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新卒2年目、地域おこし協力隊として山形県金山町に移住した経緯。


2024年4月に山形県金山町の地域おこし協力隊になりました

軽く自己紹介の投稿をあげていましたが、改めまして山形県金山町の地域おこし協力隊の川村です。

2024年4月1日から、関係人口創出をミッションに活動しています。

所属は、金山町役場 産業課 商工観光係です。

そもそも私は昨年(2023年)の4月時点では、まったく移住する予定はなかったし、金山町のこともほとんど知りませんでした。
昨年度の間に私の中で人生急展開な流れがあり、気づいたら移住していた感じです。

就任してはや2ヶ月経ってしまい、自己紹介には遅いかもしれませんが、語れる範囲で、移住の背景を記して行きたいと思います。

まちづくりに興味をもった高校2年生の夏をきっかけに東京の大学に進学

 そもそも地域おこしやまちづくりといった分野に興味を持ったきっかけは、高校2年生の時の「NHK全国放送コンテスト 岩手県大会 テレビドキュメント部門」で、岩手県花巻市の高校が制作した番組を見た時でした。

花巻市にある「マルカンデパート」が老朽化などの理由により閉店を発表した後、小友康広さんという男性が「自分が経営する」と名乗りをあげ、デパートを再生したという内容の番組です。

 当時、私が大学で何を学ぶか、将来の進路に悩んでいた時期に一番興味があったことは建築で、「岩手にイカした建物を建ててまちの人が集まる賑わい創出の場を創りたい」的なことを大学の志望理由書に記していました。そんな中この番組を見て、「新しく建物を建てるのではなく、建物を再生させて賑わいの場を創るという方法もあるのか! その方がロマンあるな」と思い、「リノベーションまちづくり」というまちづくり手法に興味を持ちました。

 そして高校3年生の時、まちづくり・建築分野を学べる「東京都市大学都市生活学部」を第一志望として、公募制推薦で受験することにしました。

さらに、花巻市で行われた「リノベーションスクール」というリノベーションまちづくりの手法を実践的に学べるスクールの運営の手伝いや、マルカンデパートを再生した小友さんの話を実際に聞くなどのアクションを通じて「まちづくり分野は奥が深くて面白いし、自分にも何かでかいことができそうな気がする」という(今思えば安易な)気持ちを持ち、のめり込んでいきました。

大学時代に出会った「コミュニティマネジメント」は私が優しい世界で生きることができる手段

 大学では、マーケティングや経営、ユニバーサルデザイン、建築・CADの使い方、グラフィックデザイン、不動産開発、都市計画などなどなど、とにかくまちづくりについてあらゆる分野の授業がありました。その中でも「これ、自分に合ってるなあ」と感じる分野に関する授業を開講していたのが、坂倉杏介先生でした。

 坂倉先生は「三田の家」という東京都港区にあるコミュニティスペースの運営など地域コミュニティに関することを実践しながら、地域のコミュニティづくりに関する論文などを発表しています。コミュニティマネジメント研究室という坂倉先生の研究室は東京都世田谷区尾山台にある商店街の中にあり、「タタタハウス」と呼ばれるコミュニティスペースの運営を通じて実践的なコミュニティマネジメントの勉強ができます。 

三田の家がとあるニュース番組で特集された動画を見た時、近所のおばあちゃんが、若いお母さんが連れてきた赤ちゃんを「可愛いねえ」と言って嬉しそうに抱き上げ、そのまま面倒を見ていました。若いお母さんは「ありがとうございます」と言ってにこにこしていました。

近所とはいえ他人同士がここまで親密に、親戚同士のような交流をしている光景に衝撃を受けたし、こんな優しい世界で生きていきたいと思いました。

これが私の目指す「まちの人が集まる賑わい創出の場」なのかも?! ぜひこういったコミュニティスペースの運営に関わってみたい、との思いで大学2年生の時からこちらの研究室にちょこちょこ参加させていただいており、最終的には「先輩も優しいしやってることも面白そう」という安易な理由で所属を決めました。大学3年生の春のことです。

私に向いているまち「徳島県神山町」に出会う

「コミュニティマネジメント研究室」では、主に東京都世田谷区尾山台にて「おやまちプロジェクト」という地域活動に参加し、毎週水曜日に歩行者天国の道路に芝を敷いて小学生とけん玉をしたり、研究室の仲間とコミュニティカフェを実施するなどしました。

大きな取り組みとしては、タタタハウスのリノベーションに情熱を捧げました。おやまちプロジェクトの拠点的な場所であった、尾山台で60年以上続く、学校用品などの販売店「タカノ洋品店」を、1階を店舗兼コミュニティスペース(シェアキッチンあり)、2階を東京都市大学のサテライトキャンパスとするというプロジェクト。

