ケインズの学説における貨幣の位置
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ケインズが批判した「古典派」経済学は「貨幣ヴェール観」に基づいていた。そこでは貨幣は交換の媒介物の役割しかもっていない。販売で得られた貨幣は購買のためのものでしかないから、作ったものはすべて売れるというセー法則が成り立ち、生産者間の競争は可能な極大水準まで生産の拡大が促され完全雇用が常に成り立つことになる。また貨幣ヴェール観によって貨幣は実物世界になんら影響を及ぼさず、物価水準を定めるものでしかないという「貨幣数量説」が成り立つ。
ケインズは貨幣数量説の不十分さを認識