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なぜチームの結束は強まらない?「謙虚さ」を力に変える3つの問いとは

「どうすればチームのパフォーマンスを上げられるんですかね?」

先日、知人との会話で出てきた話。withコロナの環境下で、仕事における組織力向上は誰しも関心があるテーマです。特にテレワーク、在宅ワークにシフトにした方は、オンラインでの「結束の難しさ」に直面していると思います。

仕事の大半は「誰かとの協業」で成り立っています。言い換えれば、人間関係の上に形成されています。そこには「信頼」が下支えしています。改めて、一緒に働く人との結束の強め方について考えます。

仕事における「信頼」とは

そもそも仕事における信頼とは何でしょうか。最近手にした書籍「信頼の原則――最高の組織をつくる10のルール」には冒頭でこんな説明があります。

信頼とは目をつぶって身を投げるようなもの、他人に権限を明け渡すことにほかならないと、身をもって学んできたことも確かである。苦い経験を通して覚えたのは、どんな人間なら信頼してよいかを見分けること、そして信頼溢れる文化の構築に徹底してこだわるということだ。リスクは完全に排除できないことはわかっている。信頼には失敗がつきものなのだ。(抜粋)

この書籍は正に「組織における信頼」を取り扱っている一冊です。興味深いのは「失敗はつきもの」と失敗すること前提で信頼するというスタンスです。なぜそれでも信頼するのでしょうか。その答えとして著者は「ほとんどの場合、それはうまくいくから」だと述べています。自分から信頼を寄せ、相手からも信頼を返される、調和と協力の世界を築くことが大切であると説きます。

組織における「謙虚さ」とは

組織の中には自己顕示欲の強い、いわゆる権力を振りかざすタイプの人もいます。こういう人は時に組織の信頼を破壊しがちです。一方で信頼を得る人はメンバーを導き、リソースを守り、意思決定を導く「代理人」としての役割を率先して行う人です。こういう人に求められる素養が「謙虚さ」です。

謙虚さをベースにしたリーダーはメンバーの信頼関係を土台にチームビルディングを進めます。メンバーは内発的な動機づけで動き、有機的につながり、クリエイティブな仕事が生まれます。こうした組織は、「個人」ではなく「関係」の上で成り立っているので、リーダーが変わっても組織力は引き継がれます。

こうしたリーダーは、すべてのチームメンバーが成長途上にあると考えます。企業内のチームにはさまざまな職域があり、多用な仕事をしていますが、組織のミッション遂行において、重要でない人間など1人もいないというスタンスをとります。そして組織全体が信頼関係に包まれるためには、まずはリーダーが謙虚に無条件にメンバー全員を信頼しなければなりません。

また「組織における謙虚さ」は、チームに学習する素地をつくります。チャレンジには失敗がつきものです。チームで何かにチャレンジし、結果としてうまく行かなかった場合、その失敗から学べるかどうかが組織成長の分かれ道です。そこに「謙虚さ」を持ったメンバーであれば、失敗から目を背けず、真摯に学び、仕組みを変え、新たな一歩を踏み出すことができます。

「謙虚さ」を強みにできる組織の作り方

謙虚さをチームの力に変えるためにはいくつかのポイントがあります。その中でもちろんリーダーが最も大きな影響を与える存在です。そのポイントについて見てみましょう。

1.チームのミッションを最優先する
謙虚さを強みにできるチームは、リーダー含めて、「個人」よりも「チームのミッション」を最優先に考える姿勢が必要です。リーダーはチームを束ねるという「役割」を演じているにすぎません。人間的に優れているとか、メンバーは劣っているとか、そんなことは一切ありません。自分がリーダーだからといって、自分と会社を同一視し、自分が偉大な存在であるというふるまいをした時点で、組織の謙虚さは失われます。

2. 「ここで働く理由」を持つ
謙虚さを強みにするには、チームメンバーの内発的モチベーションが欠かせません。そのためには、メンバー個人個人がその場所で働く「理由」を見つけ、その理由のために働くという姿勢が必要です。例えば、創業者がどんな思いで今の会社を立ち上げたのか。そこには売上や利益を超越した、社会課題の解決や世の中を良くしたいという高い志があることがほとんどです。その思いを自分の中に取り込み、「そんな企業の中で、自分は何をしたいのか?」を問います。そこで見えてきたものが、内発的モチベーションのエンジンとなります。リーダーはメンバー個人のエンジンがスムーズに回転するように声をかけ、日々メンテナンスするのです。

