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マルクス恐慌論への序章
クライン『ケインズ革命』の翻訳者宮沢健一氏は「一般にマルクス恐慌論には三つの思想があるといわれている。…しかしこれら三つの理論は相互に完全に融合されておらず、また時として相互に矛盾する独立の原理として扱われてきた。」と批判している。すなわち「第一は資本構成高度化による利潤率低下の理論であり、第二は生産諸部門の不比例性の理論であり、そして第三は大衆の貧困化による消費力の限界の理論である。」、と。〔
もっとみる青い鳥のラプソディー
浅草は変わることの少ない場所だといえるでしょう。あのバブル期の地上げ騒ぎも何の跡形も残さず、雷門の前には、人待ち顔の男女や、順番を待つように大提灯の下で写真を撮る人の姿が昔どおりに見られます。
門の雷神像の下で、和服地の上着を着、山吹色の巾着を手に、やや下膨れの横顔を見せている中年の女に、折りたたんだ新聞を手にブレザーを着て革靴を履いた中年男が近づいて、
「——さん、ですね。」
と声をかけま