見出し画像

みどりの日、Googleと共に温泉へ出かけたら森に連れて行かれた話|金ケ崎温泉駒子の湯・円筒分水工

ゴールデンウィーク2日目。

1日目は自室の清掃と仕事に消え、「嗚呼、今年のゴールデンウィークも昨年同様にほとんどが仕事に消えるのか」と何となく思いながら朝起きて窓の外を見ると快晴。

夏の到来を予感させるような眩しい世界が目前に広がっている。寝起きの目には大分キツい。「おいおいマジかよ。こんなことってあるかよ」目前の光景とは打って変わり、脳内は曇天である。

いくらか前、天気予報を見た際に連休中は雨だと表示されており、「連休が仕事で潰れても天気が悪いなら仕方ない。何もかんも天気のせい」と慢心していたら、生憎の快晴。裏切りの晴天である。

しかもメディアを見ても、SNSを見ても、誰も彼もが旅行に現を抜かしており、休みであるにもかかわらず自室で仕事をしている人間が非国民かのような雰囲気が漂っているではないか。

流石にこの状況で連休全日を仕事で終えるのは拙い。非国民は避けなければならない。そうしてスマートフォン片手に車で外に出たのが事の始まりである。だが、外に出てみたは良いものの行く宛がない。

仕事以外に興味関心を持たない性分が災いしてしまった。このままではせっかく快晴の下で外に出た意味がなくなってしまう。「なんだ、やはり仕事をしていた方が良かったじゃないか」と後悔することになる。

何とか打開できないかと数分考えて捻り出した案が、「そうだ温泉に行こう」である。せっかくなら少し遠出する方が良い。そう言えば、昨年金ケ崎の温泉に行った際に、周辺に何カ所か温泉があった。

いつか行こうと思ったまま、もう1年近くが経とうとしている。行くなら今しかない。丁度良いではないか。そんなわけでえっちらおっちら奥州市水沢区まで走る。金ケ崎に向かうには、最も都合が良い。


そうだ、金ケ崎町の温泉に行こう

ふと「金ケ崎の温泉は何処にあるんだったか」と思い、旅の相棒スマートフォンに尋ねる。ググるがGPTるに変わった昨今であるが、スマートフォンでGPTるのは些かキツい。そもそもナビを頼むならGoogle Mapの方がまだ丁度良い。

予想に違わぬ長距離を示してきたGoogle Mapの図

映し出されたGoogle Mapを見れば、検索地から30分程度かかる場所を示している。知ってた。昨年金ケ崎の温泉に行った際も思いつきで走ってみたら20-30分程度かかった。だからそれくらいかかるのは想定内である。

幸い今日疲れても明日は休みである。疲れた体でブルシットジョブに身をやつして消耗する可能性は極めて低い。連休最高。毎日が休みなら良いのに。時間はお昼を回っていたが、昼食は温泉を嗜んだ後で良い。ということで、即決でピンが指し示している「金ケ崎温泉駒子の湯」を目指す。

余談だが、1年くらい前に言った金ケ崎の温泉とは上図の③「千貫石温泉 湯元 東館」である。記事を書こう書こうと思い、寝かせたまま1年が経とうとしている。怠慢である。言い訳をさせて貰うなら、この1年とても忙しかったのだ。ぶっちゃけ今も大分忙しい。

罪滅ぼしと言おうか言い訳程度の感想を今書くと、室内浴場+露天風呂が楽しめる旧き良き温泉宿を彷彿とさせる温泉だった。泉質なのか、少々ヌルヌルしており、思った以上に滑った記憶がある。当時、口コミを見てから伺ったので滑る可能性を想定していたから問題なかったが、無知な状態で行ったら間違いなくコケたと思う。

ただ、温泉自体はとても心地よく、ゆったりとした気分で浸かっていられるのがとても良かった。サウナは非常に高温で痛みを感じるほどだったが、通なら寧ろ喜ばしいのでなかろうか。室内浴場と露天は分かれており、一旦着替えて移動しなければならないのが不便だった記憶がある。当時は清掃中で入れなかった。再挑戦したい。

