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理由ある反抗?~ゆたぼん発言を考える~

2017年、小学生を対象にした「将来なりたい職業」ランキング(男子)で、YouTuber(ネット動画投稿者)が、第6位に入っているそうです。


YouTuber(ユーチューバー)とは、動画共有サイトYouTube上で自主制作の動画作品を継続的に公開しつつ、YouTube社が定める提携プログラムに従い、公開動画に付帯された広告収益による配当を得ている個人および組織とされています。


まあ、番組を自主制作後、WEB上で配信して、賛同した組織からのスポンサー料が収入となっているお仕事ですね。
一説では、YouTuberで生計を立てられるのは、ごく少数とのことです。
現実は厳しいですね。


「人間はなんといっても不合理だ。
 人間は自分のもっている自由は決して行使しないで、
 自分のもっていない自由を要求する。
 彼らは思索の自由を持っているが、
 表現の自由を要求する」
 (キルケゴール)

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ゆたぼん発言の感想


12歳のYouTuber ゆたぼんの「中学校に行かない」発言は、日本中で話題になってますね。


私の感想は、12歳位であれば、あり得る言動かなって思います。
YouTubeに配信したことで、子どものつぶやきが日本中に拡散されたという感覚で見ています。
ただ、発言内容や動画のアクションから、本人自ら考えたものなのか?という疑問はありました。


発言内容などから、気になったことを考えてみました。


12歳という年頃


12歳と言えば、中学生に当たり、ちょうど、反抗期が始まりますね。
親や先生に反抗した人もいらっしゃったことと思います。
私もかつてそうでした。


アメリカの発達心理学者エリクソンのライフサイクルでは、12歳は、青年期の始まりに該当します。


青年期は、親の価値観を盲目的に受け入れられなくなり、「自分とは何者か」「どのようにして生きていくのか」といった自己に対する探究が始まります。

しかし、自己の探究は同時に、自己の不安定さと向き合うこともあり、様々な困難や苦悩・危機が伴います。


また、青年期の子どもには、自己の探究のために本来大人が背負うべき義務や責任を免除されているモラトリアムという期間があるとしています。
モラトリアムを経て、自己の探究や問いに対し、肯定的・確信的に回答できる状況になることをアイデンティティの達成とよび、この達成によって青年期が終結します。
これに失敗すると、アイデンティティの拡散となり、自分の存在価値を見出すことができない状態になります。


自由とは何か?


自由には、英語で“freedom”と“liberty”があります。


“freedom”は、単に何事にも規制されていない「自由」であることの状態を意味します。
また「(規則・負担・義務等の)免除」というような意味合いもあります。こちらは、個人的な自由ですね。


“liberty”は、外部からの圧制、抑圧などから逃れた状態での自由という意味になります。社会的な立場(社会が認める)自由ですね。


彼が問題にしているのは、校則ですので、「校則の自由」を英訳すると、“Freedom of school rules”になります。
おそらく、彼の言う自由は、前者に近いようですね。


ただ、いずれの意味にしろ、自由とは、好き勝手にやっても人に迷惑をかけず、自分で責任をとる意味合いがあります。


教育の義務


憲法第4条より、国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負うと定められています。


しかし、彼のように、不登校のケースはどうなるのでしょうか?


文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年)は、次のように通知しています。


既存の学校教育になじめない児童生徒については、学校としてどのように受け入れていくかを検討し、なじめない要因の解消に努める必要があること。


また、児童生徒の才能や能力に応じて、それぞれの可能性を伸ばせるよう、本人の希望を尊重した上で、場合によっては,教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、中学校夜間学級(以下、「夜間中学」という。)での受入れなど、様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと。


その際、フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きいこと。


フリースクールの現状


2015年の文部科学省の調査では、フリースクールなどの民間施設は全国に474カ所あり、少なくとも4196人の小中学生が通っていると報告しました。


2015年の不登校などの長期欠席者数は、小学生63,091人、中学生131,807人の計194,898人です。


ほとんど、カバーされてないですね。


都道府県別では、東京が54施設で最多となり、首都圏に多い傾向がありました。岩手、群馬、石川、福井、高知の5県は各1施設で、設立数に地域差がありました。


毎月の会費は1万円超3万円以下が最多の38.2%で、3万円超5万円以下は36.3%。無料から5万円以上まで施設ごとに大きく異なり、入会金で10万円以上必要なケースもありました。


活動内容(複数回答)は相談・カウンセリングが90.9%で最も多く、個別の学習も87.1%が実施していました。芸術活動やスポーツ体験なども75%を超えていました。


勤務する職員は2864人で、このうち893人(31.2%)は無給でした。


結語


彼の言葉を聞いて、自分の中学生の時を振り返りました。
私自身、普通の人生を歩みたかったので、彼のような人は宇宙人のように思えました。


彼の目指す生き方は、道なき道を開拓しながら生きるようなものなので、相当な努力と覚悟が必要でしょう。


「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがあります。
安全な暮らしが約束された場所をあえて離れて、知らない世界や馴染みのない場所で暮らすからこそ、人間として大きく成長できる、ということを言っています。


人生に唯一の正解はありません。
本人にとって、納得した人生が歩めたという実感があれば、その人にとって正しい答えだと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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