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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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2021年9月の記事一覧

■【より道-14】松田伝蔵

■【より道-14】松田伝蔵

神奈川の宮前区と千葉の浦安は、車で1時間ほどの距離だ。父と母も高齢だし、子供たちも、どんどん成長するので、なるべく実家に帰る機会を増やしたいが、コロナ禍で県外移動自粛を求められ、その希望も叶えることができない。

とはいえ、父と母には定期的に会いに行く必要があると思っている。しかも、父とは、今回のプロジェクトについて、日々のメールだけではおさまらない、つもる話しがたくさんある。そこで、妻と子供達に

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【42日目】新天地

【42日目】新天地

ご隠居からのメール:【新天地】

 新天地で基盤をつくったといえば格好いいが、なんとか下流の上あたりで格好だけはつけたといったところかな。友人にはギャンブル中毒、アルコール中毒で死んだり、行方不明の者もいる。そこそこに格好だけつけて生きるのも容易ではないともいえる。

>あとは、運、ご縁、宿命だよね。

 ご先祖のことを調べていると、そう思う。小室さんと眞子さまは、良いご縁なのかーーこれは母親の元

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【41日目】鴻池

【41日目】鴻池

ご隠居からのメール:【鴻池】

 三井三菱に並ぶ存在といえば、鴻池だが、その鴻池の創始者は山中鹿之助の息子新六。したがって、われわれのDNAにもチカラはあるはずだが、オレは「頑張る」と言葉にしなかったのはなぜだろう。

 ある程度、そこそこには頑張ったのだが、根底には立身出世への反発のような気分もあった。かといって、伝蔵さんや素さんのように宗教の世界にも飛び込まなかった。

 先祖から受け継ぐ刀は

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【40日目】マラソンとスイミング

【40日目】マラソンとスイミング

ご隠居からのメール:【マラソンとスイミング】

男孫が中学校の陸上部に入部するとは頼もしい。箱根駅伝に出場してマラソンでは神奈川大学出身の鈴木選手の日本新を更新し、オリンピックで優勝してほしい。女孫はスイミング百メートルで池江璃花子の日本新を更新し、オリンピックで優勝してほしい。

ご先祖が36町歩の山林を確保し、維持してきたのは、時の支配者とのしたたかな交渉、接待、かけひきの結果だと思う。江戸時

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■【より道‐13】随筆_『新見太平記』(長谷部さかな)

■【より道‐13】随筆_『新見太平記』(長谷部さかな)

以前、実家に帰ったとき、父が執筆した随筆『尼子の落人』と『新見太平記』のコピーをもらった。話を聞いてみると、昔、研究した内容をまとめたもので、どちらも、郷土やご先祖さまのことを研究した書物だった。

1)まぼろしの軍記

「まあ、お上がり。お茶でも飲むかい」 荒屋敷の隠居は歓迎してくれた。たまには顔を出しておこうと思っただけだが、隠居はひまつぶしの話し相手がやってきたのを喜んでいる。

「ちょうど

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【39日目】第一波、第二波、第三波

【39日目】第一波、第二波、第三波

ご隠居からのメール:【第一波、第二波、第三波】

>やはり、1600年以降に
>松田、井上、長谷部が流れ着いたのだろうね。

証拠がないから想像するしかないが、1600年以前の白鹿城、高瀬城、上月城の戦いの後から、第一波、第二波、第三波と何人かが縁をたどって流れついたのだろうと思う。落人は一人ではない。複数だ。

 八幡城というのははじめて知った。そもそも八幡神社は比較的新しい神社だ。高瀬では氷室

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【38日目】高瀬の井上氏

【38日目】高瀬の井上氏

ご隠居からのメール:高瀬の井上氏

高瀬の井上氏は、氷室神社の近くにある。新郷駅前の家は竹本氏で、渡辺玉智さんの姪が住んでいる。渡辺さんの実家は難波氏の親戚で、その縁もあってか澄江さんと長谷部氏のダメ息子との結婚に尽力した。

渡辺家や竹本家は高瀬村ではなく、隣の釜村の住民で、それ以前には両家と長谷部氏との縁組はなかったと思う。難波家のことは先月渡した「辰五郎と方谷」に浪花と姓を変えて、千代平とい