コンセプト設定や設計段階からみんなでミーティングを重ね、学生や地域の皆さんとリノベーション作業を進めました。大学3年の夏休みは全てをリノベーションに捧げ、活動すればするほど地域の中に顔見知りや仲間がどんどん増えていく感覚を初めて味わいました。

地域にどっぷり浸かるってこういう感じか! の原体験はここです。

 さらに、大学4年生にかけては、中学生のウェルビーイングリテラシーを高めるためのカードゲーム「Super Happy Birthday」のワークショップ設計実施、ビジネス現場でのウェルビーイングについて考えるゲーム「“はたらくWell-being”を体験する対話型ゲーム ‐ いいゆ -」の開発、コミュニティマネージャーという新たな業種がどんなものかインタビュー調査を通して紐解く「コミュニティマネージャーの人材要件に関する調査研究」、地域の中学校での総合学習の時間を大学生で受け持つなど、とにかく幅広くいろいろやりました。
 島根県海士町でのスタディーツアー参加や岐阜県の中学校でのワークショップ実施など、コロナ禍で移動が制限される中でも地方に出かけていました。

 特に自分の価値観が変わったは、卒業論文の調査で訪れた徳島県神山町。
子育て世帯向け集合住宅と同じ敷地内に整備されたコミュニティスペース「鮎喰川コモン」の調査をベースに、中山間地域におけるコミュニティスペースの効果的な設計運用についてまとめました。
 ここで過ごした合計1ヶ月ほどの時間が驚くほど楽しく、清々しかったのです。毎日自転車で山あいを疾走し、美味しい野菜やお米を食べ、地域の人たちと語らう時間。何より人と人との距離の近さに驚きました。そして田舎あるあるとされているような「新しい人を受け入れづらい風土」的なものは全くなく、突然来た大学生の私の体調や調査進捗などを周りの皆さんに気にかけていただき、「こんなに優しい世界があるのか」と思いました。
 「移住者も寛容に受け入れてくれる地域なら、中山間地域って最高だな」「いつかこういった地域に住んでみたいな」と思いながら、うまくまとまらず悪戦苦闘した卒論執筆を終え、神山町で最終発表会をした時には発表しながら号泣しました。泣くほど神山での生活が濃厚で、忘れられない日々だったようです。
 この経験から、「一度中山間地域に移住して生活してみたいな」との思いが芽生えました。

東京での1年の社会人経験を経て金山へ移住

 大学卒業後、一番最初に請け負った仕事は山形県金山町×ソトコトで開催した関係人口創出事業「カネヤマノジカンデザインスクール」でした。
 この講座を1年担当しており、企画・見積もり作成から運営、報告書作成まで任せていただき、それはもう勉強になるというか、実践からの学びは半端なかったです。と同時に、神山で過ごした中山間地域暮らしの素晴らしい日々が忘れられず。
 この仕事が好きで、楽しさも感じていましたが、「一度中山間地域に移住して生活してみたいな」の思いが強くなっていきました。また、「カネヤマノジカンデザインスクール」を通して金山に関わっていくなかで、街並みの美しさや移住者にも比較的寛容な地域性に惹かれ、ここに住めたらいいなあと密かに思いこがれていました。

 そうして、時期尚早ではないかと自分でも自問自答しましたが、金山での地域おこし協力隊の募集があると知り、前の職場の皆さんなど周りの方々からの応援もあって、思い切って移住を決めました。かなり思い切りました。多々ご迷惑をおかけした皆さま、申し訳ありません!

地域おこし協力隊になってやっていること

 そもそも地域おこし協力隊という職業?には大学3年の時から興味があったのですが、とてもハードルが高く、すぐにできるものではないと思っていました。3年の間、移住した先の地域で自分でローカルプロジェクトを立ち上げて回していくなんて、到底自分のいまの力ではできるものではないと思っていて、「いつかなれたら」ぐらいの感覚でした。

 実際には社会人2年目で協力隊になったわけで、「社会人経験もほとんどない私に何ができるのだろうか」とビクビクして移住しましたが、今は毎日楽しくて仕方がないです! 自分が思い描いた活動の実行に向けて動いていくなかで、地域の皆さんに自分を認識してもらい、さらには自分の思いや実現したい活動の意義なども皆さんに感じていただき、「一緒に頑張ろう」「応援する」と言ってもらえた時は、今まで感じたことがない種類の喜びと言いますか、嬉しさを噛み締めて次に進んでいけるのです。毎日、充実です。

現在は、
・自身の活動のnoteやInstagramでの発信
・金山町のInstagramやXでの情報発信
・ヤマガタ未来ラボなどでの金山町の情報発信
・金山町の関係人口事業の運営
・コミュニティスペース兼本屋を始めるための準備
などを行っています。

畑を耕して芋を植えたり、つる細工体験をしたり、ご近所さんからいただいた山菜を食べたり、温泉でまったりしたり、金山暮らしも楽しんでいます。

SNSなどは以下にまとめますので、ご覧いただければ幸いです!


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