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企業活動と社会貢献を繋ぐ、越境リーダーシップ共創プログラム|ボードフェロープログラム参加ビジネスパーソンインタビューvol.2:J.P.モルガン

2024年9月から10月にかけ、World in Youはボードフェロープログラムに参加いただいたJPモルガン証券株式会社の加藤格さん(第1期に参加)と西原里江さん(第2期に参加)、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社の嶋田利佳さん(第3期に参加)、また、JPモルガン証券株式会社CSR担当の加藤大さんにお話をお伺いする機会をいただきました。

本記事では、上記の皆さんに伺ったお話を再構成し、皆さんの本プログラムでの学びや感じられた意義について紹介します。

JPモルガン証券株式会社 CSR担当
加藤大さん

プロフィール

2008年よりJ.P.モルガンに勤務。
2019年よりCSR担当として従事。

JPモルガン証券株式会社
加藤格さん

プロフィール

2004年にJP モルガン証券入社
以来 21年間、顧客企業の M&A アドバイザリー、資金調達の引受業務等に従事


JPモルガン証券株式会社
チーフ株式ストラテジスト
西原里江さん

プロフィール

2016年にJPモルガン証券入社。
2022年にチーフ株式ストラテジストに就任。

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
嶋田利佳さん

プロフィール

2005年にJPモルガン・アセットマネジメント株式会社入社。
グローバル株式運用グループのグローバル不動産証券の運用、株式リサーチ・アナリストを経た後、不動産アジア太平洋部門のポートフォリオ・マネジャーに就任。

ボードフェロープログラム(以下、BFP)とは、ビジネスリーダーと非営利組織の経営陣が、社会課題解決事業の経営について本質的な議論・協働を通じて、社会にインパクトをもたらすリーダーシップを磨く、約6か月間の実践・体験型プログラムです。

これまで、非営利組織のボードメンバー・経営陣と、企業の経営者、大手企業サステナビリティ/CSR部長、次期役員候補、新規事業企画者、弁護士、会計士、議員、大学教授、非営利団体の代表、大学院生といった多様なセクターの人々が共に経営やガバナンスについて学び、セクターを越えて協働・創発を生み出す土壌を育んできました。


BFP参加のきっかけ

加藤大さん:

私の役割はCSR担当として、国内の社員に社会貢献活動の機会を提供するというものです。

スキルベースのボランティアをしながら日本のさまざまな社会課題に触れる機会を作りたいと考えており、BFPの話をWorld in Youの山本さん、三代さんから初めて伺った際、「ぜひ参加させてください」とお話しました。

BFPは6ヶ月にわたって各NPOの取り組む社会課題に向き合い、互いの理解を深めていく場です。

一度きりのボランティアや、単発のプロジェクトにプロボノとして参加するよりも、より深くNPOや社会貢献について学べ、興味を持ってもらえるのではないかと思いました。

また、参加NPOの抱える課題に真摯に向き合い、貢献できる人材を送り出したいとも考えていました。

東京のCSR担当として、J.P.モルガンの社員はビジネスのスキルや能力の高さだけではなく、Diversity, Equity, and Inclusionを重んじ、地域に貢献をすることも重要と考えています。

BFPに参加することにより、社会の課題や非営利組織に関する理解が深まり、会社の中でリーダーとして活動してくれることを期待して、嶋田さん、西原さん、加藤さんの3名にお願いしました。

BFPを通じての変化、気づき、学んだこと

嶋田利佳さん:

私がBFPに参加した際の3団体の皆さんは、社会をより良くしていくための目的とアイディアを持って、それを達成するために何をしなければならないのか?を毎日考え、走り続けている方々でした。

また、3団体に共通していたのが、1人の熱意あるリーダーが組織を引っ張ってきていたことです。

こういった方々にお会いできたことも良かったことの1つですが、このシングルリーダー体制が3団体に共通する、次の段階へ進むための組織課題にもなっていたように思います。

