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鴨長明の『方丈記』より
当たり前なのですが、大学の授業で学生に共感してもらえるところと、社会人講座で反響が大きいところは違います。はっとさせられる経験もしばしば。
大学生に話しても反応がないのに、社会人の受講生の反応が大きい例に、鴨長明『方丈記』のこの箇所があります。
大飢饉の様子を描写した部分です。
さりがたき女男など持ちたるものは、その思ひまさりて、心ざし深きは必ず先立ちて死ぬ。そのゆゑは、我が身をば次になして、
日本全国能楽キャラバン!in神奈川
1月5日、鎌倉芸術館で、謡曲「江野島」と狂言「鐘の音」を鑑賞しました。日本全国能楽キャラバン!in神奈川の公演でした。
「江野島」は鎌倉の深沢に住む龍神と弁才天の物語です。江の島伝承に基づく能で、弁才天、童神、龍神が登場し、華やかで、かつ祝言性に富んだ、鎌倉のお正月にふさわしい演目でした。
狂言「鐘の音」は鎌倉ゆかりの名曲。「金の値(かねのね)」を聞いてくるよう言われた太郎冠者が、鎌倉のいく
世の中は常にもがもな
前回の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の紀行でも紹介されていましたが、鎌倉・由比ガ浜には源実朝の歌碑があります。彼の見果てぬ夢を載せた船の形を模した石碑に、『百人一首』の実朝の和歌が刻まれているのです。
世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも
(『百人一首』93・鎌倉右大臣)
本歌は、『古今和歌集』の陸奥歌です。
陸奥(みちのく)はいづくはあれど塩竃の浦漕ぐ舟の綱手かなしも