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On Sraffa, etc. スラッファ、など

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作家 林由彰の著書です。
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記事一覧

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Yoshiaki Hayashi
4か月前

社会主義についての断章

『コルナイ・ヤーノシュ自伝』(Kornai,2005)に従えば、社会主義の現実は全体を包括する、慢…

Yoshiaki Hayashi
4か月前
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価値論史におけるスラッファの位置

1  リカードの関心が分配論にあったことはよく知られている。リカードは『経済学および課税…

Yoshiaki Hayashi
4か月前
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マルクスの労働観をめぐって

はじめに  『資本論』第三部最終編の四十八章「三位一体的範式」において述べられている労働…

Yoshiaki Hayashi
4か月前
1

マルクス恐慌論への序章

 クライン『ケインズ革命』の翻訳者宮沢健一氏は「一般にマルクス恐慌論には三つの思想がある…

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マルクスの学説における貨幣の位置

1  商品とは自己の欲求満足のためではなく、他者の需要を目的に生産されるものである。従って…

Yoshiaki Hayashi
4か月前

ケインズの学説における貨幣の位置

1  ケインズが批判した「古典派」経済学は「貨幣ヴェール観」に基づいていた。そこでは貨幣は交換の媒介物の役割しかもっていない。販売で得られた貨幣は購買のためのものでしかないから、作ったものはすべて売れるというセー法則が成り立ち、生産者間の競争は可能な極大水準まで生産の拡大が促され完全雇用が常に成り立つことになる。また貨幣ヴェール観によって貨幣は実物世界になんら影響を及ぼさず、物価水準を定めるものでしかないという「貨幣数量説」が成り立つ。  ケインズは貨幣数量説の不十分さを認識