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「空白の100年」の謎が気になってしようがない、「ワンピース」

今回は、「ワンピース」エッグヘッド編について書きたい。
「ワンピース」はめっちゃ長かった「ワノ国編」が昨年ようやく終わって、新たに始まったのが「エッグヘッド編」である。
この新章、かなり異色だと思う。
通常、「ワンピース」の各章は展開のパターンが決まっていて、

①麦わらの一味、島に上陸
②麦わらの一味、島を巣食う巨悪の存在を知る
③悪の組織の幹部(新キャラたち)と闘い、苦戦する
④ルフィがラスボスに挑み、複数回負ける
⑤地元のレジスタンス勢力と手を組み、最終決戦に臨む
⑥苦戦しつつも、幹部、ラスボス、各々に撃破成功し、勝利
⑦みんなで宴を催す

大体はこういう流れがひとつのお約束なんだが、今回の章はひと味違う。
いきなり冒頭からルフィvsルッチとか、また別場所でローvs黒ひげとか大物レギュラーメンバー同士のバトルが始まってるのよ。
これまでずっと謎の人物にして、作中最高知能とされてきたDr.ベガパンクがようやく登場したし、あと嬉しいことに、ニコロビンの恩人・サウロの生存も判明した。
物語が、遂に大きく動いた感じだ。

サウロは生存しており、人知れず彼なりの闘いを継続してたっぽい
サウロの生存を聞いた時のニコロビンの表情・・

この章は「考古学」がひとつのキーワードになるようで、「ワンピース」のセカイの仕組みがここにきて遂に紐解かれていく展開になると思う。
ファンの方々は既によくご存じのことだと思うが、この作品のモチーフになっているのは【ヤマト王権vs邪馬台国】、つまり古代日本史なんだよね。
尾田栄一郎先生は「ワノ国編」を見てもよく分かるように、とにかく歴史の造詣がハンパない。
実は私も歴史好きなんだが、そんな私の目から見た「ワンピース」のセカイ構造は、
・世界政府⇒ヤマト王権
・Dの一族⇒旧邪馬台国の末裔

というものである。
この作品では「空白の100年」というのがひとつの重要なキーワードになっていて、当然これは日本史の中に実在する「空白の150年」を元ネタにしたものさ。

実際、ヤマト王権も「ワンピース」の世界政府(五老星)同様、歴史の書き換えのようなことをしてきたわけよ。
その代表的なところが「古事記」や「日本書紀」といった王権主導の歴史書編纂であり、正直これらの内容は、かなりの嘘が挿入されてると思う。
実をいうと「古事記」「日本書紀」よりさらに古い歴史書として、聖徳太子&蘇我馬子編纂による「天皇記」「国記」というのがあったんだが、これが例の大化の改新によって蘇我邸焼き討ちとともに焼かれてしまったとされている。
これは私の個人的な意見にすぎないにせよ、どう見てもこれ、「オハラ島のバスターコール」じゃん?

オハラの悲劇、バスターコール

感傷的な古代史ロマンではあるんだけど、私は「天皇記」「国記」の中に「空白の150年」の真実が書かれてた可能性もあると思うんだわ。
ただし、それはヤマト王権にとって、あるいは中大兄皇子の血統にとっての都合が悪い真実で、どうしても封印する必要があったんじゃないか、と。

なんか、蘇我氏のことがオハラ博士に思えてきた・・。
「蘇我氏はめっちゃ悪い人だった」が後世の人々のイメージだが、そういうイメージも天智天皇・天武天皇以降の伝承によって形成されたものだからなぁ。
少なくとも、3世紀時点で国際社会が公認した「倭王」の国は、邪馬台国だったわけよ。
おそらく倭王こそが、日本の正統な王である。
だけど我が国は「空白の150年」を経て、気が付けば「倭の五王」というのがいつの間にか倭王の座に就いてたのね。
この「五王」、実に謎めいた存在である。
多分尾田先生はこの「五王」を「五老星」のモチーフにしてるんだろうし、きっと先生の考え方は「空白期間の間に、五王の血族が姑息な手段を用いて倭王の権力を簒奪し、それ以降自らが倭王だとなりすました」というものだと思う(私の考え方は、少し違うんだけどね)。
よって、「ワンピース」では
世界政府=権力を簒奪して、歴史を書き換えた巨悪
という構図かと。
さらに、ここにきて太陽の神・ニカというのがクローズアップされており、これは日本古代史でいうところの天孫を彷彿とさせる存在。
おそらく、尾田先生は
天孫=卑弥呼(天照大神)の血脈=邪馬台国直系
という学説をとってるのでは?

