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「夏目友人帳」エピソード人気ランキング

昨年、「夏目友人帳」20周年記念エピソード人気投票というのが実施されていたことをご存じだろうか?
この作品は、「LaLa」という少女漫画誌に連載されている。
「LaLa」からのアニメ化といえば、「友人帳」以外に私が見たことあるのは
・赤髪の白雪姫
・桜蘭高校ホスト部
・獣王星
・花咲ける青少年
・ヴァンパイア騎士

ぐらいかな。
多分、他にもたくさんアニメ化されてると思う。
この中で妙に印象に残ってるのが、「ヴァンパイア騎士」である。
ぶっちゃけ、これはあまり好きな作品ではないんだが、ただストーリー展開があまりにも私の想像のナナメ上をいくものだったのよ。
これはいわゆる「逆ハーレム」作品で、ヒロインが美形の男性陣(吸血鬼)囲まれるパターン。
そういう吸血鬼たちとは別に、ヒロインの相棒として美形の幼馴染がいて、セオリーとして「はいはい、どうせコイツとヒロインが最後にくっつくんだろ?」と思ってたんだが、意外にもオチはそうじゃなかったのよ。
最後、ヒロインが実は吸血鬼だったことが発覚し、吸血鬼のボス(美形)に付き添って、幼馴染(美形)のもとを去ってしまった・・。
ええ~っ?こんなオチでいいのか~?と驚愕しちゃいました。
ホント、女性作家って男性脳では思いもつかないストーリーを作るよなぁ。

「ヴァンパイア騎士」

これが少年漫画なら、↑↑こんなのがヒロインと最後にくっつくような展開、まずあり得ない。
だけど女子的には、ありなんだろうね。
なんかさ、女子って妙に吸血鬼男子に対して甘くない?
その危険な匂いに惹かれるんだろうか?
むしろ、ガブッといかれたいんだろうか?
そういや昔、「トワイライト」シリーズという小説が世界的大ベストセラーになって映画化もされてたが、確かそこでもヒロインが選んだのは吸血鬼のイケメンだったよな・・。

「トワイライト」

おまけにノーマルだったヒロインが、最後には吸血鬼になっちゃうという、男性ファン的にはあまり納得できない展開。

クリスティンスチュワート・・(涙)

まぁ、いいや。
「夏目友人帳」の方は、同じ少女漫画、同じ「LaLa」、同じ妖怪系とはいえそういう系統の展開にはならない。
どっちかというと、ハートウォーミング系である。
三角関係どころか、恋愛要素すら皆無に等しい。
だって、この作品のヒロインは夏目の保護者の塔子さんだろ?

塔子さん(推定年齢40代)

私、塔子さんの大ファンでね。
このキャラ、完璧だと思わない?
純度100%の善人で、優しくて、美人で、料理上手で、割烹着が似合ってて、非の打ちどころがないご婦人である。
また、塔子さん役をやってる伊藤美紀さんの声質が実によくハマっている。
もうね、個人的には乃木坂48のセンターが塔子さんでも全然OKだと思うよ。
さて、冒頭に述べた人気投票の話に戻そう。
投票の結果は、以下の通り。

<夏目友人帳人気エピソードランキング>

【1位】4033ポイント
露神(1期第2話)
【2位】3892ポイント
塔子と滋(5期第10話)
【3位】3409ポイント
依代の眠る里(未アニメ化?)
【4位】2506ポイント
ニャンコ先生登場(1期第1話)
【5位】2379ポイント
ダムの底の燕(1期第6話)


こうしてみると、アニメとしては1期に人気エピソードが集中してるという感じか。
だからこそ、2位に5期からチョイスされてるのが目立つね。
5期の「塔子と滋」、これは名作である。
私は原作を読んだことないので何ともいえんが、少なくともアニメ化されてる中では「塔子と滋」が全話を通してダントツの一番だと思う。
それほど完璧な神回である。

「塔子と滋」

これは孤児の夏目が藤原夫妻(塔子と滋)に引き取られることになった経緯を描いた貴重なエピソードであり、これまで誰にも心を開かなかった夏目が、夫妻の優しさと穏やかさに触れて少しずつ笑顔を見せていく様が何とも心地いい。
ラストのくだりを見るに、塔子さんは夏目の霊能力に気付いてるよね?
でも、彼女はそんなことで態度を変える人じゃないし、今後もそこに触れることすらないだろう。
いいよなぁ、塔子さん。
まさに理想のお母さん像である。
世界中のお母さんが全員塔子さんになれば、確実に世界平和が実現するのに。
滋さんと合わせて、理想の夫婦とはこういうのをいうんだろう。
つくづく、夏目はこの夫婦に出会えて良かった・・。

夏目は藤原夫妻に引き取られてだいぶ明るくなったが、もともとは陰キャである。
その理由は両親を早くに亡くして親戚宅をタライ回しにされてることもあるし、あとは霊能力があるゆえに周囲から常に変人、噓つき呼ばわりをされてきたこともある。
こういうの、実際どうなんだろうね。
霊や怪異が見えてしまう人って、やはりこういう目に遭うんだろうか?
なんか、気の毒である。
私自身は生涯一度もそのてのやつを見たことない人間なので、そういう人の気持ちを理解することはできんのだが・・。
そうそう、霊や怪異とやや似た例として、イマジナリーフレンドってあるじゃん?

