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退職代行サービスは弁護士に依頼するのがオススメです!

退職代行サービス。

労働者の代わりに会社に退職の意思を伝え、退職に関する手続きなどをやってくれるサービスのことです。

民間業者、労働組合団体、そして弁護士がサービスとして展開しています。

近年はたいへん流行しているサービスですが、これについては賛否両論あります。

結論のポイントを先に言ってしまうと

・退職代行を使われるような会社にも問題がある。
・弁護士に依頼するのが望ましい。
・違法ではなく、何より辞めたい本人にとって有益であれば、今後流行っていくべきサービスである。


だと思っています。

本日はそんな「退職代行サービス」についてお話していこうと思います。


メリット

①普通に退職するより、簡単にすぐ退職できる

「会社を辞める」ってかなりエネルギーがいることなんですよね。

退職は思ったより簡単にはできません。
引き留めに会ってしまうこともあるでしょう。

どのような理由であったとしても、労働者が自由に退職をできるという基本を定めた根拠は、民法第627条に定められています。

退職の意思(労働契約の解約の申し入れ)を会社に伝えてから、2週間経過後に退職日になります。

なお、2週間の起算ですが、退職を伝えた日の翌日からの2週間(民法第140条)であり、伝えた初日は2週間に含まれません。また営業日ではなくカレンダー上の日数で計算されます。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法 | e-Gov法令検索

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

民法 | e-Gov法令検索

就業規則では1~2ヶ月前に会社側に退職の意思を言わなければならないと定められていることもあります。

もちろん、就業規則よりも民法の2週間を守ることが優先されます。そして、会社との承諾があれば、民法の定める2週間を無視して、より短い期間内での退職や「即日退職」もできます。
少なくとも、退職を認めないということは法律上は、絶対にありません。

退職日まで働くのは気まずいし、いきなり口を利いてくれなくなり、退職そのものに応じてくれません。最終日に捨て台詞を吐きながら社長がキレたりします。

そういうところだぞ、辞める理由は。

しかし、退職代行サービスを利用すれば、そういった会社が相手であっても、多くの場合には、即日~数日以内に退職に関する手続きが完了できます。

業種、企業、雇用形態、在籍年数、役職の有無などに関係なく、誰でも利用できます。


少なくとも自分自身が退職代行の担当者に任せた以降は、出社することがなくなります。あとは全て担当者に任せて、次の職場への転職活動に専念したり、心身を休ませたりすることができます。

②備品や私物のやり取りもしてくれる

急に会社に行かなくてよくなるものですから、会社から貸与されている備品や私物をどうするか悩みますが、退職代行が代わりに行ってくれます。

もちろん、自分と退職代行サービスの間だけで決めた最終出社日までに、私物を持ち帰ったり、備品をある程度まとめておくのが理想です。

宅配便や郵送の手間はかかりますが、退職日まで気まずい思いをして働くよりマシだと思います。

これまで会社を辞めたことがなく、今回初めて退職するという人や、勤務先がとんでもないブラック企業、外国人労働者で言葉の壁があり、スムーズな退職が難しいという人には心強いサービスとなるでしょう。

③未払い残業代の請求などの交渉もできる

そもそも代理を立てて会社を辞めるぐらいですから、会社に対して良い印象がなく、愛想が尽きている労働者がほとんどではないでしょうか。
また、会社とは問題を残している場合があります。

そういう時も、退職代行サービスの担当者に任せることができます。
ただし、注意点があります。

民間業者ができるのは、退職の意思を代わりに伝える「伝達だけ」です。

労組組合は、「伝達」に加え
民間の業者にはできない有給休暇の消化や未払いの残業といった請求など労働者が受け取るべき権利・金銭の請求をしたり、退職日をいつにするかなどの「交渉」「調整」ができるところもあります。

そして弁護士が退職代行をする場合には
民間・労働組合が行うものを確実かつ正確にやってくれることに加えて

退職時のトラブルが「訴訟」に発展した場合にも対応してくれます。

要するに「全部やってくれる」のです。
訴訟トラブルの対応は、全ての国家資格・全ての職業のなかで弁護士のみが行使できます。

詳しいことは後述しますが、退職代行は弁護士に依頼するのが基本であり、オススメしています。

弁護士に依頼するのが難しい場合は、労働組合であり民間業者を選ぶなら、最低でも司法書士や行政書士等の専門家が運営に携わっているところに依頼するべきだと、個人的には思います。

デメリット

①辞め方として、まだまだ認められていない

やはり世間では「直接自分で退職を伝えるべき、直接言えないようなヤツが今後やっていけると思えない」「非常識で認められない」と考えられており、世間ではまだまだ辞め方として認められていません。

やましいところがある企業にとっては、退職代行サービスの存在は、疎ましいものです。

しかし、退職代行の依頼を余儀なくされるほどの会社があるのも事実です。もう二度と会いたくないと労働者に思われている職場、上司・社長にも問題があると思います。

退職を認めなかったり、嫌がらせをしてきたり、そういった酷い企業の対応に、心を病んでいる人もいます。そういった企業を安全に辞めるための最終手段として利用するのはやむを得ないでしょう。

