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もはやサスティナブルでは追いつかない? 「リジェネレーション」という考え方

「サスティナブルというコンセプトではもはや立ち行かない状況です...」

そんな記事を目にしました。なかなかショッキングな内容。サスティナブルとは「持続可能」という意味です。ここ数年よく耳にする「持続可能な開発目標(SDGs)」は「Sustainable Development Goals」の略。これは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のこと。

地球環境のことを考えて、持続可能な社会を目指す。何も間違っていないと思われるこのサスティナブルという概念ではなぜダメなのでしょうか。そして新しく芽生えた「リジェネレーション」とは何なのでしょうか?

未来に向けた、今持つべきマインドセットについて考えてみます。

サスティナブルからリジェネレーションへ

サステナブル・ブランド国際会議がカリフォルニアに行われ、その際に掲げられたテーマが「We are Regeneration」。「リジェネレーション」とは「再生」という意味です。

これは「持続可能」というステージから、「新たに再生していく」というステージに変わっていくことを提示しています。

とはいえ、「最近ようやくサスティナブルって言葉知ったんですけど...」という感じもします。そこに来て「リジェネレーション」は馴染みがなさ過ぎてぽかんとしてしまいそうです。

実は「リジェネレーション」という言葉はここ数年、欧米のサステナビリティ関連の記事の中で急速に使われ始めている言葉です。欧米で広まった概念は日本にも遅かれ早かれ入ってきます。近い将来日本にもメインストリームとなる言葉になるかもしれません。

一方でこの「リジェネレーション」という言葉、なぜ欧米で広まってきているのか。そこにはサスティナブル、つまり「持続可能」というコンセプトの限界が見え隠れします。

サステナビリティの限界

そもそも「Sustainability」という言葉の語源は、「Sustain(維持する、持続する)」と「Ability(能力)」の二つから成っています。つまり、“持続し続ける能力”という意味。日本では「持続可能性」と訳されます。先に紹介したSDGs(Sustainable Development Goals)にも使われています。

このSDGsは「将来世代のニーズに応える能力を損ねることなく、現在世代のニーズを満たす発展」と定義づけられています。つまり、今も将来もケアし、悪化せずに持続していくことを願って立てられた目標です。しかし、このサステナビリティという概念は、もはや今私たちが向き合う地球規模の社会課題において「到底解決できないレベルにある」という見方が出てきています。現実的には「持続不可能である」という見方です。

サステナビリティという言葉に代わって、こうした危機感から生まれたのが「リジェネレーション:再生」という言葉です。ちなみに「再生」を辞書で調べるとこう解説されています。

【再生】
そのままでは働かない状態から、また働く状態になる、あるいはすること。
衰え死にかかったものが生気を取りもどすこと。
精神的に生まれ変わること。

人類が地球のエコシステムに与えているネガティブなインパクトは相当大きく、地球はもはや限界に達しているとするレポートが相次いで報告されてます。すでに、気候、水や土壌の環境、生態系といった自然資本が回復不可能なレベルに達していると言えます。

実際、コロナで全世界的な外出自粛により、大気汚染は改善したというニュースもありました。人間の社会活動は地球にダメージを与えているということが広く知られたニュースでした。

とはいえコロナは劇薬です。あまりにもスクランブルな状況ですので、この状況がそのまま長期にわたって維持されるわけではなく、いずれ終息を迎えます。そうなれば、また地球の環境破壊は進み「Sustain:持続していく」という概念では地球は持たないと考えられます。

今の地球は「再生」辞書の訳にあるように「衰え死にかかったものが生気を取りもどす」ほどの、大きな手術が必要なレベルであり、「リジェネレーション:再生」という概念は確かにこれから我々が持っておくべきマインドセットであると言えます。

リジェネレーションはプラスへの動き

リジェネレーションという概念を考える上で大切な言葉があります。サステナブル・ブランド国際会議にて行われた講演で、サーキュラーエコノミー(循環型経済)をベースにした建築家ウィリアム・マクダナーさんが発言された言葉。

Being less bad is not being good.
「悪くならないようにすることと、良くすることは違う」

これはつまり、マイナスをゼロにしたところで、プラスにはならないということです。二酸化炭素の排出量を減らす、森を壊さないようにする、海を汚さないようにする、これらはマイナス面を抑える動きであり、これだけをやっていてもプラスにはなりません。

マイナス面が0%に近づくだけはなく、これからの時代は、プラス面を意図的に生み出していくアクションが必要です。

行動を変えるには時間がかかります。行動の前には意識を変えなければなりません。一方で、意識はすぐに変えられます。「サスティナビリティだけでは足りない。マイナスをゼロにするのはもちろん、さらにその先のプラスの行動をしなければ」というマインドセットを持つことは、環境資源への向き合い方をダイレクト、大きく変えてくれるように思います。

まとめ

ようやく広まって来た「サスティナブル(持続可能)」という概念。しかし、地球のエコシステムはもはや持続不可能なレベルに達しているのかもしれません。

次に必要になってくる概念が「リジェネレーション(再生)」。これはマイナスをゼロにするというレベルではなく、さらにプラスになるような行動をとることが求められます。

今、コロナの影響で世の中が大きな不安に包まれている状態です。地球規模のことを考える余裕などなく、目の前の今日をどう生きるかに意識が向いている人がほとんどです。そんな中で「サスティナブルではなくリジェネレーションだ」と言われてもピンと来ない感は否めません。

しかし、このコロナでこれまでの常識がガラガラと崩れ、ニューノーマルという言葉の通り新しい生活様式にシフトしている状況です。これは変化を受容できるタイミングとも言えます。持続可能・維持というマインドセットではなく、新たな未来や生き方へリジェネレーション(再生)していくマインドセットを持つタイミングなのかもしれません。

そしてこのリジェネレーションという言葉は何も地球規模の環境問題だけに当てはまる言葉ではありません。個人や組織のあり方にも活用できる考え方です。先が見えない今の状況だからこそ、「また働く状態になる、あるいはすること。精神的に生まれ変わること」という意味の「リジェネレーション(再生)」という言葉を心に置いて、力強く生きて行きたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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