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ラムちゃんが、諸星あたるに愛想をつかさない理由

特に見ようと思って意識してるわけでもないのに、「ついつい見ちゃう」という妙に吸引力あるアニメがひとつある。
私にとって、それが「うる星やつら」だ。
これ面白いか?と聞かれれば、う~ん、どうだろう?
あまり面白いか面白くないかは問題じゃなく、ただラムちゃんが見たいのだ。
改めて思うが、ラムちゃんの魅力は凄い!
そのビジュアルというより、その性格が異様なほど魅力的である。
彼女の性格のマイナスポイントとして「嫉妬深い」というのがあるが、でも不思議なことに、彼女には「重い女」というイメージが全く湧かない。
確かに諸星が浮気をすれば容赦なく電撃を加えるものの、ただそれだけである。
その後に、ネチネチしたものが全くないんだ。
つまり、そこに女性特有のあとを引く粘着性はなく、常にカラッとしていてお仕置きですらどこか明るく健康的なんだよね。
そのくせ、諸星の浮気に慣れてくることで執着が薄れるかと思えば、そんな気配は全くない。
初心を忘れることなく、常に諸星への執着は一定のテンションを保ち続けている。
その愛情は冷めることなく、常に一途である。
そこには、諸星への「ダメな子ほどカワイイ」という、ラムちゃんの母性のようなものまで含まれてると思う。
・・こんな理想的な嫁、この世に実在するだろうか?

ラムちゃん役の上坂すみれさんの声質もいいよね

それにしても、諸星あたるという男はホントにサイテーである。
よく「この素晴らしい世界に祝福を」のカズマがクズ呼ばわりされてるが、クズ度でいえば諸星の方が上だろう。
「このすば」は、多少なりとも「うる星やつら」のオマージュという感じもあるし。
ただ諸星の場合、成分の95%がクズでも、5%ぐらいはカッコいい要素があるんだよ。
この95:5という比率がまた絶妙であり、ラムちゃんの愛が冷めないのはそのへんに理由があるのかもしれん。
95%の前提があるからこそ、レアな5%の利点にやたら破壊力があるのよ。
これ、逆に95%が誠実で、でも5%がクズだったらかえってマズいのかもしれん。
前提が前提なだけに、がっかり感が強調されるでしょ?
以前に聞いたことがあるが、ジゴロのテクニックというのは普段粗暴に振る舞い、でも稀に、ほんの僅かだけ優しさを見せるのだという。
諸星がそういうのを意識してるとは思わんが、彼が時々少しだけラムちゃんへの愛を見せた時、なんだかこっちまでラムちゃん同様テンション上がってしまう。
「ノイタミナ」は女性視聴者が多い枠ゆえ、こんなに女性好感度の低い諸星が主人公で大丈夫かいな?と思ってたが、これはこれで大丈夫なような気がしてきた。

なんのかんの言いつつ、やはり諸星は憎めない男である

個人的に今放送してる2期は、以前の1期に比べてもかなりいい感じだと思っている。
というのも、それは諸星が普段はめったに見せることない、彼の素の人格に焦点を当てたエピソードが2期には結構チョイスされてるという点にあるんだ。
たとえば、第31~32話の「扉を開けて」。

「扉を開けて」

これはかなりSFっぽいエピソードで、新キャラのウサギ男・因幡というのが出てきて、コイツの導きにより諸星・ラム・しのぶの3人が未来のパラレルワールド(確定していない未来)に行くという展開。
そこには成人して社会人になった諸星らもいて、諸星はしのぶと結婚、ラムちゃんは面堂と結婚してたりするわけよ。
このパラレルワールドは無数に存在してるらしくて、諸星は「自分とラムが結婚している世界」を探そうとする。
しかし、いくら探しても見つからず・・。
ムキになり、必死に自分とラムちゃんの結ばれた未来を見つけようとする、諸星の真剣な姿が何とも意外だった。
この回は、普段彼が見せることのないラムちゃんへの強い執着を感じさせるものであり、めったに出てこない「素の諸星」の姿である。
必死な彼の姿を傍でラムちゃんも確認していて、これは彼女も嬉しかったんじゃないかなぁ・・。