シングルリーダーの状態から組織的に動ける体制づくりをするために、1人の熱意をどうグループの熱意に変えていくか、人事をどうするか、ファンドレイジングなどいろいろな機能をどう揃えていくか等、今まさに団体が直面している問題をBFPの6カ月間の中で伴走し、解決をお手伝いすることとなりました。

我々は企業活動に取り組む中で、当たり前に利益を注視する姿勢を身につけています。また、日々業務の中でやっている戦略分析やマーケット分析などのアイデアを模擬ボードミーティングの場でお伝えすることもありました。

このような、私たちにとって普段慣れ親しんでいる業務上のアイデアや見方なども、NPOの皆さんにとって役に立つんだというところが、自分にとっての気づきでした。

時に厳しいと思われるだろうフィードバックを団体の皆さんに行うこともありましたが、上から目線ではなく本当に一緒になって課題に取り組んでいくことができました。

そして、団体の皆さんのような活動に取り組む熱意、目的を達成していくためにさまざまなものを学び受け入れていく姿勢は、こちらとしても取り入れていかなければいけないなと思いました。

また、BFPに参加していた半年間で、実際に参加団体のイベントにも出る機会がありました。そこで実際にNPOが支援している当事者(難民)の方とお話する中で、人をご紹介することで、その方の仕事が見つかったりとか、そういうちょっとしたきっかけから役に立てることもあると知りました。

そのNPOが取り組まれているテーマについてもBFPを通じて初めて触れ、自分の視野が広がる機会でもありました。

BFP参加後の変化、現在に繋がっている実践など

西原里江さん:

私はBFP参加以前から「女性が活躍する社会をつくる力になりたい」という思いがありました。日本の女性の労働参加率が53%まで上昇し、女性の社会進出は大きく進んだとはいえ、もっと日本の女性が働けるようにならないかと考えていた時に、World in YouのBFPに出会いました。

第2期のテーマが「多様な生き方やライフステージに合わせて、一人ひとりが社会で活躍し続けられる女性の働き方」であり、女性の働き方を支援する活動に取り組む団体が参加するということもあり、参加を決めました。

私がBFPに参加した当時はコロナ禍もあり、バーチャルでの開催でしたが、ここで3つのことを得られたと思っています。

1つは、現状認識が大きく変化したことです。BFP参加後は数字から読み取れる女性活躍の足りなさを心の「底から」感じるようになりました。

女性が一度家庭に入るために仕事を辞められてから、再就職できるよう支援に取り組まれているNPOの皆さんと実際にお会いして対話できたことで、皆さんが本当にエネルギーを注ぎ込んで活動されていることがわかりました。

私どもはマクロデータを見て、これはどうにかしなきゃいけないと思うのですが、現場ではこういうことが起きてて、NPOの皆様がこうして100%、120%の力で物事を変えようと頑張っておられることがわかったことは、最大の学びでした。

2点目は、女性活躍を推進する企業の皆さんに巡り会えたことです。

さまざまな企業から参加されている皆さんが、どんな方針やカルチャーを持って社会貢献に向き合おうとしているのかを仲間として知り合えたということは、大きな財産になりました。

そして3点目は、企業の皆さんとの繋がりという財産を得て、今度は私自身が「フォワード・キャラバン~ 将来へのバトン」と題したプロジェクトを立ち上げることができたことです。

大学や銀行、行政、そしてBFPで出会った企業の皆さんと共に、学生さんへメッセージを伝える機会としてプロジェクトを立ち上げ、実行に移せたことは、BFPに参加してこそ得られた貴重な経験となりました。WiYさん、本当に有難うございました!

ビジネスパーソンがBFPに参加する意義とは?

