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月刊「読んでみましたアジア本」

日本で出版されたアジア関連書籍の感想。時には映画などの書籍以外の表現方法を取り上げます。わたし自身の中華圏での経験も折り込んでご紹介。2018年までメルマガ「ぶんぶくちゃいな」(…
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記事一覧

【読んでみましたアジア本】時代を記録し、時代を紡ぎ、時代の哲学を説く:残雪・著/近藤直子・訳『蒼老たる浮雲』(白水Uブックス)

今年のノーベル文学賞は、韓国の韓江(ハン・ガン)に贈られた。アジア人女性としては初の受賞で、アジア文学、そしてアジア人女性、などさまざまな視点から見て画期的な一歩となった。

受賞理由は「歴史のトラウマと向き合い、人の命のはかなさをあらわにする強度の高い詩的散文に対して」(毎日新聞より)とのこと。筆者はまだ彼女の作品を読んだことがないので、なにも語れるものはもっていない。ただ、SNSで流れてきた、

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【読んでみましたアジア本】「異」と「記憶」に苦しめられる「脱北者」たちの姿、しかし彼らの過去は見えない/チョン・スチャン・著/斎藤真理子・訳『羞恥』(みすず書房)

みなさんは、「異文化」とはどのようなものだと思っておられるだろうか。

もちろん、その意味を調べると、「生活様式や社会習慣、ものの考え方などの異なる文化」(https://x.gd/Gw1Mk )とある。

ならば、そんな「異なる文化」に接した時、自分はどう処すべきなのか――たぶん、今の日本で「異文化」と聞いたとたん、最も多くの人たちがそれを考えるのではないだろうか。

実際にはそうした「異文化」

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240925 【緊急寄稿/ダイヤモンド・オンライン】中国・日本人男児刺殺事件、「本当に申し訳ない」多くの中国人が涙した“父親の手紙”の中身とは

240925 【緊急寄稿/ダイヤモンド・オンライン】中国・日本人男児刺殺事件、「本当に申し訳ない」多くの中国人が涙した“父親の手紙”の中身とは

中国深セン市で日本人学校に通っていた、10歳の男の子が正体不明の男に襲撃されて亡くなってからまる1週間が経ちました。あまりの衝撃的な事件は、日本社会だけではなく、中国人社会の中にも激しいショックをもたらしています。

ただ、事件から1週間が経ち、中国当局側からもたらされる情報はあまりにも少なく、その間日本メディアは焦点を中国における「反日教育」に絞って集中砲火を浴びせています。

中国社会では、「

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【読んでみましたアジア本】びっくり、ただの漁村じゃなかった植民地前の香港:魯金・著/倉田明子・訳『九龍城寨の歴史』(みすず書房)

【読んでみましたアジア本】びっくり、ただの漁村じゃなかった植民地前の香港:魯金・著/倉田明子・訳『九龍城寨の歴史』(みすず書房)

今年6月、ちょうど香港デモ5週年にあたるということで津田大介さん主宰の「ポリタスTV」で香港の話をした(https://youtu.be/8k_6Kfib-aI?si=-LMaalDAepLvOgMJ )。

その「香港の話」なのだが、実は当初、津田さんからご相談をいただいたときは「デモから5年になりますし、この5年間の香港の変化について」というお話で、筆者もそれで話をするつもりで準備を進めていた

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【読んでみましたアジア本】さまざまに読み比べて知る、「廃れない本当のルポルタージュ」/高野秀行『アヘン王国潜入記』(集英社文庫)

自分でも意外だが、振り返ってみると、この「読んでみましたアジア本」ではもう何冊もミャンマー(ビルマ)に関する書籍を紹介してきた。

いつも、韓国や中華(主に嫌中、あるいは好台)本を除いて、「日本にはとにかくアジアをテーマにした本が少なすぎる!」とぼやきながら書籍を選定しているが、ことミャンマー本に関しては、個人的には特にこの国に思い入れはないのだが、読んでみたどの本も大変印象に残る興味深い本となっ

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【読んでみましたアジア本】一般論ではわからない事実、残酷な現実を知ること/林奕含・著、泉京鹿・訳『房思琪(ファン・スーチー)の初恋の楽園』(白水社)

あれからそろそろ1年が経つ。振り返ってみても、まさかAがあんなふうに人生を終えるとは思ってもいなかった。

AとはTwitter上で知り合った。当時の中国のネットは、時々海外のページにアクセスできないことはあったものの、今に比べるとまだまだずっと自由だった。モバイル前の時代だったから、中国でネットを使っている人たちといえば、PCを持っているか、学校の図書館やコンピュータールーム、あるいは職場などで

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【読んでみましたアジア本】ねっとりとまとわりつく空気の中であえぐ女性たちを描く:賀淑芳・著/及川茜・訳『アミナ』(白水社)