最後、やっとのことで見つけた、諸星・ラムが結ばれたパラレルワールド

あと、第33話の「最後のデート」。
これは、諸星の人一倍優しい人格が伺える神回だった。

この回のヒロイン・のぞみ

上の画像の女子、のぞみちゃんは幽霊である。
生前、病弱で寝たきりだったらしく、入院してる病室の窓からよく見かける諸星に片想いの恋をしてたとのこと。
彼女の霊を成仏させる為、諸星が彼女とのデートに応じるという回だ。
完全に「境界のRINNE」の原型じゃん。
彼女が亡くなったのは真冬だったらしく、今は真夏なので半年は成仏をしてないということになる。
彼女は、生前に編んでたという手編みのマフラー、セーター、帽子、レッグウォーマーなどを彼にプレゼント。
灼熱の炎天下だが、諸星はそれらを全て着用する。

真夏に防寒装備の為、かなりグロッキーになる諸星・・

暑さを必死に耐え、さらにのぞみちゃんの夢を壊すまいと、好青年っぷりを最後まで貫く諸星のマトモさに驚かされる回だった。
コイツ、普段はバカだけど、ホントはバカじゃないんだね。
というか、完璧なフェミニストである。
そういや、以前にも「絶対に女性には暴力を振るわない」ポリシーを見せていて(自分はラムちゃんの暴力を思いきり受けてるが)、ある種のオトコ気はあるっぽい。
コイツ、たま~にこういう美点を見せるのがズルいんだよなぁ。
で、今回は諸星の頑張りの甲斐あって、のぞみちゃんは満足して笑顔で成仏していった。
暑さでフラフラになってる彼を心配し、「もう(セーター等)脱いでいいぞ」と付き添いのさくら先生が声をかけるんだが、それに対して諸星は「・・もう少し、着てる」と言う。

のぞみちゃんの成仏後、ひとり冥福を祈る諸星

いや~、諸星がいつもの100倍ぐらいカッコよく見えたわ。
この後も彼はちゃんとのぞみちゃんの墓参りをし、人間としてのマトモさを見せている。
多分、ラムちゃんが諸星から離れていかないのは、こういうところだよね。
コイツは薄っぺらい人間に見えて、その根っこは案外薄っぺらくない。
ちゃんと、人としての優しさを持っている。
ただ、素直じゃないんだ。
その彼の「素直じゃない」要素がモロに出ていたのが、第24話「愛は国境を越えて」である。

これは、諸星とテンちゃんの喧嘩の巻き添えになって、ラムちゃんが諸星の投げた炊飯器を思いっきりオデコに食らうシーンである。
結果、ラムちゃんは脳機能障害なのか、母国語以外の言語を喋れなくなってしまった。
しかし、諸星はラムちゃんに謝ろうとせず、
わざとじゃない
としか言わない。
酷い男だよね(笑)。
いや、厳密にいうと心中申し訳ないと思ってるんだが、なかなかそれを言葉にできないんだ。
おまけにラムちゃんとは言語の障害でコミュニケーションをとれなくなり、彼女の身を心配しつつも心配してないフリをする彼の姿がだんだん愛しくなってくる・・。

なぜか、素直になれない諸星

心配するな。
ラムちゃんは、このぐらいのことで簡単に折れたりしない。

諸星=女たらしのサイテー野郎だが、根は誰より優しく、ただ本音を見せることが苦手なタイプ

ラムちゃん=諸星の根っこの優しさをきちんと理解してて、彼に対する愛は微塵も揺らがない

意外と、理想的なカップルなのかも。
個人的には、ギャグアニメとしてなら「うる星やつら」より笑えるアニメはいくらでもあると思う。
具体的に挙げれば
・日常
・あそびあそばせ
・ヒナまつり

とかはそれに該当するだろう。
最近では「ダンジョン飯」のマルシル石化のくだりに、これは声をあげて笑ったわ。

石化したマルシル

だけど「うる星やつら」はそういうのじゃなく、笑えるとか笑えないとかはヌキにして、ただ「空気感」がひたすら心地いいのよ。
あのワチャワチャした感じを、ず~っと見ていたい気分。
それこそ「ビューティフルドリーマー」じゃないが、ず~っとループして齢をとらずに高校生活を続けていってほしい。
そういう「ず~っと見ていたい」系のアニメといえば

・うる星やつら
・銀魂
・この素晴らしい世界に祝福を


この3つが私の中で不動の3強である。

ラムちゃんを演じる上坂すみれは、ラムちゃん似の美女です


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