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ショートシュート

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2023年12月の記事一覧

不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

ある日、美しい女性に出会う。
だが、彼女は妖怪だった。
彼女は全ての物を一瞬にして、
凍結させる能力を持っていた。
何故か彼女は私の家に住みついた。

私は、彼女を利用しようと考えた。
それは、瞬間冷凍するビジネスだ。

依頼の多くは食品であるが
不治の患者の依頼があった。
それは未来の医療に期待して
冷凍保存するのである。
生きたまま、瞬間冷凍される患者。

人間を瞬間冷凍する記事がネットに

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正義を貫く事(260字)

正義を貫く事(260字)

正義を貫く事、自分の信念を曲げず、権力者にも屈せず戦う事。
その精神を、その実行力を、笑うものは臆病者である。
正義を実行する時、迫害もあるであろう。
歴史がそれを証明している。

臆病者は、もっと上手い方法でしようとする。
そんな人間に正義など貫く事はできない。
良いところで妥協するだけだ。
そして自分を賢いと自尊する。
愚かな事だ。

日本は本当に平和な国である。
他の国なら正義を叫べば、投獄

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あほやん 切望から・・・・(1620字)

あほやん 切望から・・・・(1620字)

待ちに待ったクリスマス。
好きな彼女と二人で過ごせるクリスマス。
そして、今日こそ・・・。

デートコースを順調に済ませ、最後のディナーに彼女をいざなう。
此処は高級料理店。
予約もそう簡単には取れないお店。

二人きりの個室に案内された僕は、夢心地。
彼女もきっと喜んでくれているはずだ。
彼女の笑顔でそれが判る。
美味しそうな料理が運ばれてくる。

豪華な料理を見て、微笑む彼女。
その彼女の姿を

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心の声(550字の小説)

心の声(550字の小説)

人の心の声を聞く能力を持つ事は、ある意味怖い事でもある。
私がどの様に人に思われているか全て解ってしまう。
勿論、嬉しい時もあるのだが。

ある日、電車の中で男の心の声が聞こえた。
向かい側に座る女を狙っている。
それを解っていながら、私には防ぐ術がない。
男の眼光は鋭く、獲物を追う獣の様だ。

次の駅で、女は降りる。
それを追う男。
私は、怯えながら女の無事を願う。
彼女の身に何も無ければ良いが

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あほやん 占い師と会う(1150字の小説)

あほやん 占い師と会う(1150字の小説)

道路を歩いていると、片隅に女が一人椅子に座っている。
見ると、
「占いします」と机に張り紙が垂らしてある。
不思議に興味を抱いて女のいる所に歩を進める。
女は若くて意外に綺麗な顔立ち。
若い女の占いなど当てにはならないだろうと、
思っては見たが、綺麗な女に惹かれてしまう。

「お客さんですか?」と、座りながら首を上に向け
上目目線で聞いてくる。
「お客さんなら、前にお座り下さい」
と、椅子を薦めら

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三十年後(345字)

三十年後(345字)

最近、枝豆の冷凍をよく購入する。
意外と美味しい。
冷凍の技術が進んでいるのであろうと
痛感する。
以前は「冷凍食品は味が落ちる」と
思い込んでいたのだが。

魚を生きたまま一瞬に凍結し、死んだのか?と
思って見ていると、解凍し元に戻すのを見た事がある。
本当に不思議だ。
人間に応用出来ないのか?
不治の病の人を瞬間冷凍し、保存し技術が進歩した時に
解凍し治療する事が出来るのであろうか?
たびたび

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あほやん 高額のバイトを請け負う➕追伸(580字)

あほやん 高額のバイトを請け負う➕追伸(580字)

僕は借金取りに追われてる。
逃げていたのでは借金を返済する事は出来ない。
ある日、高額のバイトの依頼を受けた。
僕は喜んでその仕事を請け負った。

紹介されたホテルに行き、部屋に入ると、
照明も点けずに女が佇んでいる。
顔にはマスク。
悲しげな目で僕を見ている。
驚きを感じたが、今更後には引けない。

「私に口紅を塗ってくれる」
と、甘えた声で女が言う。
…口紅を塗る?そんな事自分でも出来るだろう

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