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アオハルレボリューション
ハーレムだと思ってた。
僕は高校生のとき演劇部に所属していたのだけど、同学年の部員13名のうち男性部員は僕だけだった。
それは僕にとっては「僕と12名の女子部員たち」であって、ハーレムアニメとして市場を席捲してもいいくらいにはセンセーショナルな環境といえた。
まったくもって稚拙な思考である。若気のなんとやら。
ところで演劇部というと適当に発声練習してたまにお遊戯会する、みたいな印象の人もい
いつかの少年と少女が行く場所
僕は小学生だったころ、横断歩道を渡りながらその白線を数えていた。
その行為に特段意味はなかったけど、カウントしながらステップを踏むことが気持ちよかった。それはいつしか僕のルールになっていて、公園の敷石でも街道のタイル画でも、歩きながら数えられるものは何でも数えた。
1、2、3。
1、2、3。
思えばあのころは好奇心に満ちていた。空の色や雨の味、花の蜜や虫の声。色々なものを目の当たりにしては
絶望だった物語が希望となった理由
僕は一度「物語作り」に挫折している。
シナリオライターとして理想の物語を紡ぐことが目標だった。でもその厳しさを思い知ってからは、夢とか目標とかそんなフレーズを思い浮かべては見て見ぬふりを決め込んでいた。
でも今再び「物語作り」と向き合っている。
今度はおそらく死ぬその瞬間まで目を逸らすことはないだろう。実はこれにはある人との出会いが関連していて、今日はその出会いについて文章を綴ってみようと思
白い息(創作シナリオ)
※このシナリオはドラマ脚本をベースにしています
「白い息」
●人物
田中幸四郎(68)無職
田中聡子(65)幸四郎の妻
〇階段
いかにも年期の入ったコンクリートで造られた階段が続いている。
壁に囲まれていて明かりもなく、暗い。壁には長い亀裂が入っていて今にも崩れてしまいそうだ。
乱れた人の呼吸が聞こえる。階段の手すりを掴みながら、苦しそうに上ってくる田中幸四郎。
その幸四郎に手を引かれ