ここまで書いて、「そうだ、露天風呂に入ってから記事を書いた方が良いと考えていたのだった」と言い訳を思いついたが、そんな事実はなく、単純に忙しさに感けて忘却の彼方に消えていただけである。今度行った際には、ちゃんと記事に起こしたいと思わずにいられない。

ちなみに①「さくらの湯」については、やはり1年くらい前に行っていて、こちらは記事にしている。

さて、本日の本旨である「金ケ崎温泉駒子の湯」の話に戻る。地図を見てもらうと分かる通り、途中までは①さくらの湯に行く道中と変わらない。昨年行ったのは7月だったらしいので、水田に新緑が広がっており、実にのどかで美しい景色だった。5月頭の今は、まだ水も張られていないので、ただ土色が広がっているだけである。

市街地から山側へと車を走らせる。Google Mapの音声ナビを頼りにどんどん細く狭くなっていく道を進んでいく。進めば進むほど辺り一帯の茂り具合が増していき、「果たして本当に道は合っているのだろうか」と疑念が込み上げてくる。

まるで昭和時代のミステリードラマのような古びた家々が転々と脇に並ぶ道が、気付けば木々が並ぶ道になっていくのである。不安にならない方がどうかしている。心の支えになるのは、所々に現れる「夢乃湯」と表示された看板くらいのものである。

まるで夢の跡のような寂れた看板だけが頼りになる状況など、控え目に言って絶望感しかないが、Google Mapが指し示す道案内が絶対的な自信を見せるのだ。きっと間違っていない筈。

市街地から走り出して20分くらい経ったろうか。辺り一面が急に整ってくる。雑然と辺りを埋め尽くしていた雑草が、整然と切りそろえられた芝のようなものに変わっていくのだ。何事かと思えば、ゴルフ場だった。

先程から心の友と化していた「夢乃湯」とは、ゴルフ場併設の温泉だったのである。まあ、事前に知っていたわけだが。今回訪れる温泉候補の一つだったが、サウナはあるが水風呂はないとの情報を得たため、候補から外していた。

とはいえ、私は水風呂を苦手としているため、水風呂があってもなくても余り影響はない。では何故候補から外したのか? というと、いずれ行く可能性がある点に鑑みて、遠い方から先に行こうと思ったためである。そのため、夢乃湯を横目に更に山側へと車を走らせた。

2-3分経った頃だろうか。明らかに道が山道になるのを感じ始める。先程まですれ違いくらいはできそうな幅だった道路が、明らかにすれ違いがきかない幅になった。道路脇は雑然と伸びた木々が埋め尽くし、誰がどう見ても山の中、いや森の中といった様子になった。

道路面は剥げ、道の両側は木々で埋め尽くされる

「おいおい、本当にこの先に温泉なんてあるのか」思わないわけがない。だが、Google Mapは自信満々にこの先に温泉があると伝えている。信じる以外の選択肢がなかった。まあ、奥の方に看板が見えたので、きっと大丈夫だろうと思ったわけである。

辺り一面緑一色

少し進むと木々の切れ目から広大な緑の大地がお目見えした。うん。山の上部で似たような景色を見たことがある。そこは家畜が放し飼いにされているようなエリアだった。

想えば遠くまで来たものである

更に進むとようやく大きな道路に出た。ここまで来れば温泉が近いと肌感で分かる。一方で、別の想いも抱く。「ひょっとしてもう少しマシな道があったのではなかろうか」Google Mapの最短経路は、時として奇天烈な道を案内するものである。

こうして「金ケ崎温泉駒子の湯」にどうにかこうにか辿り着いた。想えば遠くまで来たものである。思いつきで外出した割には、随分と車を走らせたものだ。明日が仕事だったら絶対に来ていなかった。

金ケ崎温泉駒子の湯

金ケ崎温泉駒子の湯
住所:岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根和光544番地1
電話番号:0197-43-2227
営業時間:午前9時~午後9時 (最終受付 午後8:30)
休業日:年中無休
料金:大人 500円

金ケ崎温泉駒子の湯

サウナにひしめく角刈りオジ達と噴水との出会い|徳水園 昭和の里塚・円筒分水工

ここから先は

3,124字 / 12画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

皆様のサポートのお陰で運営を続けられております。今後もぜひサポートをいただけますようお願い申し上げます。