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みどりの日、Geminiの力を得たGoogleマップを頼りに夏油温泉に行き混浴文化について考えた|元湯夏油・入畑ダム・Cafe03|散策記
Googleマップのナビゲーションに導かれるままに車を走らせた結果、『本当にこんな山道の果てに温泉があるのか』と不安に駆られる羽目に陥ったのは、2023年5月4日のみどりの日だった。
あれから1年。みどりの日の恒例行事にするつもりは欠片もないが、せっかくのゴールデンウィークなので一度は遠出しようと思い、懲りずにGoogleマップのナビゲーションに導いてもらいながら、温泉を目指した。
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決して整った道路ではないが、それでも周囲を木々に囲まれた山道ではない。今年の温泉遠征は何事もなく終わるかもしれない。そんな期待に胸が膨らんだ。
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美しい花が咲き誇り、黄色に染まった大地が目に留まる。春の旅といった感触があり、実に晴れ晴れとした気分になった。遠くに見える山の新緑が美しい。これぞ春の行楽の醍醐味である。
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『GoogleマップのナビゲーションはGemini(生成AI)によって最高の旅をプレゼントしてくれる優れたパートナーになったのだ』そんな晴れ晴れとした心持ちになった。気のせいだった。
晴れ晴れとした気持ちを打ち砕かれた暗澹たる気持ちにさせられたのは、夏油高原スキー場の入口を過ぎ、冬季通行規制ゾーンに入って間もなくだった。驚くほどに一変した。
そこに至るまでは二車線だった道が、途端に端々に鬱蒼と茂る木々や断崖絶壁を見て取れる細い道へと豹変し、何度も何度もカーブミラーを確認して対向車の存在に気を払わなければならない険道と化した。
舗装こそされているが、そこそこ凸凹しているのだろう。微細な振動に晒されながら、繊細なハンドリングで先の見えないカーブを何度も曲がる。ウネウネと曲がりくねった道を8km程度進む。
親切に看板が目的地まであと何kmあるのかをカウントダウンしてくれるのだが、進めど進めど然程進んでいない現実を知らされるので、「この悪夢から早く救って欲しい」と思わずにいられない。助手席に座っていたら、間違いなく吐いて別の悪夢を見る羽目になった気がする。
非日常的な古来の空間が広がる元湯夏油(夏油温泉)で露天風呂を満喫する
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そうして辿り着いたのが、元湯夏油(夏油温泉)である。険道を進みながら何度も対向車に道を譲ったためそこはかとなく感じていたが、思いの外来訪者が多い。湘南ナンバーを筆頭に様々な県から来訪者が訪れていた。
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今や使われていない山荘が何棟か見られた。どれも老朽化が進んでおり、若干ながら綺麗な廃墟といった印象を受けた。人里からあまりにも離れており、冬季は入れすらしないエリアである。無理もない。中には3,000万円で売られているホテルもある。
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元湯夏油に入り、会計を済ませて中へと進む。
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夏油温泉内は上記の図の通りである。内湯もあるが、本日男性は外湯のみであった。⑤の目の湯は、川を渡った先にある湯で、渡し橋が壊れているせいか、現在利用不可であった。橋はご老人が修繕していた。
消えつつある混浴文化と現代の事情について考える
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夏油温泉の湯の多くは露天であり、混浴である。女性専用の湯もあるにはあるし、脱衣所が別れている湯もあるが、多くは混浴だった。といっても入浴していたのは男性だったので、男湯に来ている感覚しかなかった。
混浴の温泉は、減りつつある。そのせいか混浴文化を残す目的の活動もいくらか現れている。北東北では混浴を再開した湯も存在する。一方で、昨今のポリティカル・コレクトネス意識の高まりや性に対する過剰なまでの反応を考えるに、中々難しいようにも思う。
筆者が湯に入っているとき、若い男性客の団体が「混浴って女性はどうするのだろう」といった話をしたり、混浴という存在自体に驚いたりしていたのを見ている。そもそも筆者自身、混浴の温泉は初体験である。実在するのは知っていたが、どんなものかを知らなかった。
そうした点に鑑みると、混浴は一定の年代以下にとっては文化として既に消えており、ある種のファンタジーになってしまっているように思う。混浴のマナーなるものがあったとしても、どう受け取って良いかさえ分からず困惑するのが自然である。
風呂場や脱衣所の撮影は禁止と書かれていても、そもそもどこからが風呂場なのか分からない環境である。川縁は風呂場なのか? 湯へ移動する道中すべてが風呂場なのか? 初見では間違いなく分からない。
携帯電話の持ち込みにしても、フロントから先は駄目なのか、フロントの先にある各館と各館の間はどうなのか、など様々な境目が曖昧であるため、やはり困惑するというのが実情でなかろうか。
各館の様子を見ると分かるが、そこには街っぽさを感じても温泉っぽさを感じるのは難しい。分かっている人ならば『温泉に違いない』と思うかもしれないが、初見で理解するのは難しいだろう。
現実問題として、ある女性客はスマートホンを持ったまま脱衣所の前まで訪れ、混浴というものがどういうものかをそこで理解して困惑して去って行った。それを教養不足、文化の知見不足と言うことはできるかもしれないが、現代ではこの反応が普通でなかろうか。
それを指して文化の消失危機と言えるのかもしれないが、であればこそ文化を絶やさないためには、丁寧に考える必要のあるポイントが多いのだと思う。完全に初めての体験となるこうした昔ながらの温泉を体験して、そんなことを思った。
それに加えて、先日読んだ「伊豆の踊子」「温泉宿」における湯浴みの描写について、何だかピンと来なかったのだが、今回混浴の露天温泉を体感し、その描写がどういった状況を描いたのかを理解できた。何事も体験してみるものである。
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古来から続くといった言葉が相応しく、また老朽感や昔ながらの混浴を残しているところなど、非日常的な時間を過ごせた思いである。想像以上に時間を要する道のりであったが、来て良かったと感じた。多くの人々が遠路はるばるやって来るのも理解できる。
魅入らずにはいられない夏油川・入畑ダムの雄大な碧
夏油温泉の道中には温泉が何カ所かあり、また入畑ダムがある。入畑ダムでせき止められている夏油川の上流は、とても美しく、思わず見とれてしまった。
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とても美しく、あまりの美しさと雄大さに恐怖さえ覚える、そんな光景だった。入畑ダムの眺望を楽しめる展望台があると言うので、そちらにも足を伸ばす。
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眼下に広がる夏油川も美しく、思わず見入ってしまう。これほど濃厚で鮮やかな碧色の川を目にしたのは初めてだった。Instagramなどで真っ青な湖や川を見る機会はあったが、多くは加工に感じていた。しかし現実に存在している光景を見て、認識を改める必要があるのだろうと思わずにいられない。
コンテナハウスとキャンプ場の取り合わせが素敵な Cafe03
帰りにキャンプ場併設のコンテナカフェの「Cafe03」に立ち寄る。
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ひまわりソフトクリーム、ホットドッグ、焼き菓子のどれもが美味しかった。ひまわりソフトクリームは、ソフトクリームの上にひまわり油が垂らされたものでひまわり油の独特な味わいが、すっきりとした甘さのソフトクリームに絡み合い絶妙であった。焼き菓子は食べやすく、ほのかな甘みが癖になりそうだった。
Googleマップ上では大船渡市から2時間程度となっていたため、何の考えなしに向かった夏油温泉であったが、実際には3時間程度のドライブとなった。そんなものだろう。これまで名前しか知らなかった夏油温泉がどういった場所なのか知られて好ましかった。いつか他の温泉にも行きたいものである。
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