んだり関係性が発展していくものが多い傾向にあるが、ここに収められた短編はどれも他者との交流が断絶したところで話が終わっている。関係が発展しない代わりに表現されているのは、喪失感に彩られた奇妙なリアリティだ。
たとえばそれは普通の人の0.7倍の
読書記録008「光媒の花」道尾秀介
ちょっと引いてしまうほど話が巧い。
なぜなんだろう?と考える。どうしてこんなに巧いと感じるのだろう?
『光媒の花』は六編の短編から構成されていて、同じ世界観のもとに書かれた連作であり、それぞれの登場人物がほかの短編のなかにも影を落とすようになっている。いわゆるスターシステム的な要素。これによって読んでる方は興奮する。しかしそれはジャブに過ぎない。では、それぞれの独立した短編として読むにしても、
読書記録007「毒身」星野智幸
変な本を読んだ、というのが初読の印象だ。
奇妙で、面白い。刺激がある。それは構成の妙と、キャラクターの見せ方にかかわっている。ストーリーを紙に書いて、箱に入れ、それを見ないでよくかき混ぜ、取り出した順に並べていく。そういう方法を提案していたのは、バロウズだったか、ブルトンだったか、ウディ・アレンだったか、あるいはその全員だったか、忘れたが、そういう「時間軸の攪乱」が物語にいいコクを与えている。
読書記録006「私の奴隷になりなさい」サタミシュウ
会社の同じ職場の女性に惹かれるが、冷たくあしらわれる。そんな経験がいままでなかったから、主人公は一層その女性に執着するようになる。突然機会が訪れる。「今日、セックスしましょう」。そして、「ビデオカメラで撮ることが条件」だという。主人公は謎を抱えたまま、その女性と行為に至ることになる……。
官能小説でなくても性行為の描写は結局のところパターン化されているが、その限定された条件のなかでどのように性行