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書評

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#批評

【読書メモ】『なめらかな世界と、その敵』伴名練[2022]

 以下、いわゆる書評というより、雑文的な読書メモ。
 物語の核心部分についての記述を含むので、ご注意ください。

伴名練[2022]『なめらかな世界と、その敵』早川書房. 知人から勧められていた伴名練の短編集『なめらかな世界と、その敵』を、2023年7月某日、読み始めた。同時代のSF、というか大衆文学全般を読む習慣が全くと言ってよいほどない私にとっては、「近年の小説」というざっくりしたカテゴリーそ

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【書評】エログロナンセンスとアヴァンギャルドの蜜月 『吉行エイスケ 作品と世界』[1997]

吉行和子(監修)[1997]『吉行エイスケ 作品と世界』国書刊行会.評価:☆☆☆★★

 吉行エイスケの作品集。
 吉行エイスケは、1920年代よりダダイズム、モダニズム、新興芸術派の作家として注目を集め、1940年、34歳で世を去った人物だ。本書には、27歳で筆を絶つまでのエイスケの詩と小説が収録されている。監修者は、エイスケの娘で女優の吉行和子。
 エイスケの3人の子供のうち、吉行淳之介と理恵

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