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ショートシュート

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2023年11月の記事一覧

親と子と妻(240字の小説)

親と子と妻(240字の小説)

子供は成長すると共に、親から離れて行く。
寂しい事だが、仕方のない事でもある。
二人の息子達はそれぞれの家庭を持つ。
残るのは、一人の妻だけ。
もっとも、二人妻がいると厄介な事になるが。

仏教では、子供との縁より夫婦の縁、
絆の方が深いと教えている。
以前は、そんな事は無いだろう と
思ってはいたが、今実感として、解る。
妻とは、以前の恋人から変身して、今や戦友だ。
長い人生を歩んだ戦友だ。

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先人達の無責任な行動(530字)

先人達の無責任な行動(530字)

プラッチックは現代には欠かせない。
だが、土に戻らないので永久に存在する。
細かくはなるが、無くなる事は無い。
その細かくなったプラッチックを、プランクトンが食べ、
それを魚達が食べ、結局人間が食べる。
食物連鎖である。
危険だと解ってはいるが、未来に対する詳細は不明との事。

人は文明を進歩させ、豊かで便利な環境を手に入れたが、
その反面環境を破壊する。
この問題の解決は、今の子供達、若者達に委

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あほやん お願い事編(250字)

あほやん お願い事編(250字)

今、冷たい雨が降っています。
11月の終わりの雨です。
これが、来月になると雪に変わるでしょう。
もうすぐ12月。
後一ヶ月で今年も終わりです。

終わると言っても時は続い行きます。
永遠に止まる事なく続いて行きます。
私が亡くなった後でも時は永遠に続きます。

この世に人間として生まれてきたのだから、
何か残しておきたい。

自分が生きていた証を、私は今小説として刻んでいます。
私が亡くなった後

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行間を読むって難しい😓(464字)

行間を読むって難しい😓(464字)

「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む」
誰の詩だったか思い出せないが、高校生の時教科書で
読んだ事がある。
その当時の私は、この詩の意味が全く理解出来なかった。
また、「こんなの詩とは言わんだろう」とも思っていた。

私も二人の息子を育て終えた今、この詩の意味を理解できた。
たった二行の詩の行間に秘められた想い。
本当に凄い詩だと感じた。

また、同じ様に

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月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

「お爺様お婆様。私は今夜、月に帰らないといけません
私を育てて頂き有難う御座います
この御恩は、一生を忘れる事は出来ません」
と、涙の表情が、かぐや姫の心痛を表している
「大丈夫だ、姫よ。そなたを誰にも渡さない!
強者の兵も多勢来ておる安心しておくれ」
と、爺さんは自信の面構えだ。
婆さんは、かぐや姫に寄り添い肩を抱きしめる
だが、かぐや姫の表情は暗く切ない

「お爺様、私は帰らなければならないの

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あの男の後悔(400字の小説)

あの男の後悔(400字の小説)

久しぶりに飲んだ酒の銘柄が、
俺の記憶を蘇らせる。それは、・・・

あの時、俺は若かった。
いや、子供だった。
大人達に煽てられ、担がれて、俺はその気になっていた。
役にも立たない家来を連れて
乗り込んだ所が、小さな島だった。
奴らが奪った財宝を奪い返しに
俺はこの島にやって来た

正義の旗を振りかざし
俺は奴らを退治した
逃げ惑う奴らを
俺は許す事なく殺した。

持ち帰った財宝を、俺は村の人達に

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