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【徹底解説】 2024年版 6年間学費タダで生活費まで貰える! 返済不要のハンガリー政府奨学金

[[2024.06.16]] 「2024年度各大学の選考傾向」、「費用比較」、各種情報を加筆しました。
[[2023.11.29]] 「年度別の受給者数と倍率」、各種情報を加筆しました。
[[2023.07.17]] 「実際に学生が利用したサービス」、各種情報をアップデートしました。
[[2022.08.08]] 「茨城県海外対象医師修学資金」について加筆しました。
[[2022.11.05]] 「各大学の選考傾向」、「奨学金生の実習」について加筆しました。
[[2022.12.03]] 「2023年度募集情報のアップデート」、「予備コース入試前からのタイムライン」、「実際に利用したサービス」について加筆しました。



ハンガリー政府奨学金は一言でまとめると以下のようなものです。

大学入学後6年間の学費が全額免除、加えて毎月ちょっとした生活費も支給されて返還は不要。受給できれば日本の国立医学部よりも安くなります。

ハンガリー医学部では、毎年数十人の日本人学生が新たにこの奨学金をもらっています。内容・倍率を考えると、とても寛大な仕組みです。

今回はそんなハンガリー政府奨学金について書きました。申請の準備や日程・条件、選考基準まで、この記事を読めば奨学金について一通り理解できます

医学部以外の学生も対象で、選考課程は全学部共通です。医学部以外でハンガリーに留学したい人にも参考にしてみてください。ただし、医学部生だけ異なる点(日程・条件・対象大学)もいくつかあるので注意しましょう。

記事の前半は奨学金の概要、後半は申請準備や選考過程・志望動機書の書き方について説明します。

最新情報、みなさんからのフィードバックを元に逐一加筆しております。質問は気軽にTwitterで質問箱・DMまでお寄せください。


ハンガリー政府奨学金の概要


ハンガリー政府と留学生の出身国政府との間で取り決められた給付型奨学金です。2014年から開始され、年間最大100名の日本人学生(医学部以外込)に奨学金枠を設けています。

受給期間は、専攻課程の開始から修了までです。
(例:医学部本コース6年間)

奨学金の内訳は以下の通りです。

・授業料の全額免除 (約1200万円〜1500万円)
・住居費の補助 (毎月43,700ft=約18,500円)
・生活費の補助 (毎月40,000ft=約17,000円)

1番大きなポイントは、給付型奨学金のため返済の必要がないこと学費が完全にタダになります。6年間の生活費だけで医学部に通える上に、生活費や住居費の補助も支給されるので、日本の国立大学医学部よりもさらに安くなります。

また、ハンガリー政府奨学金では家庭の収入が考慮されないため、学生支援機構などの奨学金の対象にならない学生(家庭の所得額により)にもチャンスがあります。


<日本の医学部との費用比較>


以下が日本・ハンガリー各医学部6年間の大まかな必要費用です。

・日本の国立医学部:入学金&授業料360万円(年50-60万円)+生活費1080万円(月15万円)+教材費=約1500万円

・日本の私立医学部
:入学金&授業料1900万円〜4700万円+生活費1080万円(月15万円)+教材費=約3000万円〜6000万円

・ハンガリー医学部(奨学金無し)
:授業料1700万円(年約280万円)+生活費&教材費1440万円 (月20万円) +航空運賃60万円(年1回帰国10万円)+留学保険約100万円(年間17万円)=約3300万円
*事務局の手数料(年度による)が別個加わります。

・ハンガリー政府奨学金生:
上記 − 授業料1700万円 − 住居&生活費補助約250万円(月約35000円)=約1350万円 
*事務局経由の場合、手数料(年度による)が別個加わります。

