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綺麗事だけで世の中は回らない資源にまつわる仁義なき戦いのような話?

今回はレアなあの話

今回は希少資源の話を記者目線で取り上げた「資源の世界地図」を紹介してみます。著者は日本経済新聞の記者・飛田雅則氏です。

昨今では、パリ協定、電気自動車、再生可能エネルギー、ESG投資、グリーンリカバリーといった話を時事問題や経済ニュースの場で耳にしないことはないかと思いますが、これらに必須となる希少資源の話になります。

まず交通整理

レアメタルとは以下の31鉱種です。

リチウム、ベリリウム、ホウ素、希土類(17種)、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマス

レアアースとは希土類元素のうち以下の17種です。

スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム

多分、上記の文字をみただけでどんな物質かわかる方は山田(仮名)の説明は不要だと思いますが、一応周期表のどのあたりにあるのかとか、どんなものかはNIMSのサイトに詳しく掲載されていますので、実際に確かめていただければと思います。

国立研究開発法人物質・材料研究機構のサイトより↓

2021年現在の状況

脱炭素時代不可欠なEVであったり、風力発電であったり、太陽光発電であったり、スマートフォンをはじめとするハイテク電子機器にはもれなくレアアース・レアメタルが使用されていますが、これらに使用されるレアアース・レアメタルの中国シェアはもの凄く高いです。

ここに目をつけた中国の慧眼はさすがですが、やはり中国の政治体制やこれまでの外交手法などを考慮すると、必ずしも世界との完全に共存できる情勢ではないことは想像に難くありません。

したがって、現時点では必要となるレアアース・レアメタルで得られる果実を最大限に共有すべき手法を考えていくのが最適解だと思います。それは、外交なのか? 経済支援なのか? 経済圏の創出なのか? 場合によっては新素材への研究投資なのか? etc.はあらゆる角度で考えるべき時期に来ていると思います。

サウジの苦悩、ロシアの憂鬱、アフリカが抱える問題も

石油の相対的なエネルギーとしての価値が下がるということは、産油国にとっては死活問題になりかねません。

その旗手の一人がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子です。本書でも1章分さかれており、若き指導者が税金ゼロの国からどうやってサウジを立て直そうとしているかの苦悩が見て取れます。

また、本書でもロシアが取り上げられています。

ロシアも国際政治でみれば、中国に近いと思われがちですが、エネルギー外交や資源外交という面からすると必ずしも中国とwin-winというわけでもなさそうです。加えて、シェール革命により、ロシアの原油や天然ガスの優位性が相対的に下がる、つまり外交カードの持ち札が減る事態になっています。そんな中でロシアを大国たらしめるための戦略が必要となるでしょう。 

さらに、レアメタルの鉱山が眠るアフリカ諸国の固有の問題もあります。例えば、今後鉱山での児童労働の問題は過誤できなくなるでしょうし、そこに中国の覇権 vs 欧米の規制の狭間で、資源による果実を最適にする国家の舵取りが迫られています。

そんな中で日本は…

日本もグリーン成長戦略を掲げて、急ピッチに進んでいます。当然、成長戦略を進めていくにはエネルギー政策の議論は避けて通れませんし、鉱物資源の地政学的リスクを踏まえた対策を周到に準備していくことが必要だと考えます。

再生可能エネルギー、ESG投資、グリーンリカバリーといった話は総論賛成的議論になりやすいのですが、マイナスの側面、これからの外交や安全保障なども踏まえた真剣な検討が必要かなと本書を読んで考えさせられました。(了)

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山田太朗(仮名)
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