加藤格さん:

BFPは全体の場でのインプット、個別の団体との模擬ボードミーティングと大きく2つのセクションにわかれますが、それぞれのプログラムで興味深い点がありました。

全体セッションでは、社会課題に関する研究や考え方のフレームワーク等、感覚的に自分が仕事でやっていたことが言語化される機会でもありました。そして、その知見を共有した上で企業、団体の皆さんと議論したことは、おもしろい経験だったと思います。

個別の団体と行う模擬ボードミーティングは、各NPOが抱える課題や問題に対して外部の第三者として何がアドバイスできるのかを考える機会になりました。

営利と非営利の違いもあるかもしれませんが、組織におけるコミュニケーションという点であれば、中間管理職としての課題感など共通する部分や、大企業としては組織課題にどうアプローチしているかというNPO側にとっては新たな発想など、いろいろなことを共有できたように思います。

各団体が抱えている問題点とは、ひいては日本社会の課題だと思いますので、そういったことを改めて認識するという意味でも非常に有意義な機会だったと思います。

グローバルな企業の東京オフィスで働いている現在の私は、自身の頑張りももちろんですが、家族や友人の存在や環境に恵まれたからこそだと、個人としては考えています。そのため、どうやって自分の受け取ってきたものや得てきたものを社会に還元していこうかと考え続けてきました。

ただ、そういった発想も機会がなければ、なかなか育むことも難しい部分があると思います。

いろいろな世界を見て自分の視野を広げることで、ちょっとした時間でもできること、今の自分でも誰かの役に立てることがあるかもしれません。

普段の業務で培ったことが別の形で巣立っていくことで、充実感も得られます。

このような、普段の仕事で出会うことのない人々と接する機会や、その中で自分がどのように社会に貢献できるかを考える機会として、BFPは非常に有意義なプログラムだと思っております。

BFPの企業、社会にとっての意義・価値とは?

加藤大さん:

BFPに参加することにより社会の課題、現場で活動するNPOの皆さんの奮闘や葛藤に触れ、長期間、同じ目線でディスカッションを続けたことで、自身の専門スキルをどのような形で社会貢献に繋げられるかの解像度が高まったのではないかと思います。

BFPには非営利セクターからもビジネスセクターからも参加者がいるので、普段接点のない人々から学び、ネットワークを広げ、次のステップをめざそうという人々が集まります。

NPO側にとって、企業が自分たちの活動をどのように見ているのか?は気になると思いますし、企業へ営業に行こうにも変に身構えたりしてしまうことがあるかもしれません。BFPはNPOが企業を知り、効率的に企業と連携することを学ぶ機会となります。

また、企業側にとっても自分たちの持つスキルや知見をどのように社会へ還元していけるのか?を知る機会となります。

社会をより良くするために変容や成長をめざす人々が半年間、経営やガバナンスについて話し合い、お互いの異なるバックグラウンドや活かしあえる部分を学び、1個人として深く知り合い、そこから次のステップが生まれていく……。

このような小さすぎず大きすぎない規模の場が大事だと、個人的には思っております。

World in Youの皆さんには今後とも、BFPを継続して取り組んでいただけると私たちとしても嬉しいですね。

BFP第1期〜第3期を経て、これから

以上、加藤大さん、加藤格さん、西原里江さん、嶋田利佳さんの4名から見たBFPについて紹介してきました。

World in Youは2020年以降、毎年継続しながらBFPを実施し、第3期のプログラム終了後の2024年4月には第1〜3期の参加者が集うギャザリングを開催しました。

BFPでのつながりは少しずつ、その後の連携や協働の形で芽を出しつつあります。

そして現在、World in Youはこれまでの流れを引き継ぎ、さらに発展させていくべく第4期プログラムの開催準備を進めており、参加者・企業の募集を11月から開始しました。詳細はこちらからご覧ください。

本記事をきっかけに「BFPについてもっと知りたい!」「〇〇について尋ねてみたい!」と思っていただけましたら、ぜひこちらからメッセージしてください。

また、今後も継続的に情報発信を行う予定ですので、更新情報のチェックもよろしくお願いいたします。


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