「純真なアジアの人たち」

かつて、このような主旨の形容を使ったコメントを受け取ったことがある。そのコメント全体の文脈が、わたしの原稿に対する批判だったのか賛同だったのかはもう覚えていない。わたしの目はその表現に釘付けになった。

もし、それが観光PRのコピーならまだわたしもやり過ごせていた。だが、わたしの書く記事への感想として堂々とそういう表現を使ってくる人はいったい何を見てそう思っているのだろ

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【読んでみましたアジア本】画一的な中国観・中国人観を打ち破るには最適の一冊/ケン・リュウ選『金色昔日:現代中国SFアンソロジー』(ハヤカワ文庫SF)

劉慈欣『三体』のNetflix版ドラマの配信開始で、再び視野に入ってきた中国SF。

Netflixドラマは主要登場人物の人種や性別が原作と大きく違うことで、中国のみならず、同じ東アジアの日本でもファンの間で違和感を唱える声も上がっているときく。しかし、逆にわたしのような「中国屋」の目から見て、ゴテゴテの中国っぽい「しがらみ」を出発点にしたあの作品を、西洋人やインド系、黒人に置き換えても立派に成り

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【読んでみましたアジア本】かつては心身ともに潰されそうになったこの都市を愛するということ:カレン・チャン『わたしの香港 消滅の瀬戸際で』(亜紀書房)

毎日ニュースチェックをしていて、どんなに丁寧に読んでいるつもりでも、しばらく現地を離れていると現地の空気というかムードがいつのまにかぼんやりとしてくる。そんなこともあって毎年最低1回は香港に行っての「定点観測」は欠かせない。

その定点観測で最も参考にしているのが、友人たちの話やその表情だ。30年来の友人はもう幼馴染のようなもので、適当にぽーんと疑問や質問を投げてもわりときちんと受け止めてくれる。

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『時代の行動者たち』書評続々

昨年12月に白水社から刊行した『時代の行動者たち 香港デモ2019』ですが、このところ続々と新聞各紙でご紹介いただいています。

●日経新聞 2024年3月9日朝刊

「多層的な運動 担い手の証言」 評者:国分良成・前防衛大学校長

●毎日新聞 2024年3月9日朝刊

今週の本棚 評者:米村耕一・毎日新聞外信部デスク

●しんぶん「赤旗」 2024年3月10日朝刊

「デジタル時代の社会運動を研

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【読んでみましたアジア本】世界のあちこちに存在する「中国」を拾い上げる/安田峰俊『中国vs.世界 呑まれる国、抗う国』(PHP新書)

2023年度の四川省成都市主催のSF大賞「ヒューゴー賞」にまつわる騒ぎについて記事を書こうとさまざまな資料を読み漁っているとき、欧米SFファンや関係者が訴える「疑惑」の既視感に困惑した。

外国の権威ある大賞の名誉や栄誉に預かろうとする中国の狙いは今に始まったことではない。そしてその目的遂行のためにできる限りの組織票を動員して自国に有利な状況を作るための、ゲリラ的な活動はお得意である。さらにはそう

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240228 【ダイヤモンド・オンライン】寄稿:「SF界のノーベル賞」に中国政府が介入?中国主催で起きた“史上最悪のスキャンダル”とは

240228 【ダイヤモンド・オンライン】寄稿:「SF界のノーベル賞」に中国政府が介入?中国主催で起きた“史上最悪のスキャンダル”とは

公開が前後してしまいましたが、こちらがnoteにアップした《【ぶんぶくちゃいな】英語化されていない作品が受賞も? 成都主催「SF界のノーベル賞」ヒューゴー賞を巡る大スキャンダル》の基礎入門記事となります。とにかく資料を読み進めていくうちに、こりゃサイト記事の文字数には収まらんがな、と気づき、メルマガ+noteで記事にしました。

こちらの記事で書いたのは、一般の人の理解からすると、「なんでこうなる

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【読んでみましたアジア本】「知っている」からこそもっと「丁寧に知る」:野嶋剛『台湾の本音』(光文社新書)

日本社会にはあまりインパクトを与えるニュースではなかったものの、華人社会ではここ2年ほど注目の的になってきた台湾総統選挙と立法院議員選挙が終わった。
特に総統選挙はこれまでさまざまな紆余曲折を経て、一時は野党・中国国民党(国民党)が有利とも言われたけれども、とうとう与党・民主進歩党(民進党)が政権3期目入りに成功した。

1996年に始まって4年毎に行なわれてきた総統選挙では、これまで国民党と民進

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【読んでみましたアジア本】2024年を前に読んでおきたい、お薦めアジア本

今年最後のアジア本は、恒例の年始年末お薦め本。今年、「読んでみましたアジア本」でご紹介した本の一覧を書き出したところ、なかなか収穫の多い1年であったように思われる。

特に、今後アジア情勢を観察する際に、基礎的知識を身につけるための「教科書」として何度か読み直すだろうと思われる本が数冊入っており、きっと将来、「読んでてよかった…」と思えるときがくると感じている。というか、すでに感じている。

ただ

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