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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#ペイソス

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴が目立つ、あのお爺ちゃん
毎日この道を散歩している、あのお爺ちゃん。
私の家の前で、腰を下ろし休んでいた、あのお爺ちゃん。
「今日も姿が見えないな〜。
どうしたのだろう?
名前も知らないお爺ちゃんだけど、
会えないと、何だか寂しいなぁ。」

今日、何故かゆっくり走って行く
白い色の霊柩車
私の家の前を名残り惜しそうに通って行く。

霊柩車の中に目を向けると、
抱かているあのお爺ちゃんの遺影。

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あほやん バス旅行に!(220字の小説)

あほやん バス旅行に!(220字の小説)

君と初めて会ったのはバス旅行。
お互い一人で来ていたね。
君も僕も、失恋感傷旅行。

他のお客は皆んな、カップルか家族連れ。

バスの席、隣同士になっていたのは偶然ではないみたい。
初めて会った二人だけど、何故か打ち解けたね。
二人とも似た者同士だからかな?

君と一緒に歩いたね。
君と一緒に食事もしたね。
でも、日帰りの安価な旅行。
初めて会った日が最後の日だった。
連絡先も聞くことが出来ない

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あほやん 切望から・・・・(1620字)

あほやん 切望から・・・・(1620字)

待ちに待ったクリスマス。
好きな彼女と二人で過ごせるクリスマス。
そして、今日こそ・・・。

デートコースを順調に済ませ、最後のディナーに彼女をいざなう。
此処は高級料理店。
予約もそう簡単には取れないお店。

二人きりの個室に案内された僕は、夢心地。
彼女もきっと喜んでくれているはずだ。
彼女の笑顔でそれが判る。
美味しそうな料理が運ばれてくる。

豪華な料理を見て、微笑む彼女。
その彼女の姿を

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心の声(550字の小説)

心の声(550字の小説)

人の心の声を聞く能力を持つ事は、ある意味怖い事でもある。
私がどの様に人に思われているか全て解ってしまう。
勿論、嬉しい時もあるのだが。

ある日、電車の中で男の心の声が聞こえた。
向かい側に座る女を狙っている。
それを解っていながら、私には防ぐ術がない。
男の眼光は鋭く、獲物を追う獣の様だ。

次の駅で、女は降りる。
それを追う男。
私は、怯えながら女の無事を願う。
彼女の身に何も無ければ良いが

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ケムタの憂い

ケムタの憂い

毛虫のケムタが卵から孵化したのは、葉っぱの上だった。
生まれた頃は、たくさんの兄弟と葉っぱを一緒に食べていた。
しかし、兄弟たちは好む葉っぱが違うみたいで、
それぞれ、違う道を歩みだし、みんなバラバラになっていった。
ケムタは親の顔を知らない。
お父さんもお母さんも、ケムタが生まれた時には居なかった。
ケムタの友達は、葉っぱの様な緑色である。
葉っぱと同じ色にするのは、外敵に襲われない様にする為ら

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歌詞に秘められた思い

歌詞に秘められた思い

歌詞は短い文章の中に物語りや、自分の想いを伝えている。
素晴らしいと想いました。

小田和正さんの「たしかなこと」の歌詞の意味を考えながら聴きました。

私は、歌が好きで良くカラオケに行くのですが、歌詞を以前はあまり考える事なく歌っていたのですが、小説を書き出してからは、
注意深く歌詞を読む機会が増えました。

「たしかこと」と言う題名であるのに、歌詞の中にその言葉は、
出てきません。
注意深く歌

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