五老星(天竜人)

じゃ、この物語はルフィたちが世界政府(五老星)を倒して終了?
いやいや、天才・尾田栄一郎のことだから、そんな単純なプロットではないはず。
大体、世界政府=悪という図式にしてしまえば、それに従う海軍もまた悪ということなり、そこにいるルフィの祖父ガープやルフィの友人コビーもまた悪ということになるからね。
ヘタに政府や海軍を潰せばあとに残るのは混沌の無政府状態だし、かえってマズいんじゃないの?
ただ改善してもらいたいのは「天竜人のみが特権を独占する歪なセカイ」、せめてそこだけは解決してほしいもんだ。
基本、オハラのバスターコールを見ても分かるように、世界政府はセカイの真実を知った者は残らず殺戮するスタンスである。
その理由は単純、天竜人の既得権益を揺るがしたくないからさ。
問題は、彼らがどこまでのスケールで殺戮をできるか、だ。
万が一、全世界の人々がセカイの真実を知ってしまった場合、彼らは全世界の人々を殺戮するのか?
そしてセカイの真実を知っても尚、海軍は天竜人の既得権益保持の為、人々を殺戮せよという命令に従うのか?
そこがポイントだよね。

意外と物語のカギを握るのは、メディア王・モルガンズかも?

悪い奴が世界の最高権力を握ったら、めっちゃ怖い。
「ワンピース」のメッセージ性は、そこにあると思う。
この作品は小さなお子さんも見てるものだし、彼らの価値観形成にも多大な影響力を与えるものだよ。
責任重大。
自分が子供の頃を思い出せば、やはりテレビの影響って大きかったと思う。
個人的な話をさせてもらうなら、私が物心ついた頃に見てたテレビドラマが「太陽にほえろ」で、今の若い人は知らんかもしれんが、人気の刑事ドラマだったのね。
石原裕次郎が七曲署の「ボス」で、肩書は「係長」だったはず。
でさ、石原裕次郎というのがこれまた貫禄のある人で、常に冷静沈着、人心掌握にも長け、署から一歩も外に出ないのに事件の真実を見抜き、必ず的確な指示を部下に与える、まさに完璧な上司キャラだったんだ。
よって、子供心に
係長=凄い人
と、しっかりインプットされたわけね。
幼い私なりの解釈として、オトナの社会ではヒラの中から最も凄い人が係長になり、次に係長たちの中から最も凄い人が課長になり、さらに課長たちの中から最も凄い人が部長になる、というシステムがあるものだと刷り込まれてしまった。
ところが、いざ自分がオトナになったら「あれ?何か違うぞ」と気付くことに・・。
見てると係長とかクソだし、さらに課長なんてもっとクソだし、あ、「太陽にほえろ」の世界観は幻想だったの?と、ようやくそこで気付いたわけよ。
もっと早く気付けって(笑)。

「太陽にほえろ」石原裕次郎

そう、上にいる人たちは下の人たちより優れてるなんて、全くの幻想。
皆さんの周りにも、めっちゃ凄い人なのに出世しない人っていなかった?
逆に、なんでコイツ出世したの?という奴も絶対いたと思うし。
当然、社長=社内で一番凄い人、というロジックも成立しない。
ましてや、同族会社なんてアホなのに社長、というパターンもあるからね。
まぁ、アホに好き放題されてる会社なんて衰退するだけだし、それはそれで潰れたらいいだけの話なんだけど。
ただ、セカイがそれじゃ困るでしょ。
セカイが潰れちゃ困るわけで。
まだ、選挙で上を選べるセカイはマシさ。
だけど、たとえば中国とか北朝鮮とか、ああいう国家主席って、どうやって決めてるの?
私としては、ぜひ北朝鮮国民にも「ワンピース」見てほしいんだけど。
多分、放送してないだろうが・・。
ちなみに、あそこの指導者は凄いらしいよ?
国の教科書(小学校用)には、その指導者の幼少期について
・3歳の頃、1秒間隔で射撃を行い、10個の的に命中させた
・車で未舗装の道路を疾走した
・7歳の頃には時速200キロの超高速船を操縦し、外国のプロとの競争で2回も勝った
という記述があるらしい(笑)。
そうか。
現代にも、天竜人っているんだね・・。

「エッグヘッド編」におけるヒロインのひとり、ボニーはセクシー要員
リリス役を演じるのは、割とお久しぶり感のある平野綾さん
やはり「エッグヘッド編」のメインヒロインは、ニコロビンだろう


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