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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#ショートショート

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者が、私に向かって
「貴方は凄い能力の持ち主だ。
修行すれば、かなりの力を得るであろう」
と、言ってくる。
おだてに弱い私は、その言葉を信じて修行を重ね遂に
霊能力を身に付ける。

私には観える。
その人の運命が、手に取る様に解る。
だが、只では教えてはあげない。
修行に元でが掛かっているからだ。
私は、路上で占いの商売をやり始めた。
私の占いは当たる、と評判となり多くの
人達が私の元にや

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小さいオルゴール(530字の小説)

小さいオルゴール(530字の小説)

結衣ちゃんはもう直ぐ3歳になる女の子。
何でも興味を持つ女の子。

今日は不思議な箱を見つけて、目を輝かしています。
「ねえママ、この箱不思議だよ。蓋を開けると音楽が聴こえてくるよ。」

「そうだね、不思議だね。この中に結衣ちゃんよりも小さな人が
音楽を聴かせてくれてるのかも知れないね。」

と、ママは結衣ちゃんに夢を与えてくれました。
「この中に、小さな人がいるの?結衣ちゃんよりも小さな人がいる

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あほやん バス旅行に!(220字の小説)

あほやん バス旅行に!(220字の小説)

君と初めて会ったのはバス旅行。
お互い一人で来ていたね。
君も僕も、失恋感傷旅行。

他のお客は皆んな、カップルか家族連れ。

バスの席、隣同士になっていたのは偶然ではないみたい。
初めて会った二人だけど、何故か打ち解けたね。
二人とも似た者同士だからかな?

君と一緒に歩いたね。
君と一緒に食事もしたね。
でも、日帰りの安価な旅行。
初めて会った日が最後の日だった。
連絡先も聞くことが出来ない

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不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

ある日、美しい女性に出会う。
だが、彼女は妖怪だった。
彼女は全ての物を一瞬にして、
凍結させる能力を持っていた。
何故か彼女は私の家に住みついた。

私は、彼女を利用しようと考えた。
それは、瞬間冷凍するビジネスだ。

依頼の多くは食品であるが
不治の患者の依頼があった。
それは未来の医療に期待して
冷凍保存するのである。
生きたまま、瞬間冷凍される患者。

人間を瞬間冷凍する記事がネットに

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あほやん 切望から・・・・(1620字)

あほやん 切望から・・・・(1620字)

待ちに待ったクリスマス。
好きな彼女と二人で過ごせるクリスマス。
そして、今日こそ・・・。

デートコースを順調に済ませ、最後のディナーに彼女をいざなう。
此処は高級料理店。
予約もそう簡単には取れないお店。

二人きりの個室に案内された僕は、夢心地。
彼女もきっと喜んでくれているはずだ。
彼女の笑顔でそれが判る。
美味しそうな料理が運ばれてくる。

豪華な料理を見て、微笑む彼女。
その彼女の姿を

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あほやん 占い師と会う(1150字の小説)

あほやん 占い師と会う(1150字の小説)

道路を歩いていると、片隅に女が一人椅子に座っている。
見ると、
「占いします」と机に張り紙が垂らしてある。
不思議に興味を抱いて女のいる所に歩を進める。
女は若くて意外に綺麗な顔立ち。
若い女の占いなど当てにはならないだろうと、
思っては見たが、綺麗な女に惹かれてしまう。

「お客さんですか?」と、座りながら首を上に向け
上目目線で聞いてくる。
「お客さんなら、前にお座り下さい」
と、椅子を薦めら

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戦争を知らないジジイ達(830字)

戦争を知らないジジイ達(830字)

キノコ雲の下で何が起こっているのか?
パイロットは知らない。
爆弾を投下した人も知らない。
命令され任務を忠実に遂行しただけ。
一発の核兵器が、多くの人達の生命を一瞬で奪った事に
気付いたのはいつの事なのか?
その時、彼らはどの様に感じたのだろうか?
自分自身の罪の重さを感じたのだろうか?
それとも、「任務を遂行しただけ」と悪びれずにいたのだろうか?
原爆を投下する事を決定した当時のアメリカの首脳

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