多分、これは心霊ではなく脳科学の領域とされてることだろうけど、かなり多くの人が経験してるようで、興味深いよね。
大体が幼少期限定のことで、ものごころがつく頃にはいなくなるという。
あと、赤ちゃんが誰もいないところを見てキャッキャッと喜んでることってあるでしょ?

おそらくイマジナリーフレンドはこれの延長線上にある現象であり、きっとポイントは「自意識が芽生える前」という時期にあるんだ。
人間の自意識(大脳新皮質の領域)というものは、生き物が本来持っている無意識(脳幹や小脳の領域)を打ち消し、上書きしてしまうものである
つまり、ものごころがつくと上書きされて逆に見えなくなるものがあるわけで、特別おかしな現象でもないと思う。
逆にいえば、自意識を持たず、生涯無意識で生き続ける獣、鳥、魚、虫などは、我々人間と全く違う光景を見続けているのかもしれない。
つまり、我々人間の目に見えてることが世の中の全てではないってことよ。
この仕組みをよく理解してるのが宗教、特に仏教で、あれは瞑想することで無我の境地、すなわち自意識を消して普段上書きされてる無意識を露呈するわけよね。
これは獣、鳥、魚、虫と同じビジョンに立つともいえるわけで、よく仏教はこのビジョンを曼荼羅というデザインで表現している。

曼荼羅

私、霊や怪異、妖怪の類いの実体は、これ↑↑じゃないかと思ってるんだけどね。
普段自意識に上書きされてるがゆえ、見えなくなってる無意識のビジョン。
まあ、怪異といっても冒頭に書いたような吸血鬼はさすがにおらんと思うが・・。
心理学者・ユングは、これを「集合的無意識」と表現してる。

ユング心理学による意識の表現

仏教でいう「解脱」「悟りの境地」とは、上の図の最下層「集合的無意識」への到達を指してると思う。
これは獣、鳥、魚、虫の境地ともいえて、人間なら赤ちゃんの境地といえるのかな。
別に、悟りを開いたブッダがいきなり「バブー」と赤ちゃん状態になったとは聞いてないし、誰もいないところを見てキャッキャッと喜んだとも聞いてないけど・・。
剣豪の「無我の境地」もまた、似たようなもんである。

「無我の境地」だからこそなせる、この異様なまでの瞬発力は、意識下ではなく無意識下、すなわち獣、鳥、魚、虫のビジョンに立っているからこそである。
皆さんも部屋にゴキブリが出た時とか、叩こうと思ってもスルっとかわされた経験あるでしょ?
あれってゴキブリは意識して動いてるわけじゃなく、無我の境地で動いてるのさ。
そう、ゴキブリ様は我々凡人ではとても到達できない、悟りの境地で動いていらっしゃるわけよ。
あの方は集合的無意識とアクセスしてるわけで、むしろこっちの思惑なんて完全にお見通しである。
だから我々も対峙する際、断じて「虫ケラ」と見下したりせず、敢えて悟りを開き、無我の境地で叩くべきなんだ。
まあ、私は既に悟り開いてるから、無我の境地でバルサン焚くけどね・・。

あれ?
「夏目友人帳」から話がだいぶズレちゃったね。
とにかく、この主人公の夏目という少年は何らかの特殊体質で、普通の人間ではアクセスできない集合的無意識の光景を常時観測できる子なんだ。
我々はその光景を見たことはないが、おそらく魑魅魍魎の世界なんだろう。
そして量子力学的解釈をするなら、観測すれば量子は確定するがゆえ、その確定した量子(魑魅魍魎)が妖怪という意識体として存在できる、というのが私なりの捉え方である。
このへんのロジックに興味のある方は、こちら↓↓をどうぞ。

おそらく「夏目友人帳」の妖怪とは、日本神話でいうところの「やおよろずの神」であり、この作品は民俗学、および神道に立脚してると思う。
それと同時に仏教的側面もあり、作中の登場人物で最も悟りの境地に達してるのは藤原夫婦だよね。
象徴的なのは塔子さんで、おそらく作者は【塔子=菩薩】と位置付けている。
この物語はまだ未完だが、私としては、ある程度のオチが見えている。
「夏目友人帳」のプロットを端的にいうと、
菩薩によって救われた少年が、魑魅魍魎を認め、赦し、でも最後はその世界と訣別する物語
である。
多分、最終回はニャンコ先生との涙の別れだろう。
・・いや、でもなぁ、よく考えたらこれは女性作家の作品だよね。
女性作家って、割と私の想像のナナメ上をいくんだよなぁ・・。


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