3. 表舞台にいないメンバーを称賛する
サッカーの名門マンチェスター・ユナイテッドの名将と呼ばれたアレックス・ファーガソンという監督がいました。ベッカムがいた時代の監督で、非常に強いチームを作り上げました。そのファーガソン監督が、歴代の監督の中で彼だけがやっていたことがあります。それはチームがゴールを決めた時、最初に抱き着いて喜びを共有するのが得点を決めた選手ではなく、ベンチにいる用具係のスタッフだったということ。ゴールという結果が出た時、スパイク磨きやユニフォームの準備をし、チームを陰で支えているスタッフにまず感謝する。この姿勢を周囲に見せることで、チームが末端の構成員含めた全員の信頼から成り立っていることをチームに浸透させたのです。この姿勢をリーダーがとることで、チームの結束は一段と強くなります。

4. 具体的に感謝を伝える
感謝する際には「具体的であること」が重要です「あの仕事なかなか良かったよ。ありがとう」とぼんやり伝えるのではなく、具体的にピンポイントで感謝をすることが重要です。そのピンポイントのシャープな視点が「そこまでしっかりと見てくれている」という安心感と、気が抜けないという心地よい緊張感を作っていきます。さらに、仲間の前でほめることもチーム全体の結束力を上げるのに効果的です。

5. ファミリーとしての絆づくり
「信用」とは条件付きで信じること。それに比べて、「信頼」とは無条件で信じるということです。これはなかなかできるものではありません。しかし、誰しも無条件の信頼を経験しています。それは親からの愛情です。冒頭で紹介した「失敗すること前提で信頼する」とは、言い換えれば家族のような絆で結ばれるということではないでしょうか。そのためには仕事以外でのつながりや、個人としてお互い理解する事が大切です。同じ趣味を持つ、一緒にチームスポーツをするなど、仕事以外で何かを共有する場があることで、この信頼関係は強く構築されていきます。

「信頼」を生み出す3つの質問

どのようなコミュニケーションをすれば信頼の文化が芽生えるのでしょうか。予防医学研究者の石川善樹さんは著書「フルライフ」の中で、チーム内で次のポイントについて気にしてあげるとよいと紹介されています。

1.仕事は順調か?(学びや変化はあるか)
2.人生は順調か?(仕事以外の生活)
3.家族は変わりないか?(ご家族の悩み)

「1」は仕事そのものの進捗よりも、「個人が成長しているか」という視点で会話するのがポイントです。人は飽きる生き物なので、仕事は進んでいても学びがなければモチベーションは低下してしまいます。

また、「2」「3」はプライベートに関わる話ですが、その人個人を取り巻く環境で悩みが無いかに気を配ることが大切です。仕事仲間の前に、一人の個人としてそのメンバーと向き合う。こうした姿勢が信頼関係づくりには欠かせないスタンスと言えます。

こうした会話を週に一回程度行うのが良いです。日々の仕事の打ち合わせの中ではなかなかこうした会話は難しいです。コツとしては雑談タイムを意図的にスケジュールに組み込むのが有効です。例えば週の真ん中の水曜や週末の金曜日の夕方など。フラットな視点で会話できる場を持つことで、メンバーはストレスを軽減しながら高いエンゲージメントで仕事に向かうことができます。

まとめ

withコロナの環境下では信頼をベースにした人間関係づくりが必要ですが、そこには工夫が必要です。謙虚さを軸にしたコミュニケーションが重要となります。

メンバーの内発的モチベーションに注目しながら、個人がそれぞれ考える自分の仕事の意味を、チームのミッションに紐づけていくことが大切です。そこには無条件に相手を信頼し合う関係が理想です。

「仕事」「人生」「家族」というその人個人を取り巻く環境に意識を向け、3つのテーマでお互い会話を重ねる。この会話はただの仕事のつながりを超えた、ある種ファミリーとしての絆づくりに発展していきます。

改めて、今一緒に仕事をするメンバーの顔を思い浮かべてみましょう。そのメンバーは必ずしも完璧なパフォーマンスをはっきしていないかもしれません。しかし、弱みもありながら必ず強みがあります。その強みの部分を信頼することで、ハイパフォーマンスなチームが作られていくのだと思います。

どんな人でもキラリと輝く素晴らしいところがあります。その個性が光る環境で働きたいものですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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