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【37日目】井上氏

【37日目】井上氏

ご隠居からのメール:【井上氏】

 安芸井上氏が毛利元就によって粛清されたとき一人でも生き残れば、DNAは後世に伝わる。高瀬村まで落ちのびてきた井上氏の一派もいたかもしれない。

 コロナの変異株はゲノム解析で、いつどこでどのように変異したかがわかるようになっているという。人間のDNAもゲノム解析でかなりの程度までわかるのかもしれない。

 五十嵐千尋のオリンピック出場が決まったが、千尋のDNA変

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■【より道‐12】長谷部元信

■【より道‐12】長谷部元信

応仁の乱を経て、戦国期に突入したご先祖さま。現時点ではあるけれども、戦国期に活躍した長谷部(長)大蔵左衛門元信の逸話や語り継がれている歴史についてまとめてみた。

はっきりとした勝敗もつかないまま1477年に東西両軍が解散して応仁の乱は終了した。幕府の統制が効かなくなった日本国は、各地で「一向一揆」が起きるなどの混乱期となっていく。そんななか、西日本では、室町幕府時代までチカラを持っていた山名氏が

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【36日目】ノモンハン

【36日目】ノモンハン

ご隠居からのメール:【ノモハン】

我々のDNAには桓武平氏と清和源氏の血が混じり合っているという気はしていたが、尼子経久や毛利元就の血も入っていたとは気がつかなかった。その上、井上元光までさかのぼれば、井上馨のDNAともつながっているかもしれない。いずれにせよ、26万系統だ、変異に次ぐ変異の経路はとても追いきれない。

 ノモンハンでは長谷部理叡大佐は戦ったが、長谷部与一はその時点では戦闘にはま

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【35日目】ファミリーヒストリー

【35日目】ファミリーヒストリー

ご隠居からのメール:【ファミリーヒストリーをたどる旅】

備中高瀬村は伯耆との国境までは歩いて行ける距離にあり、備後や出雲との国境も近い。山口=長州(周防、長門)は遠く離れているが、明治維新後、岡山県人は天下をとった長州からの影響を強く受け、いわば、第二の長州化している。幕末の志士の一人に井上聞多(馨)がいて、伊藤博文とともに英国や密出国した。

 ファミリーヒストリーをたどる旅は必要かもしれない

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【34日目】26万系統

【34日目】26万系統

ご隠居からのメール:【26万系統】

 西谷家に伝わる家系図の作者はあきらかに後世の人物が手を加えたものと思われる。長牛之介が豊臣秀吉から賜ったという感状の真偽も疑わしい。そもそも長谷部元信も長牛之介も没年すらわからないのでは、フィクションで想像するしかない。

 具体的な史実はほとんど不明なので、随筆では厳島の戦いや上月城の戦いや刀狩りがあった十六世紀後半に活躍したご先祖であり、平家物語に登場す

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■【より道‐11】戦国期までの道のり

■【より道‐11】戦国期までの道のり

ファミリーヒストリーを紡ぐなかでは、長谷部家の命運をわける戦国期をなんとか生き延びた長谷部元信について調べる必要がある。

長谷部(長)大蔵左衛門元信(はせべおおくらざえもんもとのぶ)は、長谷部信連の子孫と称し、広島県府中市上下にある翁山城(おきなやま)の城主で国人だったそうだ。長谷部信連ほど伝説が残っているわけではないが調べてみるといくつかの文献や痕跡が残されている。

しかし、長谷部信連の活躍

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【33日目】牛之助

【33日目】牛之助

ご隠居からのメール:【牛之助】

長牛之介が上月城の戦いで戦功をあげ、豊臣秀吉から貰ったという感状の写しを新見の友人に見せてもらったことがあるが、上月城の戦で手柄をたてたって、負けては意味がない。おそらく後世の誰かがつくったのだろう。

同様に家系図にも誰かが手を加えている可能性が大きい。たしか元信は30代後半で死んだとどこかに記されていた。上月城の戦いまで生きていたとは思えない。おそらく牛之介の

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