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2022年10月の記事一覧

【短編・書簡】キャンバスに色をのせるまで

【短編・書簡】キャンバスに色をのせるまで

 僕の高校の美術部は、その数年の間、県内では他校を圧倒していた。三年連続の県予選一位通過はもちろんのこと、県内のあらゆるコンクールで、この高校の名前が表彰台に乗らないことはなかったし、しかも一つに一人というわけでもなかった。
 僕はとりわけ、その中でそういったものにあやかる可能性は無いと思われた。美術部の他に兼部をしていたし、とにかく下手だった。自信はなかったが、それでも部活を続けていたのは、ここ

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【短編】レベッカ・フリーフォール

【短編】レベッカ・フリーフォール

 「なぁ、レベッカを覚えてるだろ?」とバーの店主は俺に話し始めた。
 「レベッカだって?」と俺は返した。レベッカと最後にあったのはもう5年も前だった。とにかく人目を引く美人で、赤みがかった長髪と、対照的に青々とした瞳を持っていた。レベッカ・フリーフォールという名前で、自由奔放な性格だった。

 5年前、彼女は俺の家の隣に住んでいた。そこはボロアパートだったし、彼女の家も築50年は経っていた。家主を

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【短編】疫病、そして、風が吹いている

【短編】疫病、そして、風が吹いている

 れいたは久しぶりに靴下を履いていた。シャツを着替えて、ジャケットを羽織って、ジーンズを履いていた。鏡の前の自分はなんだか時代遅れの亡霊のようだ。伸び切った髪に、メガネ。おしゃれとか、そんなものとはかけ離れている。しかし、これが今のれいたの精一杯の服装だった。外出だなんて、何年ぶりだろうか。

 いわゆるニート、というのがれいたの肩書きだった。

 中学の三年間は壮絶ないじめの記憶で埋まっていた。

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【短編】もう英雄を謳うまい

【短編】もう英雄を謳うまい

 学校で一番中のよかった男の子のしょうた君は、学校で一番の変わり者だった。

 彼はよく、赤いマントを首に巻いて、それをなびかせながら教室に入ってくる。
 「やーっ!」と走りながら嬉しそうにそれをはためかせ、そしてクラスの仲良しの友達のところに飛び込んでいく。みんな、変だなぁ、と思っていたが次第にそれが羨ましくなって、あちらこちらで好きな色のマントを首に巻く男の子が現れ始めた。時は大ヒーロー時代で

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