このように、医学部6年間でかかる費用は「日本の私立医学部>ハンガリー医学部>日本の国立医学部>ハンガリー政府奨学金生」です。

もちろん必ず受給できる保証はないため、奨学金無しでも留学生活を賄える資金の準備は必要です。

最安値の私立医学部に通える資金があれば医学部留学ができて、さらに奨学金次第では学費が無料になる可能性があるということです。

この費用的な魅力は近年のハンガリー医学部人気の大きな要因になっています。


<対象者の条件は?年齢制限はある?>


本コース受験時もしくは各学年毎(大学による)に申請
を行います。

大学在籍中に受給する奨学金なので、医学部予備コースの期間は受給対象外です。

医学部の場合は6年間(受給開始からコース修了まで)です 。

年齢制限の明記はなく、30代で受給している学生もいます。現時点で政府奨学金の年齢制限はありません。

加えて世帯主の収入による制限もないので家庭の経済状況は関係なく、”ハンガリーで学びたい外国人留学生”であることが申請条件です。


<大学毎に選考基準の違いはある?>


医学部は年度によって奨学金の対象大学が変更されることも多く、まず申請年度にならないと志望の大学・在籍する大学で奨学金が申し込めるかは分かりません。

大学附属の予備コース (デブレツェン、セゲド)に行けば優先的にその大学に進学できるため、各大学の奨学金の傾向は予備コース選びの一因にもなっています。

2024年度に奨学金の対象の医学部は以下の通りです。

センメルワイス大学
デブレツェン大学
セゲド大学
・ペーチ大学


<申請の流れ 医学生は奨学金選考の入試期日が早い>


上記のタイムラインに沿って1月15日に書類提出完了、6月末-7月頃に奨学金の審査結果が通知されます。

ただ、医学部で奨学金の選考対象になるための入試期日は他学部よりも少し早いです。

政府奨学金公式のタイムラインでは5月末までに教育機関が入試合格者(=奨学金候補者)を選考するとあるものの、医学部生は奨学金枠の定員が埋まる時期が早いため、さらに早い時期に対象大学に合格する必要があります

これは奨学金申請の志望大学順位が関係しています。

記事後半にて、実際の入試期日や各校の傾向などを考慮した上で、予備コース入試から奨学金申請・本コース入試までのタイムラインを紹介します。

より詳しい選考過程の日程が知りたい方は以下の画像を参考にしてください (2023年度の例)。


<必要書類>


申請はオンラインで下記の書類を提出します。

・個人情報
・パスポートコピー
・同意書
・健康診断書
・高校の卒業証明
・最終学歴の成績表
・TOEFL/IELTS等の英語能力スコア
・志望動機書


<受給者に課せられる制約>


ハンガリー国内での就業が目的なので、学期中にERASMUSなどの交換留学生として他国に出向くことはできません。

また、学期中に私用でハンガリー国外に滞在できるのは原則10日間以内(休日を除く)というルールもあります。

新しい制約が追加されることもあるので、申請する年度の規約を確認しましょう。


ハンガリー政府奨学金の選考


以下、奨学金選考の日程や選考基準、他の奨学金との併願、準備の進め方について具体的に説明していきます。

奨学金を目指す方にまず読んでもらいたいのは<各大学の選考の最新傾向>と、<選考で差がつく項目>です。

進学先選びや奨学金申請に向けた時間の使い方の指針になると思います。

また、志望動機書を書く際に奨学金の機構側から出される質問と、志望動機書の書き方も掲載しました。

アカデミックな志望動機書を英語で書く際の説明をしている日本語のリソースは少ないです。

私が志望動機書作成時に利用したサービスや、イギリス・アメリカのトップスクール学生30人以上の志望動機書の書き方をリサーチした上での要点をまとめました。

各校の傾向や入試期日を考慮した上で、今から奨学金申請に向けて準備するならこれがベスト、というスケジュールも掲載しています。

個人の意見ですが、奨学金に申請するほとんどの人が「奨学金=約2000万円(6年間の学費+毎月約3.5万円)、しかも返済不要」ということを真剣に捉えた努力をしていないように思います。

「奨学金を取りたい」と思い立ったその日から準備を始めましょう。

受給できたら1000万円以上浮くと思えば、全力で対策する価値はあるはずです。

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