ただ、同業他社や近くの地域の会社に退職代行を使った人間と情報を根回しされたり、転職や独立開業に悪影響を及ぼすリスクは否定できません。

②費用がかかる

現在、民間企業と、労働組合、弁護士・弁護士法人が退職代行のサービスを展開しています。
一概に言えませんが、料金目安は下記のとおりです。

民間企業:1~3万円

労働組合:3~5万円

弁護士:3~10万円+α(未払い残業代の請求などがあれば、獲得額の2割など)

このように、仕事を辞めて無職やアルバイトになろうという人には痛い出費であります。

自力で退職を伝えてから退職日まで働けば気まずくても給料は出るので、有給のない人にはその分の収入もないため、相当な負担です。

もっとも代行サービスに依頼した後に、単発や短期のアルバイトにでもすぐ応募すれば、すぐに費用は取り戻せます。

俺も使いたかった

俺は過去に何度か、正社員として勤めていた士業事務所を辞めてきました。いずれも社長・所長の不道徳な発言やパワハラに怒ったり、クビにされたりしてきました。

当時は退職代行サービスがほとんど世の中に知られていませんでした。

最近は期間限定の仕事を期間満了で退職したり、バイトの契約更新を希望しなかったりで、割とちゃんと(?)辞められています。

今となっては俺も自力で辞めることはできると思いますが、機会があれば、退職代行サービスを利用してみたいですね。

依頼するなら「弁護士」が確実・安心。

ご自身の状況次第では民間業者や労働組合団体でも良いのですが、俺は退職代行は、弁護士に依頼するのを基本とすべきだと思います。

理由は、弁護士はマジで強くて怖いからです。
言い方を良くすると、最も安全で確実に退職できるからです。


根拠は弁護士法72条にあります。
弁護士ではない個人・企業が、弁護士にしかできないはずの法律事務を行ったり、そのように立ち振る舞ったりすることを「非弁行為」といい、弁護士法第72条で厳しく定められています。

弁護士のいない民間企業が、退職の伝達「だけ」に限定していると強調して宣伝しているのは、非弁行為であると弁護士に指摘されないためでしょう。弁護士や弁護士会はこの非弁行為に敏感で、ドチャクソ怒ってきます。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法 | e-Gov法令検索

いかにブラック企業といえども、弁護士を相手に退職を認めなかったり、退職時のトラブルについて強気にゴネたりできる会社はそう多くありません。

弁護士は日頃から色んな企業や個人、時にはヤクザ、政治家、そして検察官と修羅場でやりあっている専門家ですから、ブラック企業の理不尽な上司ごときでは、どう頑張っても弁護士に勝てないのです。

行政書士や税理士、司法書士などの他の士業でさえ、日頃から恐ろしさが分かっているので、弁護士を敵に回すことだけは避けているくらいです。

俺も29年間の人生で「4度」お世話になりましたが、曲がりなりにも法律に長年向き合ってきた俺も、弁護士の立ち回りやコミュニケーション能力には全く刃が立たず、感服するばかりです。

費用は多少かかるものの、別格の力を持つ弁護士に依頼するのが確実・安心です。

少し情けない話ですが、腹立つ上司に弁護士を向かわせて、一矢報いてやりましょう。相当焦ります。
部下に弁護士を使って辞められたという事実だけで、その上司も社内での評価が下がるかもしれません。

結論 今後流行っていくべきサービスだと思う

退職代行サービスは、芸能人やスポーツ選手、政治家などが仕事のやり取りについて、マネージャーやエージェント、秘書に任せるようなものかなと思います。一般人も、退職という場で気軽に使えるようになっただけのことです。

そもそも転職エージェントがあるくらいです。入る時にサポートをつけられるなら、辞める時にもサポートをつけるのも自然な流れですよね。

少なくとも弁護士が行う退職代行サービスは、最難関国家試験を乗り越え、日々厳しい研鑽を積み重ねている弁護士の名において、行われています。
信頼性、専門性、権威性、全てが桁外れです。法的に何の問題もない以上は今後はどんどん利用されていくべきです。

自分の力だけでは、なかなか辞めさせてくれない企業・上司がいる以上は、こういったサービスが流行っていくのは仕方のないことかと思います。使われないように襟を正してほしいものです。

ただし、今のところ流行に乗っかっただけの悪徳業者もいそうですし、本物の弁護士以外の業者・団体に依頼するのは、完全に不安が拭えません。

弁護士としての登録番号が答えられて、ちゃんと下記の日弁連のホームページに登録されている本物の弁護士に依頼するべきです。

日本弁護士連合会|弁護士情報検索 (nichibenren.or.jp)

日本弁護士連合会 弁護士情報検索

やはり弁護士は強力な味方ですし、依頼したのをきっかけに退職後には法律の勉強を始めてみるのも大いにアリなのではないでしょうか。


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